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「拙宅」の意味は? 使い方や類語・対義語を解説

丸山りさ(まる)

拙宅とは、自宅をへりくだって言う表現。読み方は“せったく”です。今回は、例文と共に拙宅という敬語の正しい使い方を解説。言い回しのレパートリーとして、類義語や対義語を紹介していきます。

社会人として働いていると、周囲との接し方や話し方、敬語の使い方などに気を付ける必要がありますよね。

しかし、ビジネスシーンなどオフィシャルな場面で使われる言葉は、日常的には使わないものも多く、慌てて意味を調べた経験がある人も多いのではないでしょうか。

「拙宅」という言葉も、日常生活ではあまり耳にしない表現です。そのため、意味や読み方を知らない人もいるでしょう。

ここでは「拙宅」の意味、そして例文と共に正しい使い方を紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

「拙宅」とは? 読み方と意味

「拙宅」という言葉を知らない方に向け、まずは「拙宅」の意味や読み方など基本的な知識を解説します。

「拙宅」の読み方

「拙宅」は“せったく”と読みます。

「拙」は「つたない」「未成熟」「劣っている」という意味を持つ漢字です。漢字通りに意味を受け取れば「拙宅」は「劣っている家」となります。

「拙宅」の意味

「拙宅」とは、自分の家をへりくだって表現する言葉です。「拙」を「宅」の前につけることで、自分の家を下げ、相手を立てる謙遜表現です。

目上の人や尊敬している相手に対して、「我が家」「自宅」「ウチ」という言葉を使うのに抵抗がある時や、より丁寧に表現したい時に使います。

ビジネスシーンなどのオフィシャルな場面で「自宅」の話をしたい時に覚えておくと便利でしょう。

「拙宅」は謙譲語

敬語には尊敬語や丁寧語、謙譲語などの種類があります。

「拙宅」は自宅をへりくだって言うことで相手を立てる表現のため、その中でも謙譲語にあたります。

似た言葉に「拙者」がありますが、こちらも同じように「自分」をへりくだって表現した謙譲語です。

「へりくだり、相手に敬意を表す敬語」は謙譲語であると覚えておきましょう。

「拙宅」の使い方

「拙宅」の意味や読み方を理解したら、次は使い方をマスターしましょう。

なかなか使うことや聞くことが少ない言葉であるため、最初はうまく会話に盛り込むのが難しいかもしれません。

しかし、このような敬語表現の使い方を覚えておけば、いざという時の表現に困る心配もなくなります。この機会に覚えておきましょう。

目上の人や尊敬する人に対して使う

「拙宅」は「自宅・我が家をへりくだって表現した言葉」であるため、目上の人や上司に対して使います。

友人や同僚、部下などに使うと、堅苦しく、慇懃無礼(※)な印象を与えてしまうかもしれないので、適切な相手かを判断して使用しましょう。

※慇懃無礼(いんぎんぶれい)……言葉や態度が丁寧過ぎて、かえって無礼であること。

家庭を表す言葉としても使える

「ウチ」や「我が家」という言葉は住居としての「家」を意味することが多いですが、「家庭」を意味する場合もあります。

「拙宅」も同じように「家」と「家庭」の両方を表す言葉として使用可能です。自分の家庭の話題を目上の人相手に話す時にも活用できる表現です。

「拙宅」を使った例文

「拙宅」という言葉は、話し言葉としても、手紙やメールなどに使う丁寧な表現としても適しています。

覚えておけば日常生活のさまざまなシーンで使えるためとても便利でしょう。

ここからは、「拙宅」の例文を紹介します。使い方の参考にし、好印象な言葉遣いゲットしましょう。

「拙宅」を会話中で使う場合

まずは、話し言葉で使用する際の例文です。

自宅に目上の人を案内する時や、自宅の近くに目上の人が来た時などに使用します。たまたま自宅近くで上司と会った場合などにも使える表現です。

・こちらにお越しの際はぜひ拙宅にお立ち寄りください。

・先日は拙宅までご足労いただき、誠にありがとうございました。

・拙宅までご案内いたします。

・この近くに住んでいますので、拙宅にもぜひお立ち寄りください。

・この度は、拙宅の新築祝いに結構なお品を頂きまして、誠にありがとうございました。

「拙宅」を手紙やメールで使った場合

「拙宅」という言葉はお礼状や年賀状など形式ばった挨拶の文面でよく使われます。

