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「相手の気持ち」が分からない原因と対処法

小日向るり子

相手の気持ちが分からないと思ったことや、周りの空気を読むのが苦手かもしれない、と悩んだ経験はありませんか? 今回は「相手の気持ちを汲み取る方法」について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに教えてもらいました。

相手の気持ちが分からずにコミュニケーションがうまくいかなかった経験はありませんか?

自分では自然体で接しているつもりでも、「空気を読んで発言してほしかった」「雰囲気で察してほしい」など、他人から指摘されたことをきっかけに悩み始めてしまう方も多いと思います。

今回は、相手の気持ちを汲み取ることが苦手な人に向けて、その原因や対処法をお伝えしていきたいと思います。

相手の気持ちが分からない原因

それでは、なぜ相手の気持ちが分からないのでしょうか。

これには自分側に原因がある場合と、相手側に原因がある場合があります。

自分に原因がある場合

まず自分側に原因がある場合について解説していきます。

他人に興味がない

人の言動に興味がないタイプ。

能動的に「相手の感情を理解しよう」という気持ちがそもそも薄いため、当然ですが学習機会が少なくなります。

原因としてこうしたパーソナリティがある方は、人の気持ちが分からない人だと敬遠されてしまうリスクもありますが、他人の言動に振り回されないという長所にもなります。

わがままな成育歴

周りがなんでも言うことを聞いてくれる、注意する人がいない、など自分の主張が通る環境で育った場合は相手の気持ちに思いをはせる必要がありません。

また、注意してくれる人がいないと、自分を顧みて反省する機会も少なくなります。

先天的な気質

言葉以外から感情を読むことが先天的に苦手な方もいます。

また、たとえ言葉であっても「言葉の裏を読む」といったことが苦手な人もいます。

先天的なものである場合、まずはそうした自分のパーソナリティを理解することが大切です。

相手に原因がある場合

次に、相手側に原因がある場合について解説します。

相手の表現力が乏しい

人間は言葉以外に声の大きさやトーン、顔の表情などさまざまな体の部位から他者の感情を読み取りますが、こういった表現が苦手な人もいます。

この場合は、相手側も表現力が乏しい自分にコンプレックスに感じていることが多いです。

相手の心のガードが固い

他人に対して心を許さない人。俗に秘密主義と言われたりもします。

このタイプは過去に人に傷付けられたりしたトラウマを持っている場合も多く、相手が誰であっても容易に感情を表に出そうとしません。

相手に信頼されていない

相性が合わない人と対面する場合は、体が緊張するため、表情が乏しくなります。

また、知り合って間もなければ、まだ信頼関係が築けていません。この場合は、信頼関係が構築されてくれば相手の気持ちが分かるようになってきます。

相手の気持ちを汲み取る方法

相手の気持ちを汲み取る方法がよく分からない、という方もいると思います。

ここでは「気持ちの汲み取り方」について紹介していきます。

(1)場面を思い描きながら聞く

話を聞く時に、その場面を想像しながら聞いてみましょう。

例えば友人から「昨日、食事会に行ったら元カレがいてすごくびっくりした」という話をされたとします。

その場合は、楽しい気分でお店に入る友人の様子から店内の風景、元カレを見つけたときの友人の表情までを頭の中に描きながら聞くようにするのです。

そうすると、「それは何人での集まりだったの?」「彼はどんな表情をしていた?」など、聞きたいことが自然に出てくるはず。

自分の話に興味を持ってくれる相手にはもっと話したくなります。無理に気持ちを読み取ろうとしなくても、こちらから質問することで、相手から話してくれるのです。

(2)自分の理解を相手に伝えてみる

何を考えているのか分からないなあ、と思っているだけでは相手との関係性は発展しません。

そういう時は、勇気を出して自分の理解を相手に伝えてみましょう。

たとえば「あなたは許すと言ったけれど、声のトーンや表情から、私はまだあなたはすごく怒っているように感じるよ」といったように。

前述したように、先天的に感情を汲み取ることが苦手な人もいます。こうした方には、この方法をおすすめします。

ただし、伝える時にはキツい口調にならないように注意しましょう。

(3)言葉以外の表現にも着目する

例えば、やましい事がある場合や嘘をつくときは目を合わせなかったり、電話での声が沈んでいる時や沈黙が多い時は気持ちが乗っていなかったりなど、人間の感情は言葉以外にも表れるものです。

なるべくたくさんの感覚を使って相手を観察する方が感情を読み取れますので、しっかりと気持ちを確認したい時は、相手と直接会うことをおすすめします。

(4)トレーニングをする

3人でトレーニングをしてみましょう。1人が話し役、1人が聞き役、1人が観察者となります。

そして、まずは相手の話に共感的にうなずきながら一生懸命に聞く、次に投げやりにつまらなそうに聞く、最後に無表情のノーリアクションで聞く、ということを交替で行います。

話し手が話す内容はどんなことでも構いません。時間は2分程度が良いでしょう。

そして終わった後、それぞれのパターンにおいて聞き手はどんな気持ちになったか、また観察者は話し手の表情から何を感じたかを話し合います。

こうした体験トレーニングも有効です。

相手の気持ちを理解する上での注意点

ここまでは、相手の気持ちの汲み取り方についてお伝えしてきましたが、続いては、「相手の気持ちを理解する上での注意点」について解説していきます。

冗談で返さない

冗談は相手との距離を縮めたり場を和ませたりする効果がありますので、冗談をきっかけに相手の感情が出てきて理解しやすくなることもあります。

しかし、冗談には、場の空気を的確に読める感性と、相手との信頼関係が必要です。

冗談は一歩間違えると人間関係に大きくマイナスになることも多いので、コミュニケーションに自信がつくまでは、冗談を言うことに対して慎重になりましょう。

相手の環境に踏み込まない

環境とは、相手の成育歴、家族構成や家族との関係、交際歴、といったことです。

絶対に踏み込んではいけないことではありませんが、過去の経験にはトラウマがある場合やプライベートには踏み込んでほしくない事情を持っている方もいます。

相手の環境ではなく「感情」に焦点を当てることを意識してください。

焦らない

共感能力や他者への想像力の大小は、後天的な要因もありますが、先天的な要素も大きいです。

他者への想像力が高くコミュニケーションが上手な人を見ると、差を感じてへこんだり焦ったりしてしまうこともあると思いますが、得意不得意は誰にでもあるもの。

相手の話を否定せずに聞くだけで、相手からどんどん気持ちを話してきてくれることもあります。

共感能力や他者への想像力を焦って身に付けようとしないことも大切です。

「相手の話を一緒に楽しむ」というライトな感覚でいい

相手の気持ちを汲み取る、と聞くと、相手の心の中に入り込んであれこれ推測するようなイメージを浮かべる方もいると思いますが、そんなに堅苦しく考える必要はありません。

物語を聞くように相手の話に耳を傾けて、自分も一緒に楽しむといったライトな感覚でいる方が、結果的に想像力が高まって、他人の感情を汲み取ったコミュニケーションをしていることになります。

今回は参考までに、相手の気持ちを汲み取るコツもテクニックとしてお伝えしましたので、興味のある方は意識してみてくださいね。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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