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バイアスの意味とは? 場面別の正しい使い方と例文

Sai

さまざまな場面で耳にする「バイアス」という言葉。正確な意味を知っていますか? ビジネス、心理学、医療など複数の場面で使われる言葉について、場面別の正しい使い方をビジネス系ライターのSaiさんが解説します。

ビジネスシーンや学問的な分野など、さまざまな場面で使われる「バイアス」という言葉。複数の意味を持つカタカナ語のため、正確に使用できていない人は少なくないでしょう。

そこで今回は、「バイアス」の意味や場面別の適切な使い方について例文つきで詳しく解説します。

「バイアス」の意味とは?

まずは、「バイアス」の語源や意味を詳しく確認してみましょう。

『実用日本語表現辞典』によれば、バイアスの意味は以下のように説明されています。

バイアス

傾向、偏向、先入観、データ等の偏り、思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪み、といった意味で用いられる語。

(『実用日本語表現辞典』)

「先入観」や「傾向」という意味の英語「bias」が由来

「バイアス」は、「先入観」や「傾向」などを意味する英単語「bias」が由来となっているカタカナ語です。

先ほど紹介した通り、データ・情報が偏っていることや、思い込みの要因などを表すことが多く、文脈や状況に合わせてさまざまなニュアンスで用いられます。

場面や分野によって意味合いが多少異なる

「バイアス」は日常生活ではあまり聞く機会がない言葉ですが、実はさまざまな場面や分野で使われている表現です。

主に学問的な分野で使われることが多く、心理や思考などが関わる分野で「偏見」を表す時に使ったり、統計学・経済学などの分野で「データの偏り」を示す時にも登場したりします。

また、ビジネスにおいても公平性を問うような場面や、倫理的思考力についての話題などで使われることが多い言葉です。

使われる場面や分野によって少しずつニュアンスが異なるので、正確に使うためにも場面別の使い方を把握しておいた方が良いでしょう。

【場面別】「バイアス」の使い方と例文

多くの意味を持ち、学問的な分野からビジネスシーンまで、さまざまな場面で使われる「バイアス」という言葉。誤用を避けるためにも、それぞれのシーンにおける正しい使い方を確認しておくのが賢明です。

ここからは、「バイアス」について場面別の使い方を例文付きで詳しく解説します。

ビジネスシーンで使う場合

「バイアス」は、ビジネスシーンでは主に「偏見」や「先入観」の意味合いで使われます。

特に、先入観にとらわれて無意識に特定の人を優遇する状態を表す「バイアスがかかる」という表現が頻出し、社内での公平性を問うような場面で使われることが多いです。

また、「意識的に偏った考え方で物事を見る」という意味の「バイアスをかける」という表現も、ビジネスシーンではよく聞く言い回しです。

「バイアスがかかる」と「バイアスをかける」は対の表現となるので、使い方を混同しないように例文をしっかり確認しておきましょう。

例文

・彼は部長からのバイアスがかかり、昇進できたようだ。

・仕事を公平に割り振ってもらえないのは、ゆとり世代に対するバイアスがかかっているからかもしれない。

・たとえどんな理由があっても、仕事におけるバイアスはあまり歓迎されるものではない。

・過去の経験に固執して視野が狭まるのは、ビジネスにおけるバイアスの一つだ。

・部下に対してバイアスをかけるような上司にはなりたくない。

・その情報にはバイアスがかけられている可能性がある。

心理学の分野で使う場合

「バイアス」は心理学においても頻出の単語で、「思い込み」や「偏見」のニュアンスを含む言葉として使用されています。

また、思考の偏りを意味する「認知バイアス」や、自分の考えに沿った情報のみに着目してしまう心理現象を表す「確証バイアス」など、「バイアス」を含む用語が多く存在する点が特徴です。

例文

・自分の思い込みにより非合理的な判断をしてしまうことを認知バイアス言う。

・彼は、確証バイアスの影響で情報が正しく見えない状態なのかもしれない。

・都合の良いことばかりを考えるのは、確証バイアスによる現象だろう。

・最悪の状況をイメージできない状態を正常性バイアスと言う。

医療の分野で使う場合

医療の分野では、「バイアス」はとりわけ「治療・治験などにおけるさまざまな偏り」を表します。

医薬や医療の研究などをする上で統計的に考慮すべきことや、臨床試験の精度などについて話す時に使われます。

また、「リードタイムバイアス」や「選択バイアス」などの、医療の分野でよく使われる「バイアス」を含む用語もいくつか存在します。

例文

・医療研究を実施する上で、バイアスを避けることは不可欠だ。

・選択バイアスとは、試験の対象となる母集団と標本の間に偏りが生じることである。

・疾患の検出が早ければ早いほど生存期間・生存率が高く計算されることを、リードタイムバイアスと言う。

統計学の分野で使う場合

「バイアス」は統計学においても頻出の言葉で、「数値の差」や「データの偏り」を表す時に使われます。

統計学ではどうしてもデータに偏りが生じることがあります。実際の数値とズレが生じた場合や、推測値と事実がかけ離れている場合などに、そのギャップを「バイアス」で表現することが多いです。

例文

・住人にアンケートを採る場合、単身世帯だけを対象にするとバイアスが生じる。

バイアスが含まれている可能性を考慮しないと、データの解釈を見誤る危険性がある。

縫製や製造の分野で使う場合

「バイアス」は、ビジネスや学術的な分野以外にも、縫製や製造の分野で「斜め」という意味合いで使われることがあります。

縫製では、生地の織り目に対する斜め方向を「バイアス」といいます。また、斜めに裁断された帯状の布を意味する「バイアステープ」など、「バイアス」を含む熟語も使われる機会が多いです。

製造では、タイヤの骨組みが斜めに配置されていることを「バイアス構造」と呼びます。さらに、「バイアス構造」で造られたタイヤである「バイアスタイヤ」もよく聞く言葉の1つです。

それぞれ学術的な分野とはまた違ったニュアンスで使われているため、覚えておくと良いでしょう。

例文

バイアステープを使って裾上げや縁取りをする。

バイアス構造は、悪路走行時に乗り心地が良い点が特徴だ。

バイアスタイヤは産業車両や建築車両によく使われている。

「バイアス」を英文で使う場合

「バイアス」は元々英単語「bias」を語源とするため、海外の人との会話や英語の資料などに登場することも少なくはありません。海外支社や取引先とのやり取りにおいて困らないよう、事前に英語の例文を確認しておきましょう。

なお、英単語「bias」は基本的に名詞として使いますが、英国では動詞として使われる場合もあります。

例文

・She has a strong bias against some of her co-workers.(彼女は何人かの同僚に対して、強いバイアスをかけている)

・Knowing the political bias of media outlets allows you to avoid manipulation and fake news.(報道各社の政治的バイアスを知ることで、操作されることやフェイクニュースに踊らされることを避けられる)

・He has been biased against his son’s job for a long time.(彼は息子の仕事に対して長い間偏見を抱いていた)

場面別に「バイアス」を使いこなそう

学術的な分野やビジネスシーンなど、さまざまな場面で見聞きする「バイアス」という言葉。馴染みのないカタカナ語である上に複数の意味を持つため、正確な使い方がよく分からないと悩む人は多いでしょう。

しかし、「バイアス」の意味を理解した上で場面別の使い方をしっかり把握すれば、正しく使いこなすことは可能です。

それぞれの場面における例文や、英文で使う場合の表現も併せて確認しておき、正確に「バイアス」を使えるようになりましょう。

(Sai)

※画像はイメージです

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