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「エスカレーション」とは? 意味・対義語と使い方

藤田尚弓

皆さんは「エスカレーション」という言葉の意味を正しく理解していますか? 間違った意味で理解し使用していると恥をかくことがあるかもしれません。そこで、今回はコミュニケーション研究家の藤田尚弓さんに、「エスカレーション」の意味や対義語、ビジネスシーンでの正しい使い方を聞いてみました。

エスカレーションは、ビジネスシーンでよく使われる言葉です。「エスカレートとは違うの?」と思う人もいるかも知れません。

特に、顧客との直接のやり取りに問題が生じた際や、自身の専門性を超える内容を問われるような時の対処法として使われています。

コールセンターやカスタマーセンターの人にとっては耳馴染みのある言葉だとは思いますが、業界によっては聞いたことが無いという人も多いかも知れません。具体的な使用例と共に確認しておきましょう。

「エスカレーション」とは

では、まず「エスカレーション」の意味から見ていきましょう。

英語「escalation」が語源

「エスカレーション」の語源は、英語の「escalation」です。英語の「escalation」には、段階的な拡大という意味の他、深刻化という意味や上位者に申告するという意味もあります。

この直訳を押さえておくと、日本で使われるエスカレーションの意味も、より分かりやすくなると思います。

「エスカレーション」の意味

日本で使われている「エスカレーション」の意味は、業務上の上位者に判断や指示を仰ぐことです。自分では対応しきれない案件を上位者に任せることも含みます。

エスカレーション対応が必要になるシーンは、顧客対応やコールセンターなど直接お客様に接する現場が多いです。例として、商品に不具合があり自身では対応できないほどのクレームになった場合や、自身の裁量を超える取引条件などを提示された場合などをイメージしてください。このように現場のスタッフだけでは手に余るケースでは、上司に対応を要請することになります。

その他にも、対応できない専門的な内容を、技術者やスーパーバイザーに引き継ぐということもあると思います。このようなシーンで使われるのが「エスカレーション」です。

また、エスカレーションを略して「エスカレ」や「エスカ」と言うこともあります。併せて覚えておきましょう。

慣れてくるとプライベートでも使いたくなるシーンに出くわすかも知れませんが、日常会話で使うと浮いてしまう言葉です。その他の分かりやすい言葉に言い換えて使うことをおすすめします。

「エスカレーション」の誤った使い方

よく見かける間違った使い方に「上長への報告」があります。

エスカレーションは、上司への報告という意味も含んでいますが、いわゆる「報連相(報告・連絡・相談)」とは違った性質のものです。

自分が担当していて、今後も担当が変わらない案件についての報告はエスカレーションではありません。今まさに進行中の自分では対処しかねる案件を、上司や技術者に引き継ぐ時に使う言葉だということを、確認しておきましょう。

また、「要求がエスカレートしてきた」といった使い方をされる「エスカレート」と混同している方もいます。「エスカレート」は、少しずつ拡大、激化していくという意味で使われる言葉です。同じような場面で使われることも多く、響きも似ていますが、違う言葉なのでご注意ください。

「エスカレーション」の対義語

ここでは、「エスカレーション」の対義語を3つ紹介します。

(1)デスカレーション(de-escalation)

エスカレーションの対義語は、「デスカレーション(de-escalation)」とされています。段階的に事業を縮小していく時などに使われる言葉です。「段階的な拡大」がエスカレーションのため、「段階的な縮小」という意味のデスカレーションが対義語とされます。

また、デスカレーションを、上司から丸投げされた仕事などを指して使う人もいますが、まだその使い方は浸透していないといえるでしょう。

(2)自己対処

日本語で対義語を探すとすれば「自己対処」です。上司や専門部署の人に引き継ぐことなく、自身の範囲で問題解決を図るという意味でフィットする表現です。

(3)ワンストップ

自分自身が最後まで担当するという意味を強調するのであれば、「ワンストップ」も対義語といえます。

このように対義語を確認しておくと、よりエスカレーションの意味について理解が深まるのではないでしょうか。

ビジネスシーンでの「エスカレーション」の使用例

最後に、「エスカレーション」の実際の使用例を確認し、正しい使い方をおさえておきましょう。

【例文1】

「この間のエスカレーションについて、反省も含めて知識共有のための会議を行いましょう」。

エスカレーションは、ルールに則って行われることもあれば、緊急対応として行われることもあります。そのため現場の対応改善、知識の共有などを目的とした振り返りが行われることも少なくありません。

前提として、エスカレーションは決して悪いことではありません。しかし、どのように解決に至ったかを現場にフィードバックすることにより、顧客対応が向上する可能性が多い事柄でもあります。

【例文2】

「エスカレーションフローの見直しを早急に行わないと、お客様をお待たせして二次クレームが増えてしまう」。

どのようにエスカレーションを行うのか、そのプロセスのことを「エスカレーションフロー」といいます。

エスカレーションは、ルールに則った引き継ぎがされた場合、スムーズに行くことがほとんどです。しかし、予期せぬ出来事などで担当を変えざるを得ない場合には、お客様を待たせてしまったり、たらい回しのようになってしまったりといったトラブルが起きがちです。

そういった問題を事前に防ぐためにエスカレーションフローは重要で、ビジネスシーンでもよく出てくる言葉といえます。併せて覚えておきましょう。

意味を知った上でルールに沿った行動を

エスカレーションは、緊急対応の時に使われることが多い言葉です。現場と上司のチームワークが問われるビジネスシーンにとって大事なフローといえるでしょう。

そして、いざという時にスムーズに対応できるよう、意味をしっかり確認しておきましょう。

また、どのようなシーンでエスカレーションが必要なのか、タイミングはどうなのか、そのための手順はどうするのかなど、言葉の意味だけでなく、日頃からエスカレーションフローをしっかり確認しておくと安心です。

(藤田尚弓)

※画像はイメージです

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