おおらかな人とは? 5つの特徴と心理・おおらかな性格になる方法
あなたは、おおらかな人になりたいですか? おおらかな人の特徴と心理をカウンセラーの笹氣健治さんが解説。穏やかな人間に近づくためにできることを紹介します。
あなたは「おおらかな人」になりたいですか?
何があっても怒らず、寛大な心を持っている。いつも前向きでニコニコしている。毎日ストレスを感じずに過ごしていて、周りの誰からも好かれる。おおらかな人には、そんなイメージがあります。
一体どうすれば、そんな人になれるのでしょうか?
おおらかな人の特徴とは?
まずは、おおからな人とは具体的にどういう人なのか、その特徴を確認しておきましょう。
(1)寛大である
他人から何かひどいことをされても笑って許します。
約束を破られた、並んでいた列に横入りされた、車に泥水をはねられた、といったことをされても、「別にいいよ」と簡単に許してしまうのです。
普通の人なら怒ったり、ムカついたりするようなときでも、彼らは寛大に受け止めます。
(2)こだわらない
行こうとした店が閉まっていた、欲しかった商品が品切れだった、愛用の化粧品が売り切れていた、といったことがあっても、「まあ、仕方ないか」とあっさりあきらめます。
普通の人ならガッカリしたり、ショックを受けたりするようなことでも、「別にほかの物でも構わない」と考えて平然としています。
これじゃなきゃダメだ、といった絶対に譲れないものがないのかもしれません。
(3)引きずらない
スマホを紛失してしまった、電車に乗り遅れてしまった、といった失敗をしたとき、あるいは、貸してあげた物を壊されたり、悪口を言いふらされたりなど損害を被ったとき、普通の人であれば、しばらく嫌な気持ちが続いたり、誰かに愚痴を言いたくなったりするものです。
ところが、おおらかな人はそういうことはあまり気にせずケロッとしています。切り替えが早く、嫌なことを引きずらないのです。
(4)争わない
自分がやった仕事に難くせをつけられた。会議での発言を思いっきり否定された。そんなときでも、おおらかな人は目くじらを立てて反論するようなことは一切せず、黙って受け入れます。
また、相手と意見が対立したときも、自分が引いて相手に譲ります。
相手に花を持たせようとしているのか、自分にこだわりがないのかはわかりませんが、他人と争うことをしないのです。
(5)太っ腹
おおらかな人は、お金の使い方に無頓着です。
例えば、特売のスーパーにわざわざ行くようなことはせず、近くのコンビニで定価での買い物をします。飲み会の場では、アルコールをたくさん注文する人がいて割り勘負けするような状況であっても、気にせず幹事が言う通りの額を負担します。また、金欠の友人には当然のようにおごってあげます。
このように、お金の使い方にかんして太っ腹な人なのです。

おおらかな人は、あまり怒らず、仕事でもプライベートでもモテる印象。10の質問であなたのおおらかな人度を診断します。
おおらかな人の心理
普通の人とは違って、余裕ある行動をするおおらかな人。なぜそのような行動ができるのでしょう?
無理しておおらかに振る舞っているのではなく、自分を作らず飾らず、自然におおらかな行動をしている人の場合は、次のふたつの可能性が考えられます。
いわゆる「天然」な思考回路
ひとつは、一般の人とは異なる独特な考え方をしていること。
金持ちの家に生まれてお金を湯水のごとく使える環境で育ったとか、親も同じタイプの人でそういう育てられ方をしたとか、生育家庭において、おおらかな行動がごく当たり前のこととして身についてきた可能性が考えられます。
もしくは、周囲にはいない独特な考え方を持って生まれてきたのかもしれません。いわゆる「天然」と呼ばれるような人です。
おおらかでない行動で損をした経験
もうひとつは、これまでおおらかでない行動を繰り返してきて、あるとき、それではいけないと悟ったことで、それ以来おおらかな行動をするようになった可能性です。
ただし、こちらはそれなりに年齢を重ねた人に見られるケースであって、20代でこの境地に至る人は珍しいかもしれません。
普通の人とは違って独特な考え方をするのは、自然にそれを身につけてきたか、努力して身につけたかのいずれかになります。
今の自分はおおらかではないと思う人は、これから努力することで、おおらかな人に近づくことは可能です。具体的な方法はこの後で触れます。
おおらかな人になるには?
