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カタルシスの意味とは? 日常での使い方をわかりやすく紹介

さおり

「カタルシス」の意味を知っていますか? 映画や歌詞などで耳にする言葉ですが、どんなふうに使われるものなのか詳しく知らない人もいるでしょう。今回は意味や語源、普段の使い方を、心理学のコラムなど数多く執筆しているライターのさおりさんに解説してもらいました。

心理学で効果があるといわれる、ストレス解消法の一種「カタルシス効果」。しかし、意味を深く理解できている人は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は「カタルシス」にピックアップして意味や語源、普段の生活での使い方をご紹介します。

最後まで読むと意味について正しく理解でき、今日から会話や文章などで使えるようになりますよ。

カタルシスとは何か? どんな時に使うの?

カタルシスとは、元はギリシャ語で「精神の浄化」を意味しています。また、古代ギリシャでは医学用語としても使用されていました。

まずは、言葉の意味をくわしく見ていきましょう。

「カタルシス」の意味は「浄化」「排泄」

「カタルシス」は元々、古代のギリシャで使用されていた言葉で、直訳すると「浄化」「排泄」という意味です。

現代では、大きく分けて2つの意味合いで使われています。

・映画や本などの物語によって心が大きく揺さぶられたり共感したりし、無意識に抑えていた気持ちがスッキリと解放されること。

・我慢していたネガティブな感情を意識し、言葉や話すことなどで外に吐き出してスッキリすること。

まとめると「抑えていたマイナスの感情が解放されて、気持ちがスッキリした様子」を表しているのです。

「カタルシス」の語源と歴史

元々の「浄化」「排泄」といった意味から、精神的な「心の浄化」として一般的に広まり現代で使われるようになったのはなぜでしょうか?

以下では語源や歴史、一般に広がった経緯をくわしく解説します。

語源はギリシャ語

ギリシャ語では「katharsis」と書きます。その内の「kathar」は「穢れや不浄を清める儀礼」を意味しており、「不浄や良くないネガティブなものを清めてスッキリとした精神状態にすること」を表します。

ちなみに英語では「catharsis」と書きます。

宗教団体では「魂の浄化」の意味で使用されていた

古代ギリシャにおける宗教団体のオルペウス教やピタゴラス教団などでは「罪からの魂の浄化」という意味で使用されていたようです。

アリストテレスが「精神の浄化効果」として説明

前述したとおり、語源をたどると最初は宗教などで使われていた専門的な用語だったのです。では、なぜ「メンタル面での浄化」といった認識で一般の間でも用いられるようになったのでしょうか?

実は、哲学者のアリストテレスが「演劇学用語」で使ったことが始まりでした。

アリストテレスは自身の著書「詩学」の中で「人は悲劇を見ている時に生まれる恐れや憐みを感じることで、無意識に心の奥底に抑え込まれていた同様な感情が解放して、心が清められる」と表しました。

その「詩学」がきっかけとなり「メンタル面がスッキリした様子」といった意味で用いられるようになったのです。

医学用語や精神分析の場面でも使用

また、「カタルシス」は古代ギリシャの医学用語でもありました。薬を飲ませて嘔吐させたり、下痢にしたりして腸内の便の排出を促す治療を指す言葉だったのです。

その他、精神科医のフロイトも心理学の用語として使っていました。当時行っていた催眠療法と合わせて「悲しく痛ましい話を聞いて涙する療法」によって、精神的に解放される様子を指しています。

これは現代でも心理学やカウンセリングの場面で「カタルシス効果」として使われています。

カタルシス効果とは何か?

前述したとおり、カタルシス効果という言葉は心理学の用語として現在も使われています。

「どのような効果なの?」「どんな場面で使えるの?」と疑問に感じる人に向けて、実際に用いられるシーンや使うべきタイミングを以下でくわしく解説します。

心理療法として使われるカタルシス効果

誰かに悩みを話したり、紙に文字にして書き出したりすることで気持ちがスッキリした経験は誰しもあるでしょう。ネガティブな感情には強いパワーがあり、溜め込むと心と体に支障をきたしてしまいます。

普段の生活の中で湧いてくるネガティブな感情や、過去のネガティブな思い出は「忘れよう」「思い出さないようにしよう」と抑えるのではなく、逆に言葉でアウトプットすることでメンタルの状態が改善できるのです。

