「漠然とした不安」の正体は? 原因と解消法
急に「漠然とした不安」に襲われることはないですか? はっきりした原因は分からず、ただただつらい日々を過ごしているかもしれません。そこで今回は、心理カウンセラーの服部希美さんに、漠然とした不安の正体や対処法を教えてもらいました。
具体的に悩んでいることを聞かれるとパッとは出てこないけれど、常に不安がつきまとう。眠れなかったり、夜になるとなぜか怖くなったりする。ひどい時には、急に落ち込んで涙が出てしまう。
そんな「漠然とした不安」を感じながらも、日々頑張っている方は多いと思います。
今日は心理カウンセラーの視点から、そんな「漠然とした不安」を解消する方法を紹介します。
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漠然とした不安感の正体って?
漠然とした不安を解消するための第一歩は、不安の正体を知ることです。
ここでは、代表的な不安の原因5つを紹介します。あなたの不安がどこからきているのかチェックしてみましょう。
(1)仕事・キャリア形成への不安
終身雇用や年功序列がなくなりつつある現代に生きる私たちは、キャリア面でも自分が主体となって考えていかなければなりません。
現在、仕事をしている人であっても「このままでいいのだろうか」と将来に不安を感じている人も多いでしょう。

仕事、お金、結婚……将来が不安な人へ向けて、3つの打開策を紹介します。
(2)結婚・出産・子育ての不安
周囲がどんどん結婚し、子どもができ始める世代に入ると「私は将来、結婚をしたいのか」「子どもを持ちたいのか」と自分と向き合う時間が増え、焦りや不安を感じてしまう女性は多いです。
また、子育てと仕事のバランスがうまく取れるだろうかと、出産後のキャリアに対して不安が強い方も。
(3)老後など将来の不安
自分の老後などの将来について、不安を抱える人も多いです。
「金銭的に困らないだろうか」「孤独にならないだろうか」「ちゃんと住むところがあるだろうか」「健康的な生活を送れるだろうか」「自分を看取ってくれる人はいるだろうか」考え出すときりがないです。
(4)年齢の不安
客観的に見れば心配する必要はない年齢だとしても、今の自分が理想の自分像に遠ければ遠いほど、「もう、こんな年になってしまった」と年を重ねていくことに不安や焦りを感じやすくなります。
特に女性は容姿に対してコンプレックスを持ちやすく、年を重ねることで自分の魅力や価値がなくなると誤解しやすいため、男性よりも年齢への不安を強く感じやすい傾向にあるといえるでしょう。
(5)親の死に対する不安
もし親に介護が必要になった時、どうしていけばいいのか。親が死んだ後やっていけるのかどうかなど、今まで当たり前のように存在した親の死を想像し、不安を感じてしまう方も多いでしょう。
漠然とした不安が生まれた時の対処法
不安は誰しもが感じるものですが、不安が生まれた時にどう対処するかによって、その後の心の状態が大きく違ってきます。
ここでは、漠然とした不安が生まれた時の対処法を4つ紹介しますので、自分に合うものを試してみてくださいね。
(1)不安と向き合う
一度自分が不安に感じていることを、紙やスマホのメモ帳などに全て書き出してみましょう。
書き出すことで不安が可視化され、具体的な課題として認識することができます。
ちなみに、不安の正体は「今自分が取り組めること」と「今考えてもどうしようもないこと」に分けられます。
ですので、「今考えてもどうしようもないこと」は手放し、取り組めることにベストを尽くしていくと、不安が減っていきますよ。
(2)日常を大切にする
不安や焦りにとらわれていると、先のことばかりに意識が向いてしまい日常をおろそかにしがちです。
ご飯を味わって食べたり、適度な運動をしたり、早めに就寝したりするなど、「今」を大切にするよう心掛けると心が落ち着いてくることも多いです。
漠然とした不安を感じた時ほど、いったん立ち止まってみましょう。
(3)完璧主義を緩める
「完璧であらねばならない」と自分への期待が高ければ高いほど、自分に求めるハードルが高くなり、不安を感じやすくなってしまいます。
できるだけハードルを低くし「今日は、このぐらいできたら十分」「毎日、よく頑張っている」など、自分が今日できたことを認めていくのも効果的です。
(4)「なるようにしかならない」と思うようにする
どれだけ手を打ったとしてもトラブルはつきものですし、リスクをゼロにすることは難しいですよね。
ベストを尽くした後には「なるようにしかならない」「状況に合わせていくしかない」と切り替えるのも大切です。
漠然とした不安を抱えやすい人の特徴
実は、「漠然とした不安」を抱えやすい人には特徴があります。確認していきましょう。
(1)マイナス思考
物事の悪い面や、できなかったことばかりを見る癖がある人は「きっとこの先も悪いことが起きるだろう」と将来を悲観的に捉えがちです。
(2)理想が高い
完璧主義の人に多いのですが、理想の自分や生活のレベルが高ければ高いほど、今の自分に不満を感じやすくなります。
そして、「このままでいいのだろうか」「自分の生き方は間違っているのではないか」と不安を抱えてしまうのです。
(3)他人軸になっている
「私には自分を支えられるだけの力がない」と感じていると、「自分の幸せは自分と関わる相手や状況次第」という他人軸になってしまうため、過度に不安な気持ちになりやすいです。
(4)分からないことを放置しがち
私たちの心は「分からないこと」に対して不安を感じます。
よって、分からないことをそのまま放置する癖があると、過度に不安が膨らんでしまいつぶれてしまうことも……。
(5)想像力が豊か
想像力が豊かな人は、最悪な状況を想像することにも長けているため、「こんなことが起きたらどうしよう」とまだ見ぬ不安が膨らんでしまう傾向にあります。
漠然とした不安を抱えないコツ
では、漠然とした不安を抱えないために、日頃からできることを3つ紹介します。
ぜひ、日常に取り入れてみてくださいね。
(1)分からないことは調べる
分からないことや不安に感じたことは、ネットや専門書などで徹底的に調べてみましょう。
例えば金銭的な不安があるのであれば、家計簿をつけて現状を把握する、将来の試算をする、専門家に聞いてみるなど、今自分ができるベストを尽くしましょう。
(2)人に相談する
人は孤独になると不安を感じやすくなります。
信頼できる人に弱音を吐くことができるだけで、漠然とした不安を抱えにくくなりますので、友達や家族などに相談するのも良いでしょう。
(3)「大丈夫」という言葉を口にする
不安に飲み込まれそうな時には、自分に安心させる言葉を投げ掛けることも効果的です。
「大丈夫だよ」「なんとかなるよ」と、あなたが大切な人にかけてあげるような言葉を自分にもかけてあげてくださいね。

恋愛や仕事など、時にはネガティブになってしまった時に使える「ポジティブになるための方法」を紹介します。
不安と上手に付き合っていこう
不安は誰しもが感じるものであり、生きる上でも大切な感情です。
不安があるからこそ、未来のために備えることができますし、危険を回避することができるのです。
ぜひ不安という感情を嫌わずに、上手な付き合い方を知って、日常に生かしていってくださいね。応援しています!
(服部希美)
※画像はイメージです
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