あなたが、おおらかな人になりたいと考えているとしたら、つい細かいことを気にしたり、感情的になってしまって後悔したり、いつまでもクヨクヨ引きずってしまったりする自分をなんとか改めたいと思っているのかもしれません。
では、少しでもおおらかな考え方ができる人間に近づくには、何をしたらよいのでしょうか。
(1)大局的に考える
人はトラブルを克服することによって成長します。トラブルが生じなければ成長しないと言い換えてもいいでしょう。
つまり、トラブルはわたしたちにとって必要で、意味があることなのです。
もちろんトラブルがあると嫌な気持ちになります。ムカついたり、へこんだり、ガッカリしたりします。そうなってしまうのは、今この瞬間だけを見ているからです。
そのトラブルが、長い目で見ると自分の成長に役立つことを思い出せば、気持ちを切り替えて前向きになれるはずです。
物事を近視眼的に捉えていると、目先のことで一喜一憂してしまいます。物事を大局的に捉え、今回の嫌な出来事は自分の成長にとって必要で意味あることだと考える。この考え方こそが、おおらかな人になるためには重要です。これを常に忘れないようにしてください。
(2)相手を主語にして考える
他人に迷惑をかけられたり、他人の言動が鼻についたりするとき、どうしてもそれを許容できないのは、自分を主語で考えているからです。
「わたしは〇〇したかった」「わたしは相手に〇〇してほしかった」と考えているということです。
でも、よく考えると、相手も自分と同じひとりの人間です。相手にだってその人なりの事情があるのです。
他人は「わたし」を喜ばすために存在しているわけではありません。その人は、自分の喜びや満足のために生きているのであって、たまたまその言動が、こちらにとって迷惑なことだったり、鼻につくものだったりしただけなのです。
そんなときは、「相手は〇〇したかったのかもしれない」と考えてみることが役に立ちます。
このように相手を主語にして考えると、その相手も同じように、自分のことを考えて生きているという現実を思い出すことができるでしょう。すると、他人のすることにいちいち目くじらを立てるのは意味がないことだと気づいて、おおらかな態度を取りやすくなるはずです。
(3)徳を積む
他人におごってあげたり、カフェの会計で相手より多く負担したり。
そんな太っ腹な態度を気持ちよくスマートにやりたいと思っていても、心のどこかでは「ちゃんと感謝してほしい」「次回は逆に負担してほしい」という気持ちを抱いてしまうのは、決して卑しいことではありません。きっと誰もが少なからず同じように思っています。
では、おおらかな人は、こういうときどのように考えているのでしょうか?
おそらく何も考えていないでしょう。
ここは自分が払おうと思っているから自然に払っているだけだと思います。ただし、これは懐に余裕がある人でないと真似できない境地でしょう。
そういう人になりたいと思ったときは、まず「徳を積む行為をしている」と考えるのがいいかもしれません。
運は誰でも平等ではなく、運が良い人と悪い人がいる、とされることがあります。
その違いは、日ごろから徳を積んでいるかどうか。少々スピリチュアルな感じがしますが、そう考えることで、他人に対して太っ腹な態度ができるのであれば、それはそれでいいのではないでしょうか。
将来、本当に何か良いことがあるかどうかはわかりませんが、おおらかな人という印象を持たれれば、いつかプラスに働くことはきっとあるはずです。
(4)執着を手放す
細かいことを気にしてしまうのは、執着があるからです。
では、何に執着しているかというと、自分のこだわり、価値観、理想、願望といったものです。
人はこうあるべきだ、こういうことはすべきではない、こういうことはされたくない、こういう状況であってほしい、といったような考えに知らず知らず執着しているため、現実がその通りになっていないと思わず感情的になってしまうのです。
このような執着があることが、おおらかになれない原因だといえます。
これをなんとかするには、執着を手放すことが必要です。
手放すといっても、どうでもいいと考えたり、そうならなくてもいいやと投げやりになったり、あきらめたりすることではありません。
物事は必ずしも自分の思い通りにはならないことを思い出し、現実をありのままに受け止めるのです。全ては人間の力が到底及ばない絶対的な何かが決めていることなのだ、と考えてみるのもいいでしょう。
すると、細かいことをいちいち気にするのは無意味なことだと思えるかもしれません。
起きること全てを受け入れることができたとき、何事に対しても、おおらかな態度を取れるようになります。
長所と短所を活かした仕事とは?
