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アンダードック効果とは? 意味や恋愛での活用方法を解説【心理学】

高見綾(心理カウンセラー)

アンダードッグ効果とは、弱い立場の存在を応援したくなる心理のこと。恋愛や仕事など日常に取り入れるにはどうすればいいのでしょう? 心理カウンセラーの高見綾さんがその効果と特徴、使い方を解説します。

弱い立場にいる人に同情して応援したくなる心理を「アンダードッグ効果」と言います。アンダードッグとは「かませ犬」のこと。

同じ意味で、聞き慣れないかもしれませんが「判官びいき」という言葉を使うこともあります。

今回は、アンダードッグ効果とは何かを解説しながら、それを恋愛や仕事などの日常生活で生かす方法や注意点について紹介します。

アンダードッグ効果の意味

まずは、アンダードッグ効果とは何かについて、ひも解いていきましょう。

アンダードッグ効果とは?

アンダードッグ効果とは、前段でも少し触れましたが、弱い立場にいる人に同情し、応援しようとする心理を言います。

アンダードッグは、日本語でいうと「かませ犬」のこと。闘犬に自信を付けさせるために、噛ませるための弱い犬(=かませ犬)をあてがっていたことが由来で、不利な状況に置かれている立場のことを指すようになりました。

同じように、弱者や不利な勢力に同情し応援する心の動きを「判官びいき」(ほうがんびいき)と言うこともあります。判官とは、判官の職を帯びる者の通称のことで、九郎判官と呼ばれた源義経の生き様に同情することが由来となっています。

日常で見られるアンダードッグ効果例

日常でも、アンダードック効果は見られます。

例えば、スポーツ観戦で、大きな点差で負けそうになっていても、一生懸命に頑張っているチームがあれば応援してしまうことがありますよね。

また、歴史上の人物として、江戸時代末期に活躍した新選組は最終的には斬首刑になるなど悲しい結末を迎えますが、幕末のヒーローとして日本人に根強い人気があります。

これらもアンダードック効果だと言えるでしょう。

アンダードッグ効果とは逆の「バンドワゴン効果」って?

また、アンダードッグ効果とは逆に、多くの人と同じでありたいという心理を表すバンドワゴン効果というものがあります。いわゆる「勝ち馬効果」のことです。

既に支持を受けている人や状況に対し、「みんなと同じでありたい=同じものを支持したい」という気持ちがさらにそれを加速させるのです。

このように、アンダードッグ効果とは真逆の心理も私たちの中には存在します。

日常では、口コミランキング上位にある商品だから自分も欲しいと思ったり、興行収入1位と宣伝された映画だから自分も見に行こうとしたりすることも、みんなと同調したいというバンドワゴン効果の表れです。

アンダードッグ効果を抱く心理

少し話が脱線しましたが、再びアンダードッグ効果について深堀りしていきましょう。人はなぜ負け犬や弱者に対して、応援したい心理を持つのでしょうか。

続いては、その背景にある気持ちを探っていきましょう。

(1)一生懸命な姿に共感する

アンダードッグ効果は、不利な状況にいたとしても諦めずに一生懸命に努力する様子に共感することで起こります。

一般的には、頑張っても結果に結び付かないことはたくさんあります。それでも真剣に取り組む姿勢に共感して応援したくなるのです。

(2)本能的に助けたくなる

人間は、赤ちゃんやお年寄りなど弱い立場の人は守らなければいけないという本能を持っています。

不利な状況に陥って立場が弱くなっている人に対しても、そういった本能的な面から助けたくなるのです。

(3)自己開示の返報性

相手が弱い立場にあることを開示してくれたため、自己開示の返報性により、その状況に同情し、自分も相応の何かを開示しようという気分になります。それが、結果として応援したいという気持ちにつながるのです。

自己開示の返報性とは、このように相手の個人的な情報を開示されると、好感を持ったり、親近感を抱いたりすることを指します。

(4)自分を投影している

うまくいっていない姿に、自分の姿を投影することで同情し、応援したくなる心理です。

うまくいっていない人を応援することを通じて、「失敗だって許容できる自分」「私もうまくいかない時もある」などと、自分自身を安心させているのです。

アンダードッグ効果を意図的に活用した事例

世の中には、この心理学を意図的に活用している事例もあります。いくつか例を見ていきましょう。

選挙での事例

立候補者が、自転車で街中を走り回ったり、演説などで必死に努力したりする姿を見せることがありますよね。そして、自分が選挙において有利であるとは基本的に言わないことが多いでしょう。

また、仮想敵を作ってケンカを売り、自分は弱い立場であると主張する方法も見られます。

例えば「古くて堅い考えを持つ巨大な組織と戦う孤高のヒーロー」のような演出をすることで、同情を集める事例もあります。

まさにこれらは、アンダードッグ効果を意識した事例だと言えるでしょう。

マーケティングでの事例

商品が売れていないことを明かした上で、販売キャンペーンを行った事例がありました。一度食べてもらえれば、必ず商品の魅力が伝わり再購入につながるはずだ、との予測で行われたのでしょう。

また、誤発注で大量に商品が届いてしまい、「助けてください」と訴えかけるポップを添えながら商品を販売する様子をSNSなどで見かけたことはありませんか?

