感情移入しすぎてつらい。原因&対処法を専門家が解説
暗いニュースや映画、アニメなどを見てついつい泣いてしまったり、感情移入したりするのは誰にでもあること。でも、感情移入しすぎてつらい時もありますよね。今回は、心理カウンセラーの服部希美さんが、感情移入しすぎる人の特徴や原因・対処法を解説します。
ドラマやアニメを見た時に、登場人物に感情移入して泣いてしまった。そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。
ですが、暗いニュースを見ていると自分まで暗い気持ちになってしまったり、周囲の不安を感じ取って自分まで不安になってしまったりと、感情移入しすぎてつらい時もありますよね。
そこで今回は、感情移入しすぎてつらくなってしまう原因と対処法をお伝えします。心当たりのある方は参考にしてくださいね。
「感情移入しすぎる」とはどんな状態?
そもそも、感情移入すること自体は悪いことではありません。ですが中には、他人の感情に振り回されてつらい気持ちになってしまう人も。
では、「感情移入しすぎる」とはどのような状態を指すのでしょうか?
(1)暗いニュースやドラマを見て落ち込む
暗いニュースを見ると不安でたまらなくなる、フィクションであると分かっているにも関わらず、暗いドラマを見て落ち込んでしまう……。
このように、見聞きしたものに感情が振り回されている状態は、感情移入しすぎていると判断できるでしょう。
(2)周りの人の感情に振り回される
人から相談されると自分までつらい気持ちになってしまったり、機嫌の悪い人がいると苦しくなったり、人が怒られていると自分までつらくなったり。
「人は人、自分は自分」と割り切って考えられないような時も、感情移入しすぎていると言えるでしょう。
(3)感情移入して「つらい」時間が長く続く
いったん感情移入をしてしまうと、なかなか気持ちが切り替えられず、つらい気持ちを長く引きずってしまう人も多いです。
特につらい気持ちの原因が自分の中で見つからない時には、他人のつらさに感情移入しすぎているかもしれません。
感情移入しすぎる人の特徴
感情移入しすぎる人の中には、自分が感情移入しやすいタイプだという自覚がなく「どうして他の人は平気なんだろう」と悩んでいることも多いようです。
次に感情移入しやすい人の特徴をご紹介しますので、皆さんもチェックしてみてくださいね。
(1)感受性が豊か
美しいものや音楽を聞いて感動したり、日常のちょっとしたことで幸福感を感じたり、空想を楽しんだりと、感情移入しやすい人は感受性が豊かな傾向があります。
こうした感性の高さから、物語を創作したり絵を書いたりするのが得意な人も多いようです。
あなたの感受性はどう? 10の質問に答えて「感受性の豊かさ」をチェックしてみましょう。
(2)人の気持ちを察する能力が高い
感情移入しやすい人は、人の感情やエネルギーに敏感です。そのため、相手の雰囲気や言動などから相手の気持ちを察して配慮をすることが得意です。
相手の立場に立って物事を考えることができるので、人から相談されやすいのも特徴です。
(3)自分の本心が分からない
人に感情移入しやすい分、自分と他人の感情の区別がつきにくくなりやすいようです。
人に合わせるのは得意だけれど「あなたはどうしたいの?」と聞かれると困ってしまう人も多いでしょう。
(4)繊細で傷つきやすい
相手の気持ちを汲み取る能力が高い分、他の人は気にしないような些細なことが気になるのも特徴。
誰かと話した後も「私は嫌われているのではないだろうか」「私の一言で、あの人を傷つけなかっただろうか」など、気に病んでしまうことも多いのではないでしょうか。
(5)人混みやうるさい場所が苦手
感情移入しすぎる人の中には、音や匂いにも敏感で、人混みやうるさい場所が苦手な人が多いです。
場所や音が原因でもストレスがたまるので、精神的に疲れやすい傾向にあります。
感情移入しすぎてつらい時の対処法
感情移入しやすい人は、感情移入しすぎてしまった時にも落ち着いて対処できるよう、自分なりの対処法を編み出しておくと安心です。
感情移入しすぎてつらい時に有効な対処法をお伝えしますので、自分に合う方法を取り入れてみてくださいね。
「順番に対処法を試していけば良い」と考えるだけで安心して、不安に飲み込まれることが減るかもしれません。
(1)好きな漫画や本を読む
感情移入しすぎてつらい時には、好きな漫画や本を読み、いったん気持ちを切り替えましょう。
アニメや映画などの映像作品の他、音楽でもOKです。外出する時には、好きな物を何か1つでも持ち歩くようにすると安心感が増しますよ。
(2)好きなアロマオイルの香りを嗅ぐ
部屋でアロマオイルやお香を焚くなど、香りで心を落ち着かせることも有効です。
普段から感情移入しすぎる場合は、リラックスする香りを染み込ませたハンカチを持ち歩くのも良いですね。
(3)自然に触れる
感情移入しすぎてつらい時は、木や土、植物など、自然に触れることで気持ちを切り替えてみましょう。
自然には、現代の人工的な環境でたまったストレスをケアする効果が期待されています。
普段から部屋で観葉植物を育てたり、花を飾ったりするのも効果的です。
(4)お風呂に入る
負の感情を洗い流すイメージで、お風呂に入ってリセットしてみましょう。入浴することで体が温まり、副交感神経が刺激されます。すると心と体の緊張がほぐれてリラックスすることができるでしょう。
お風呂に入れない場合は、手を洗うだけでも気分が変わるものですよ。
(5)1人になる時間をつくる
感情移入しすぎてあまりにもつらい時は、いったん、1人になる時間をつくりましょう。
外界をシャットダウンすることで、心がだんだんと落ち着いてきます。
感情移入しすぎる人が楽に生きるためのヒント
では、感情移入しすぎる人が楽に生きるために、日頃から心掛けておくと良いことをご紹介します。
(1)瞑想などで「何も考えない」時間をつくる
感情移入しすぎる人は、常に心のアンテナがフル稼働しています。
1日5分で良いので、1人になって「何も考えない」時間をつくり、心と体を休ませてあげましょう。
(2)日々の感情を日記などに書き出す
感情移入しすぎる人は、周りの人の感情と自分の感情の区別がつかなくなる傾向にあります。日頃から「自分」と「人」との区別をつける練習をしていきましょう。
例えば、「私はこう思う」「あなたはそう思うんだね」など、主語を意識して話すようにするのが効果的です。
また、1日の最後に、自分が何を感じたのか、どんなことがつらかったのか、日記をつけてみると、自分の感情を整理するきっかけになりますよ。
(3)理解者をつくる
感情移入しすぎる人は周りの人に合わせて過ごすことが多いため、ストレスがたまりやすい傾向にあります。
そのため、本当に信頼できる人に事情を話し、気兼ねなく過ごせる場をつくりましょう。
(4)相談を聞く時には時間を決める
感情移入しすぎる人は、人の気持ちがよく分かるため、人から相談されることも多いと思います。
感情移入しすぎてつらくなってしまわないように、自分のコンディションが悪い時には日を改めてもらう、「1時間だけならいいよ」など時間を区切ることで自分を守ることも大切です。
感情移入しすぎるのは長所でもある
感情移入しすぎることは短所だと思われがちですが、人にはないクリエイティブさや、人の悲しみを理解して優しく接することができるという良さもあります。
あなたは気付いていないかもしれませんが、今まで、あなたに救われた人もたくさんいたのではないでしょうか。
ぜひ、あなたが持っている素晴らしい才能を、上手に活用していただけたらと思います。
応援しています!
(服部希美)
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