「誰からも嫌われたくない」心理から解放される3つの方法
「自分が嫌いだと思う人からも嫌われたくない」そんなふうに思うことはありませんか? 今回は心理カウンセラーの桑野量さんに、「嫌われたくない」という心理や、その気持ちから解放され気の合わない人と上手に付き合うコツまで紹介してもらいます。
人から嫌われたくないという気持ちは誰もが持っているものです。しかし、その気持ちが強すぎることで人生が窮屈になってしまうことがあります。周りの人が自分を判断する面接官のように思えてきますからね。
それでは心が緊張と不安で疲れ切ってしまい、自分の好きなことや仕事に打ち込めないことも。また恋愛に積極的になれないなんてことも出てきてしまうかもしれません。
「嫌われたくない」と思う人の特徴
では、「嫌われたくない」と思う人にはどのような特徴があるのか、性格と言動をそれぞれ紹介します。
性格の特徴
(1)気を使いすぎる
相手の機嫌や気分を損ねないように、気を使いすぎてしまいます。そのことにエネルギーがたくさん消費されて、週末は誰にも会いたくない、何もする気になれないということもあります。
(2)自分を隠してしまう
嫌われることへの不安が強いと、目立ってしまうことでより嫌われる確率が上がると思ってしまいます。そのため、自分の意見や気持ちを隠してしまうのです。
しかし、自分を隠せば隠すほど、周りの人には自分を分かってもらえなくなるので、「嫌われているのでは?」という不安を強める結果になります。
(3)認めてほしい気持ちが強い
嫌われたくない気持ちが強いということは、自分の評価を相手に委ねて、依存してしまっていることでもあります。
「相手の評価」=「自分の絶対的な評価」となってしまうので、相手に認めてほしい気持ちがどうしても強くなってしまいます。そこから、相手に依存してしまうこともあります。
言動の特徴
(1)「NO」と言えない
相手の気分や機嫌を損ねないようにすることが最優先事項となってしまい、自分が思っていることが言えなくなってしまいます。ましてや相手から頼まれたことに対して、「NO」と断ることはもっと難しくなってしまいます。
(2)自発的な行動ができない
自発的に行動し、相手の意にそぐわないことをして嫌われてしまうことを恐れています。受け身の態度になりやすいので、恋愛では相手のペースに合わせてばかりになることも。
(3)曖昧な表現をよく使う
コミュニケーションにおいても、自分の気持ちを曖昧に表現する癖がついてしまっている可能性があります。曖昧な表現や婉曲的な表現を使うことで、いつでも相手に合わせられるように準備してしまっているのです。
「嫌われたくない」と思う人の心理
では、なぜ嫌われたくないと思ってしまうのでしょうか? その心理をご紹介します。
(1)自分に自信がない
自分に自信がないと、自分で自分を認めていないように、周りの人からも認められていないように感じてしまいます。「ダメな自分だから嫌われて当然だよね……」と、嫌われることが前提になってしまうのです。
(2)人を喜ばせられると思ってない
「自分は人を喜ばせられる」「相手を幸せにできる」と思えているのなら、相手に嫌われることを前提に不安にならなくていいはずですよね。
嫌われたくないと思ってしまう背景には、自分が相手にポジティブな影響を与えることができないと思い込んでしまっていることがあります。
(3)過去の傷が癒えてない
過去に人間関係で傷ついた経験から、二度とそのようなつらい経験はしたくないと過剰に防衛してしまっていることも。過去の痛みがまだ癒えていないので、これ以上傷つけないでほしいという思いが、嫌われることに対して敏感にさせてしまっているのです。
(4)孤独感が強い
孤独感が強いと、自分のそばに誰かいてほしいと思います。そして、自分のそばから誰も離れていかないように、相手から嫌われないような行動をしなければいけなくなります。
このように、孤独感が強いほど相手の意に反する言動が取れなくなってしまうのです。
嫌われずに生きていくことなんて無理?
Aさんには〇〇することを褒められても、それをBさんも同じように褒めてくれるかは分かりませんよね。人それぞれ好みや考え方が違うように、誰にでも好かれるような行動や性格というのは、ないのかもしれません。
誰にでも嫌われないように生きていくことは、実はすごく難しいことなのです。
誰にも嫌われないことに神経を注ぐのではなくて、たとえ考え方や意見が違ったとしても、それが当たり前だと受け入れて、そこからどう対等にコミュニケーションを取っていくかということにチャレンジする方が簡単かもしれません。

あなたの「嫌われやすいポイント」を診断でこっそりチェックしてみましょう。
「嫌われたくない」と思う気持ちを和らげる方法
最後に、「嫌われたくない」という気持ちを和らげる方法を3つお伝えします。
(1)人は人、自分は自分
相手の評価を、自分の絶対的な評価だと思ってしまうと、相手の言動ばかり気にしてしまいます。
「相手はそう思うかもしれないけど、私は〇〇と思う」と相手と自分の境界線を意識することが大切です。あなたが相手の気持ちを尊重するのと同様に、あなたは自分の気持ちも大切にしていいのです。
(2)ポジティブな影響を与えていく
「笑顔で挨拶する」「1日気分良く過ごす」など、小さなことでいいので、周りの人にポジティブな影響を与える成功体験を積んでいきましょう。
誰かを喜ばせる、気分を良くさせることで、それができる自分に自信もついていきます。
(3)リラックスタイムを持つ
仕事やプライベートで疲れ果ててしまっているときは、普段は気にしない相手の発言にも繊細になって傷ついてしまうことがあります。そのため心に余裕がないときほど、嫌われることへ敏感になってしまいます。
そんなときのために、意識してリラックスタイムを持つようにしましょう。あなたの心に余裕が生まれれば、相手から嫌われることに敏感になりすぎる必要もありません。
気の合わない人と上手に付き合うコツ
誰にも嫌われないようにすることをやめることはできても、現実的な問題として、気の合わない人が職場にいるかもしれませんね。
気の合わない人とでも、うまく付き合っていくコツを知っておけば、余計に神経を使いすぎることもありません。
(1)「NO」と言える自分をアピールしておく。
相手に直接的に「NO」と言うことができなくても、あなたが「NO」と言ったエピソードなどを相手に話しておくといいかもしれません。
「この人は、NOと言える人」と相手が意識することで、あなたに無理なお願いをすることや、相手のペースに巻き込もうとすることは少なくなっていきます。
(2)相手の良い部分にフォーカスする
気の合わない人に対しては、ついつい嫌な部分ばかり見てしまうものです。意識して相手の良い部分を見るようにしましょう。
あなたは気が合わないと思っていても、その人と気が合うと思う人もいますよね。その人は、この人のどんな部分を見ているのか? という目線を持つといいかもしれませんね。
(3)無理に合わせようとしない
誰にでも嫌われないようにすることが難しいように、どうしても合わない人がいることは避けられないことでもあります。
そのような人には、無理に合わせようと頑張る必要はありません。「嫌われてもOK!」くらいのスタンスでいることが、お互いのためになることもあります。
自分次第で「嫌われたくない」気持ちからはすぐ解放される
嫌われたくないと思ってしまうことは人間ですから、当たり前にある気持ちです。
でも、その気持ちに振り回されてしまっているのなら、相手に嫌われないようにするのではなく、自分のことをもっと好きになれるように意識してみるといいかもしれません。
あなたがどんなに頑張っても、相手の気持ちは相手次第です。同様に、自分のことを好きになることも、自分次第です。
まずは、自分自身とまっすぐ向き合ってみましょう。
(桑野量)
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