アイドルを売り出すための事例もあります。不細工であることをあえて自ら主張したり、貧乏エピソードなど不遇の時代があった話をしたりするアピール方法です。そうすることで弱者感を出し、アンダードッグ効果を上手に狙った戦略もあります。

アンダードッグ効果を取り入れるコツと注意点

今回紹介したアンダードッグ効果を、日常の中で上手に使うことができたら何かと役立ちそうですよね。

この心理学を生活の中に取り入れるコツと注意点について、恋愛や仕事を例にいくつか紹介していきます。

恋愛での活用

恋愛の場面でアンダードッグ効果を使うには、どんな方法があるのでしょうか。

弱い一面を見せる

弱い部分を見せることで好意を持ってもらうテクニックです。

例えば、「料理を頑張っているんだけど、上達しない」「昔傷付いたことがあって、なかなか心が開けない」「2週間頑張って用意していたのに、肝心のところでミスして怒られてしまった」など、弱みを自分から開示してみましょう。

「普段はこんなこと誰にも言えないけれど、あなたの前だけは特別」という姿勢を見せると効果的。秘密の共有をすることで親密になりやすくなります。

ただし注意点として、乱用すると面倒くさい人だと思われてしまうこと。基本的には前向きなスタンスでいるようにしたいものです。いつも一生懸命な人が、弱い部分を見せるからこそアンダードッグ効果が働くのです。

一生懸命に距離を縮める努力をする

好きな人と仲良くなるために、一生懸命行動しているところを見せると、相手の目に留まりやすくなります。

相手の趣味を理解しようと一緒にやってみたり、話し掛けようとしてみたりする姿は、「自分のために頑張ってくれているんだな」と相手が感じやすくなります。

打算がなく、たとえ振り向いてもらえなくても健気に頑張る姿勢こそがアンダードッグ効果を生みます。ただし、健気アピールが空回って迷惑な行動にならないよう注意しましょう。

営業など仕事での活用

続いて、仕事で営業などをする時に使えるアンダードッグ効果を紹介します。

「在庫が大量に余っている」とアピールする

仕入れミスをした、販売予測ミスがあったなど、何らかの事情により在庫が大量に余ってしまったという弱みをオープンにすることで、アンダードッグ効果が発生するケースがあります。

ただし、会社側の真剣さや、普段の一生懸命さが伝わった時に効果を発揮するため、商売っ気を出し過ぎてしまうと失敗する可能性が高くなります。注意しましょう。

「期待ほどに売れていないこと」をオープンにする

社内一押しの商品であるにもかかわらず、売れていないこと、そして落ち込んでいることをオープンにします。

買ってもらえれば納得してもらえる商品であると自信を持っていること、並々ならぬ情熱を注いできたことなども正直に話します。単に売れていませんというだけではなく、前向きなスタンスで話をしてみることが大切です。

中小企業ならではの特徴を売りにする

中小企業は大企業に比べると、規模が小さくできることも限られてしまう部分があるでしょう。

そこを逆手に取り、中小企業ならではの特徴を売りにしてみましょう。

例えば、「私たちは、親身になって手厚いサービスをすることにおいてはどこにも負けません」などアピールすると◎。

大企業ではない弱者であっても頑張っているというところで、アンダードッグ効果が働きます。

アンダードッグ効果の活用には「真剣な姿勢」が不可欠

アンダードッグ効果は、スポーツ観戦で負けているチームを応援したくなるなど、日常でもたくさんの事例を見ることができます。

そしてそれは、一生懸命取り組んでいる姿に共感してもらえることで効果を発揮します。つまり、ただ弱者を演じるだけでは意味がないということ。

恋愛や仕事においても、まずは真剣に取り組む態度を見せるのが大事。たとえ失敗したとしても、その努力を見ている人から応援してもらえるはずです。ぜひ上手に活用してみてくださいね。

(高見綾)

※画像はイメージです

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