最後に、その性格の長所と短所から、おおらかな人がどんな仕事に向いているかを考えていきましょう。
長所は「感情的に安定している」こと
おおらかな人の特徴から、その長所を挙げるとすると次のようになります。
・ちょっとやそっとのことでは怒らない
・何があっても感情が安定している
・くよくよしない。引きずらない
・人間関係で波風を立てない
・面倒見がいい
向いているのは心理カウンセラー
これらの長所から、おおらかな人が向いている仕事として一番に思い浮かぶのが、心理カウンセラーです。
悩みの相談に訪れる人は、それぞれがさまざまな問題を抱えています。理不尽な目に合っている話を聞いていると、つい感情が揺さぶられてしまって、冷静にカウンセリングができなくなる場合もありえます。
ところが、おおらかな人であれば、どんな話も感情がぶれずに聞き入れることができるでしょう。
その安定感ある態度は、相談する人にとって安心感を与えるはずです。自分の意見や考えを押しつけないので、悩む人の自主性を尊重した支援対応ができる点もうってつけです。
このように、心理カウンセラーとして重要な態度を自然とできるので、おおらかな人が向いている仕事だといえるでしょう。
新人教育も適任
また、職場に入ってきた新人を指導する担当も向いているでしょう。最近の新人は、頭ごなしに叱るのではなく、長い目で見てじっくりていねいに育てる必要があります。
それに、新人なりの価値観や考え方を認めて育てていったほうが仕事に適応しやすくなります。そういう点においても、おおらかな人の態度は新人にとって心強いものになります。
短所は「相手に合わせすぎてしまう」こと
一方で、前述の長所の裏返しが短所になります。
・なんでも断らずに引き受けてしまう
・絶対に譲れないこだわりがない
・失敗をすぐに忘れる
・相手の言いなりになってしまう
・相手を甘やかしてしまう
とはいえ、これらの短所も使いようによっては武器になります。
短所を活かせる営業の仕事
例えば、営業の仕事がそうです。
クライアントからの無茶な要望に嫌な顔をせず、なんとか叶えてあげようと尽力します。それは相手にとっては気持ちのいい対応になりますので、かわいがられる営業担当になれるでしょう。なかなか受注できなくても、めげずにアプローチを続けられるメンタリティも営業向きです。
ただし、できないことはできないと伝えなければならない場合も当然あります。そのため、うまくフォローしてもらえる他の営業担当者や上司と一緒に仕事ができると、よりスムーズに仕事ができるでしょう。
おおらかな態度は武器になる
おおらかな人というのは、人間としての器が大きく、日常で嫌なことがあっても、ストレスを抱えずに前向きに生きていくための理想的な態度ができる人です。
もちろん、常に寛大な心で他人と接するのは、実際にはとても難しいことだと思います。これを聞いて「わたしには無理」と思う人もいるかもしれません。
とはいえ、考え方を少し変えていくだけで、おおらかな性格に近づくことはできるもの。まずは、こうなりたい理想の人物像を定め、意識してみるところから始めるといいかもしれませんね。
(笹氣健治)
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