不安や恐れ、悲しさやつらさなどのネガティブな感情を言葉にしたり話したり、アウトプットしたりしてストレスや緊張を解きほぐすことをカタルシス効果と呼びます。

カタルシス効果は映画や本を見ることでも得られる

より身近な例でいうと、映画や本を読むことでもカタルシス効果を得られます。

登場人物の言動や、物語の中のさまざまなシーンによって感情が高ぶると、言葉に出さなくても涙が出てきますよね。

実は、その感情が高ぶった時の涙にはストレス物質が含まれています。つまり、涙を流すことで物理的にもストレスを体の外へ出しているのです。

言葉でアウトプットしなくても、映画や本を読み感動して泣くことでカタルシス効果を得ることができるのです。

「カタルシス効果」を得る時の注意点

普段、無意識に抑えていた憤りを表すのは大事ですが、その感情のままにアウトプットしすぎるのは要注意。

感情が収まらずに継続されやすくなるからです。結果、メンタル面での良い効果を感じなくなってしまう恐れもあります。憤りを表現する時は、この逆効果も頭に入れておきましょう。

ビジネスで使われているカタルシス効果の具体例

カタルシス効果はビジネスシーンでも使われています。具体的な例を紹介します。

営業

顧客の悩みや不満をしっかりと聞くことで、相手は普段抱えていたネガティブな感情をアウトプットできます。

すると次第に心を開いてくれ、「この人なら大丈夫だ」と信頼されるようになります。それにより顧客との商談もスムーズに進むようになるのです。

マーケティング

例えば、ある商品やサービスを使用することで、ずっと悩んでいたことが解消された人がいるとします。その場合、もやもやした感情から解放されカタルシスを感じます。

カタルシス効果を得た消費者は、その商品やサービスに対して感謝の気持ちを抱き、SNSなどで自ら宣伝をしてくれるようになるのです。

カタルシス効果を引き出す際のポイント

得られるとメリットの多いカタルシス効果。引き出すにはいくつかのコツがあります。どうすればより効果が得られるのかを見ていきましょう。

(1)信頼関係を築いておく

カタルシス効果を引き出すには相手との信頼関係が必要になります。いくら会話がうまかったり、心理テクニックを駆使したとしても相手から信用されていない場合、悩みや不安を打ち明けてもらうことはできません。

まずは相手との信頼関係を築くことが大事です。

(2)自己開示を行う

相手との信頼を築くには自己開示を行うと良いでしょう。自己開示とは自分に関する情報をありのまま伝えることです。

自己開示をすることで、相手は自分だけに打ち明けてくれたと感じ、お互いの距離感がぐっと縮まります。

(3)聞き上手になる

カタルシス効果を引き出すには、相手の話を親身になって聞き、悩みを引き出すことが必要です。

相手の気持ちに寄り添って、否定ではなく共感を持って会話していくことで、「自分の話を聞いてくれる人」「信頼できる人」と思ってもらうことが重要となります。

 

【例文付き】「カタルシス」の言葉を日常で使うには?

実際に、「カタルシス」という言葉はどのようなシーンで使うことが多いのでしょうか?

せっかく語源や歴史、効果的な使い方を知ったからには、普段の会話や文章でも使いたいですよね。

そこで以下では、会話や文章での使い方を、シーン別に例文を交えてご紹介します。

心がスッキリとクリアな状態・またはそうでない時

心の中がスッキリと癒やされ、クリアに清められた様子を表したい時。または、スッキリとしない場合には以下のように使います。

例文

・晴れた空の下で、海の波音を聞いているとカタルシスを感じる。

・この映画はカタルシスがない物語だ。

心が動かされて深く感動した時

本や映画、音楽などのさまざまな要素をきっかけに心が揺さぶられて、深く感動した場面では下記のような言い方をします。

例文

・この小説は、読むとカタルシスを感じるからお気に入りだ。

我慢や抑圧してきた気持ちが解放された時

無意識に抑えてきた感情を話したり、紙に書いて心が解放された場面では以下のように使ってみてください。

例文

・過去のつらかった出来事を文章に書いてみたところ、想像以上にカタルシスを得られて癒やされた。

「カタルシス」を日常で使い表現の幅を増やそう

「カタルシス」について解説し、普段の生活での使い方を紹介しました。

上記の例文を参考に、普段の会話や文章の中で使いこなし、言葉の表現やボキャブラリーを増やして、表現力が豊かな人を目指しましょう。

(さおり)

※画像はイメージです

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