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「コミット」の意味は? 使い方やコミットメントとの違い

maco

「結果にコミットする」というジムのキャッチコピーで広く知れ渡った、「コミット」という単語。一体どんな意味なのでしょうか。ビジネス用語に詳しいライター、macoさんが分かりやすく解説します。

「もっとコミットしてくれないと!」「このプロジェクトにコミットしたいです」といったセリフを、職場で耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

「コミット」という単語には、複数の意味があり、日本のビジネスシーンでは非常に曖昧な言葉として機能しています。

間違えて使ってしまうことがないよう、意味や例文をチェックしておきましょう。

日本語における「コミット」の意味

まずは、「コミット」はどんな意味を持つ言葉なのか、確認してみましょう。

コミット
英語:commit

(前略)コミットとは、目標に対して責任を持って深くかかわるという意味。コミットは英語のcommit を基にした言葉で「関わり合いになる」「約束する」などの意味を持ち、日本語では主に「関わり合いになる」として使われる。(『新語時事用語辞典』より)

このように、日本語における「コミット」は、「深く関わる」という意味を持った表現です。

「結果にコミットする」というダイエットジムのキャッチコピーも、「体重を10キロ落とす」「腹筋を6つに割る」といった顧客の目標に対してトレーナーが責任を持って深く関わり、ダイエットを成功させるという意味合いで「コミット」を使用しています。

「コミット」を最も分やすく言い換えるとするならば、「本気でやる」といった言葉が適当でしょう。

また日本のビジネスシーンでは、「責任を持って自分の仕事に取り組む」というニュアンスで使用するのが一般的です。

「コミット」が持つ本来の意味とは?

日本では「コミット=本気でやる」といった使われ方をしていますが、英語の「commit」は、ややニュアンスが異なります。

「コミット(英: commit)」とは、付する、付託する、委ねる、身を任せる、捧げる、専心する、貢献する、完遂する、といった意味を持つ表現である。ネガティブな意味では「(罪を)犯す」といった意味合いでも用いられる。(『実用日本語表現辞』より )

「貢献する」「完遂する」など、日本語の「コミット」と似たような意味を持つ側面もありますが、英語の「commit」の意味合いは非常に幅広いです。

そのため、英語のネイティブスピーカーに対して「コミット」と言っても、こちらの意図が伝わらない可能性も考えられます。

日本で使われている「コミット」は和製英語だと認識しておき、海外のビジネスシーンではあまり積極的に使用しないのがベターです。

「コミット」を使った例文と使い方

「コミット」という用語は、どのように使うのが適切なのでしょうか。ビジネスシーンを想定した例文を交えて解説します。

例文

・来月から始まる新プロジェクトにコミットするため、他の業務は部下に引き継ぐ予定です。

・上司から「仕事へのコミットが足りていない」と言われたので、今後はもっと身を入れて取り組もうと決意した。

・「あの人はどんな仕事にもコミットできる人だ」と、職場の誰もが口をそろえて言う

このように、自分や他人の仕事への姿勢を指す言葉として使います。

十分に責任を持って関わっている様子を「コミットする」、仕事へのやる気や責任感が感じられない様子を「コミットしていない」といったように表現するパターンが多いです。

「会社の利益30%拡大にコミットします」など、「約束する」という意味合いで使われることもありますが、基本的には「本気で取り組む=コミットする」といった使い方をします。

「コミットする」という表現はおかしい?

例文でも紹介した「コミットする」という表現は、日本特有の使い方です。

英語の「commit」を基準にした場合、そもそも「commit」という単語は動詞なので、行くことを「ゴーする」食べることを「イートする」と言わないように、「コミットする」は厳密には誤りだと言えるでしょう。

名詞の「commitment」を略した和製英語と考えれば特に問題はありませんが、文法的に正しいかどうかを重視する日本人はあまりいません。

大抵のビジネスパーソンが「コミットする」という言葉を自然に使っており、特に若い人であればあるほど、違和感を感じない傾向にあります。

どうしても「言葉として正しくないのでは?」と気になってしまい、できるだけ使いたくない場合は、別の言葉に言い換えるのがおすすめです。「責任を持つ」「本気で取り組む」など、自分が最も違和感なく使える言葉で代用しましょう。

「コミット」に関連する言葉

現代日本のビジネスシーンでは、「コミットする」以外にも、「コミットメント」「フルコミット」といった言葉がよく使われます。

これらの意味や使い方も、合わせて覚えておくと便利です。

「コミットメント」とは?

「コミットメント(commitment)」とは、動詞である「commit」を名詞化したもので、意味はどちらも同じです。

仕事へ積極的に関わっている人のことを「コミットメントが高い」と表現したり、組織と従業員のつながりを示す指標のことを「組織コミットメント」と呼んだりします。

例文

・彼はどのプロジェクトを任せても、コミットメントが非常に高く、評価されている。

・従業員の組織コミットメントを高めるために、一人ひとりの能力や性格に合わせて役割を与えることにした。

・彼女はコミットメントがあまりにも低いので、チームから外すことを検討するべきかもしれない。

「コミットメントする」といった使い方はあまりしないため、「コミットしている状態=コミットメントが高い」と覚えておくといいでしょう。

「フルコミット」とは?

「フルコミット」とは、一言で言えば、責任を持って全力で取り組むこと。

commitに「十分な」という意味を持つfullをプラスすることで、「コミット」の意味がより強調できる言葉です。出世がかかっているプロジェクトに参加するなど、ここ一番という時に使われます。

あまり頻繁に使うと言葉の重みがなくなってしまうので、状況に応じて「コミット」と「フルコミット」を使い分けることが重要です。

例文

・今年度は、他の何を差し置いても、このプロジェクトにフルコミットしようと決めた。

・会社の将来を決める重要な案件だから、フルコミットで頼んだよ。

・仕事にフルコミットするために、家事代行サービスを頼むことにした。

「コミット」と同様に、動詞の「する」を添えて「フルコミットする」といった使い方が一般的です。

不安な場合は無理に使わなくてもOK

「コミット」のように英語と和製英語で意味が異なったり、複数の意味を持つ言葉は、使う場所によっては誤解を招くこともあります。

「コミット」という言葉を使い慣れていない人の場合、会話がどこかぎこちなくなったり、うっかり使い方を誤ってしまうリスクも。

職場内の共通言語として「コミット」が頻繁に使われているのであれば、「一切言わない!」というのは難しいかもしれませんが、そうでなければ無理に使う必要はありません。

「責任を持って取り組む」「深く関与する」など、自分の慣れ親しんだ言葉を使った方が、すれ違いや誤解を生むリスクは少ないでしょう。

「間違えて恥をかくのは嫌だけど、どうしても『コミット』という言葉が使いたい!」という場合は、スマートに使いこなせるよう、事前に例文をたくさん調べておいたり、職場の人が使っている様子を見たりして、理解を深めておくのがおすすめです。

「コミット」を正しく使おう

「コミット」に限らず、和製英語のビジネス用語は、正確な意味を理解せずに使っている人も少なくありません。

仕事において、「何となく」でコミュニケーションを取ってしまうのは、非常に危険なこと。「コミット」という単語を無理に使う必要はありませんが、社会人のたしなみとして正しく意味を理解して、いつでも使えるようにしておきましょう。

(maco)

※画像はイメージです

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