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Keyword.01「スニーカー」

#羽ばたくつばさ

木津つばさ

今注目の若手俳優・木津つばさのエッセイ連載がスタート! 毎週1つ編集部から与えられるキーワード(お題)に沿って、自身のルーツや想いを綴ります。キーワードから紐解かれる“木津つばさ”とは?

改めまして、今回エッセイを連載することになりました、木津つばさと申します。

このエッセイでは木津にまつわるルーツなどを題材に、僕のことをあまり知らない方や知っている方でも興味を持っていただけるようなエッセイを書いていければと思っております。

まず、第1回のテーマは「スニーカー」。

木津とスニーカー。

これにはどんな結び付き、そしてルーツがあるのかをじっくりと語らってゆこうと思います。

早速ですが一つ質問です。

“お洒落”とは何なのか?

これから話すのはお洒落が未知の領域だった頃、まだ人から見られる意識をしていない年頃の僕自身が体験した話です。

小学3年生の夏。

小さい頃から裸足で遊ぶことの多かった僕は、地元の友人に木登り名人とまで呼ばれていました。でも、僕はうれしくありませんでした。

「ちがう……! そうじゃないんだ……」

と心の中で叫ぶ日々を過ごす中で、僕には唯一無二の憧れがありました。

「クラス1の人気者がうらやましい」

何を隠そう僕はクラスの人気者になりたい系男子だったんです。

とある昼下がり。教室の片隅に集まったクラスの人気者とその他生徒たちが、何やら騒がしくしてました。

なんだなんだ? と近づいてみると、人気者の彼は言いました。

「今一番人気のやつじゃけぇ、全然履いとる人おらんのんよ、かっこええじゃろ」

あ、言い忘れておりましたが、地元は広島でございます。

話は戻りまして。
そう、彼が履いている靴に僕は目を輝かせました。

「なんだ……それは……幻の……靴?」

それから家に帰って僕はすぐに親にお願いしました。

「かっこいい靴がほしい!!」

親からは僕の目を見ることなく二つ返事で返答が来ました。

「うん、ダメよ」

あれだけ期待に満ちた表情をしていた少年の、クラスの人気者になるという野望は途絶えてしまいました。

ただ、木津少年の想いは絶えず。

不死鳥の如くよみがえり続けました。

その後、必死になった木津少年はお小遣いを貯めました。そして遂に……!!

小学5年生の夏。貯まったんです、お金が。

少年は、かかとの擦り減ったお気に入りの靴を履いて急いで靴屋に行きました。

店内の入り口にあったNIKEの靴を見て、少年は伝えました。必死に、これが欲しいですと。

そして靴屋の店主は言いました。

「それもう売り切れたんよ〜、昨日〇〇君が母ちゃんと一緒に来て買って行ったんよ、すまんのぉ」

その当時、クラスでも町内でも人気だった噂の彼の名は、もちろん靴屋でも知られていました。

少年は一瞬で悟り、そして決めました。

明日は一番乗りで学校に行って

「それ俺が買いたかったやつじゃっっ!!!!!!」

って言ってやることを。

そんな少年期を過ごした少年が中高を経て社会人となり、すっかり靴に心を奪われるようになった話でした。

いかがでしょうか?

これが木津とスニーカーのルーツでした。

おわりに。

今日はNIKEの靴を履いて外へ散歩にでも行ってみます。「お洒落は足元から」。

(文:木津つばさ、撮影:Yuto Fukada)

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