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【心理学】サブリミナル効果とは? 事例でわかりやすく解説

桑野量(心理カウンセラー)

サブリミナル効果って結局何? 広告で禁止されているって本当? 気になるうわさの真相を心理カウンセラーの桑野量さんが事例と共に解説します。

サブリミナル効果という言葉を聞いたことがありますか?

サブリミナル効果とは、人間の無意識にメッセージを働きかける手法の1つとされています。

この効果を利用した広告や映像作品について禁止されていることもあり、サブリミナル効果について「怖い」と感じている方も少なくないかもしれません。

サブリミナル効果とはどのような手法のことなのか? 実際に広告などでどのように使われていたことがあるのか?

気になる方のために詳しく解説をしていきます。

サブリミナル効果の意味

まずは、サブリミナル効果とは何か、について見ていきましょう。

サブリミナル効果とは

サブリミナル効果とは、非常に短い時間に刺激したり、刺激を非常に小さくしたりして、人間の潜在意識に影響を与える効果のことです。

私たち人間には顕在意識と潜在意識があります。

顕在意識は私たちが認識できている意識のことで、潜在意識は私たちが普段認識できていない意識のことです。

サブリミナル効果とは、私たちが認識できない刺激を潜在意識に与えて影響を及ぼすことを目的としてします。

サブリミナル効果の信憑性

これは、1957年にジェームズ・ヴィカリーのある実験によって有名になりました。

彼は映画が上映されているスクリーンに、観客が認識できない1/3000秒という短い映像で何度も「コーラを飲もう」「ポップコーンと食べよう!」というメッセージを差し込むことで、映画館の売店の売り上げを増加させることができたと発表しました。

1/3000秒という短い時間なので、映画を観ている観客はそれを認識することは出来ませんでしたが、人間の潜在意識へと働きかけることで、購買意欲を駆り立てることができたというものでした。

しかし、ジェームズ・ヴィカリー自身が後年になって、この実験が捏造であることを発表しました。これによりサブリミナル効果の信憑性は疑われるようになります。

また、サブリミナル効果を否定する実験もいくつか行われました。

その1つに1958年にカナダ放送協会が全国放送で、サブリミナル効果についての実験を行ったものがあります。人間には認識できないスピードで「すぐに電話してください」と映像の中にメッセージを流しましたが、電話が大量にかかってくることはありませんでした。

このようなことからサブリミナル効果は信憑性が薄く、疑問視されている部分があります。

サブリミナル効果を使った企業の事例

現在サブリミナル効果は企業のロゴのデザインなどで目にすることができると言われています。

Amazonやハイネケンの例

例えば、Amazonのロゴはオレンジ色の矢印がAからZまで伸びていますが、これは「何でもそろえています(A~Zまで)」という意味と、矢印がニッコリを笑っている口元を表しています。

またビールのハイネケン(Heineken)のロゴは、Heinekenのeの文字が笑っているように見えます。これは「スマイルe」と呼ばれて、お客様に笑って欲しいというメッセージが込められています。

映像作品では、『エリア88』や『シティハンター」などのアニメ、『マネーの虎』というテレビ番組で、認識できない1コマや一瞬のメーセージを挿入し、サブリミナル効果を利用していると話題になり、オープニングの演出が変更されることがあったと言います。

NHKや日本民間放送連盟の禁止例

1995年に日本放送局(NHK)が、1999年には日本民間放送連盟がサブリミナル効果を使用した表現方法を禁止しています。

法律では禁止されていませんが、自主規制という形になっています。サブリミナル効果を利用することは、人間の無意識を刺激して消費行動を操るであろうとされる悪質な行為にみなされるからです。

サブリミナル効果は実在する?

サブリミナル効果の信憑性について前述しましたが、本当にこれは実在するのか、さらに深く考えていきましょう。

人々の恐怖が「サブリミナル効果」を育てた?

サブリミナル効果について、それは科学的に立証されていませんが、ここまでサブリミナル効果という言葉が広く認識された理由には、「無意識に行動をコントロールされるかもしれない恐怖」とその「ショッキング性」が大きかったからだと思われます。

認識できないメッセージによって無意識を刺激するという手法は、たとえサブリミナル効果について知っていたとしても、対策することが難しく、人々の心に大きな不安を感じさせました。

サブリミナル効果に似た単純接触効果との混同?

また、サブリミナル効果に似たようなもので、「単純接触効果」というものがあります。

単純接触効果とは、ある刺激に触れる回数が増えるほど、それを好きになっていく効果のことです。私たちはよく顔合わせる人やよく見かける商品に知らず知らずに親密感や好感を持つことがあります。

サブリミナル効果と違う点は、単純接触効果の場合は、刺激を認識していることです。

サブリミナル効果は認識できない一瞬のメッセージでしたが、単純接触効果の場合は刺激の対象を認識することが出来ています。よく会う人やよく見かける商品はちゃんと認識することが出来ていますからね。

サブリミナル効果が広まった理由として、この似たような単純接触効果について、人々が実感できるものであり、認識できない一瞬のメッセージでも同じようなことが起こりうるかもしれないとイメージしやすかったこともその理由としてあるのではないでしょうか。

無意識で触れたものの影響は少なからずある?

また、サブリミナル効果についてはその信憑性が疑われることもありますが、限定的な条件の元では効果があったなどの実験報告もあります。

私たち人間は目にしたものや、触れたものなどの影響を受けながら生きています。

「サブリミナル効果は人間にどれだけの影響を与えるか?」は分かりませんが、無意識にでも目にしたものや触れたものからは、少なくとも何かしらの影響があるのかもしれません。

人間の行動も認識できているものは数%で、ほぼ無意識によってコントロールされているという研究もなされていますからね。

謎が多いからこそ気になる「サブリミナル効果」

さまざまな理由や時代背景から、サブリミナル効果は人々の関心と興味を惹きつけてきました。

科学的に立証はされていませんが、完全に否定されているわけでもないので、その不透明さや謎も人々の関心を駆り立てるのでしょうね。

サブリミナル効果に対して必要以上に怖がる必要はないと思いますが、しっかりとした知識や情報を手に入れておくことが安心につながるかもしれません。

(桑野量)

※画像はイメージです

 

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