また、新築祝いや、ささやかなパーティなどのお誘い、来てくれたお礼などの文面の中で使うと丁寧な印象を与えることができるでしょう。

・暖かくなり、拙宅の庭でもやっと花が咲きました。

・ささやかではありますが、拙宅にて父の古希のお祝いを催すことになりました。

・このたび見晴らしの良いところに新居を構えました。近くにお立ち寄りの際は拙宅へお越しください。

・先日は拙宅までお祝いに来てくださり、誠にありがとうございました。

「拙宅」の間違った使い方・注意点

敬語表現は、使い方を間違えると相手に不快感を与えてしまうことがあります。間違った意味で使ってしまうと、失礼になることもあるでしょう。

「拙宅」は「自分の家」を謙譲語で表現した言葉ですが、使い方を間違える人も多いので注意が必要です。

相手の家を指す言葉ではない

「相手の家」を指す言葉として使うのは間違った表現です。

「○○さんの拙宅はどちらでしょうか?」「○○さんの拙宅に呼ばれた」といった使い方はしないように注意してください。「拙宅」は「自分の家をへりくだって表現した言葉」であるため、相手の家を「拙宅」と呼ぶのは失礼にあたります。

「自分の家」を指す時のみ、使うようにしましょう。

男女関係なく使える

武士や男性が使った「拙者」という言葉と同じように、「拙宅」も男性が使う言葉であるといったイメージを持つ人も多いでしょう。

そんな言葉のイメージがあるため、使いにくいと感じる女性も多いようです。

しかし、「拙宅」は男性のみが使える言葉ではなく、男女関係なく使うことが可能です。覚えておきましょう。

言葉の響きが「男性っぽい」「堅苦しい」という理由で使いにくいと感じる場合は「小宅(しょうたく)」という言葉を使っても問題ありません。

「拙宅」とほぼ同じニュアンスの言葉なので、こちらも覚えておくと便利でしょう。

同僚や部下にはあまり使わない

先ほど目上の人に謙遜して使う言葉だと紹介した通り、同僚や部下に対して使うには少々違和感があります。

そんな時は、「我が家」「自宅」「私宅」など少しカジュアルな表現を用いるといいでしょう。

「拙宅」の類義語と対義語

「拙宅」という言葉をより深く理解し、言葉のレパートリーを増やすには、この類義語や対義語を知っておくことが役立ちます。

最後に、それぞれ見ていきましょう。

「拙宅」の類義語

「拙宅」と同じ意味を持つ言葉は、いくつかあります。

・拙家(せっか)
・小宅(しょうたく)
・小家(しょうか)
・矮屋(わいおく)
・弊宅(へいたく)
・陋宅(ろうたく)

どれも自分の家をへりくだって言う言葉ですが、「小家」や「弊宅」「陋宅」などは「粗末な家」「あばらや」「狭くてむさ苦しい家」といった意味があるため、自虐的な印象も与えかねません。

「拙宅」以外に、へりくだって「自宅」を表現したい時は「小宅」「拙家」を使用するのがおすすめです。

拙宅の対義語

「拙宅」の対義語は「相手の家を敬った言い方」になります。例えば、以下の言葉が、相手の家を指す敬語表現です。

・お宅(おたく)
・ご自宅(ごじたく)
・貴宅(きたく)
・貴家(きか)
・尊邸(そんてい)
・尊宅(そんたく)
・邸宅(ていたく)

相手の家にお呼ばれした後のお礼メールや手紙などでも使うことができます。

カジュアルながらも敬意を示したいなら、「お宅」や「ご自宅」を使いましょう。

ビジネスシーンや改まった書面での挨拶なら、以下のように尊敬語として使える「貴宅」を使うのがおすすめです。

「貴宅までご挨拶に伺います」

このように自分の家を指す敬語と、相手の家を指す敬語表現は使い分けできるようにしておくのがベストです。間違えてしまうと、失礼な印象を与えかねません。注意しましょう。

目上の人に自宅を紹介する時に使ってみよう!

「拙宅」は自分の家をへりくだって伝える敬語表現で、目上の人に対して使うのに適しています。丁寧な表現ではありますが、誤って相手の家を指して使わないよう注意しましょう。よくある誤りの1つです。

ビジネスシーンで、目上の人や上司、取引先の人と接する時には、敬語の使い方や種類が相手との関係性によって変わります。難しいですが、社会人として身に付けておくと失礼な印象を与えずに済みます。

「拙宅」という敬語の意味をしっかり理解して、適切な場面で使えるようにしておきましょう。

(まる)

※画像はイメージです

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