「差し色」とはなんのこと? 上手な差し色の取り入れ方
ファッション誌でよく見かける「差し色」という言葉。どういう意味か知っていますか? なんとなく理解していても、実際やるとなると上手なやり方がわからないという人も多いようです。そこで、ファッションライターの朝日絵美瑠さんに差し色についてくわしく解説してもらいました。
大人っぽく見せたいときは、モノトーン系やブラウン系など落ち着いた色合いのコーディネートにまとめるのが定番ですよね。でも、いざ着てみると、なんだか地味に見えたり、物足りなく感じたりすることも。
そんなときこそ、「差し色」が役に立ちます。今や当たり前のように使われている差し色というファッション用語。その意味や上手な使い方についてレクチャーします。
ファッション誌でもよく目にする「差し色」とは
「差し色」と聞くと、なんとなく色を使うことだろうと想像できますよね。でも、コーディネートにただ色を取り入れるだけでは差し色とは言いません。
まずは、差し色の意味や使うことによる効果について頭に入れておきましょう。
差し色の意味や定義
ファッション誌やWEB記事でよく使われている「差し色」とは、全身のコーディネートのどこかに色を添えることを言います。
「アクセントカラー」とほぼ同じ意味で、全身を落ち着いた色合いでまとめた場合に、アクセントとなる鮮やかな色をコーディネートのどこかに取り入れるのが差し色のルールです。
たとえば全身黒でコーディネートを統一したときに、赤いバッグを持っていると、「赤が差し色になっている」と言うことができます。逆に、赤のワンピースを着て黒いバッグを持っていても、赤が差し色になっているとは言いません。
差し色とは、あくまでベースとなる落ち着いた色合いに対して、全身のどこかに鮮やかな色をポイント的にさりげなく取り入れることを言うのです。
差し色の効果とは
コーディネートの地味見えを防ぐ
差し色を使うと、コーディネートに明るい印象が加わって、地味に見えたり重く感じたりするのを防ぐ効果があります。
全身をモノトーンやベージュ、ブラウンといった落ち着いた色味でまとめるのは、大人っぽさを演出できるテクニックとして知られていますが、オシャレ初心者にとっては落ち着きすぎて逆に老けて見えてしまうので注意が必要です。
そこで、赤やピンク、ブルー、パープル、オレンジといった鮮やかな色を差し色として全身のどこかに取り入れます。それだけで、コーディネートの鮮度を上げて、軽快に見せることができるんです。
体型カバーも期待できる
また、差し色は見る人の視線をその部分に集める効果があるので、体型カバーの効果も期待できます。
たとえば、下半身にコンプレックスがある人なら、鮮やかな色のカーディガンを肩かけしたり、カラフルなスカーフを首元に巻いたりして見る人の視線を上に集めましょう。そうすれば、下半身から目をそらせることができますよね。
逆に上半身に注目されたくなければ、靴や靴下で差し色を取り入れるのも手です。
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上手な取り入れ方は? 差し色を使う4つのコツ
それでは、具体的にどうやって差し色を取り入れればいいのでしょうか。
簡単そうに思えますが、ただ色を使うだけではオシャレには見えません。
そこで、誰でも実践しやすい4つのコツを紹介します。
(1)ベースとなる色は落ち着いたカラーでまとめる
差し色を取り入れる大前提として、コーディネートのベースとなる色は落ち着いたカラーでまとめましょう。
モノトーン系やブラウン系、ネイビー系、ベージュ系などの落ち着いた色使いでまとめたファッションに少しだけ明るい色を足すイメージです。
赤のトップスを着てピンクのカーディガンを肩かけしても、赤もピンクも差し色にはなりませんよね。差し色が引き立つように、ベースとなるファッションの色使いは抑えるのが基本です。
(2)使う差し色は1色が基本
基本的に、差し色として使う色は1色にするのがオススメです。
2色以上取り入れると、ポイントが散らばってしまうので、コーディネートの統一感を出すのが難しくなってしまうからです。しかも、色を使いすぎると子どもっぽさが出てしまうリスクもありますよね。
ただし、グリーンとイエローやピンクとパープルのように、相性の良い色を極力少なめに2色使うならOKです。オシャレ上級者を目指すならトライしてみたいですね。
また、カラフルなスカーフやバイカラーのバッグなどのように、ひとつのアイテムにさまざまな色が使われているようなデザインのものなら、差し色がカラフルになっても大丈夫。
そのアイテムにポイントが集中するので、差し色としての効果を発揮できます。
(3)目を引く明るい色を差し色にする
差し色として使う色は、パッと目を引くような明るい色を使うのが鉄則です。
たとえばモノトーンスタイルに、暗めの青や濃いパープルを差し色として使っても、ほかの服と色がなじんでしまい、差し色としての効果は期待できません。
ベースにしたカラーによって映える色は変わります。それぞれのベースカラーに合った差し色を選ぶように心がけてください。
(4)差し色の面積は全身に対して3割以下に
差し色とは、あくまでコーディネートに色を添えるのが役割です。差し色がコーディネートの主役になってしまってはいけません。
たとえば、グレーのニットに鮮やかなピンクのロングスカートを合わせても、ピンクは差し色とは言いません。むしろ、「ピンクのスカートを主役にしたスタイル」となります。
これは、トップスよりもロングスカートの面積が大きいために、ピンクの主張が強くなりすぎるからです。
差し色の面積は全身に対してだいたい3割以下を目安にするといいでしょう。同じ色を2つのアイテムで差し色として使うのもOKですが、このときも2つ合わせて3割以下の面積を意識してください。
差し色はあくまでアクセントとして添える色だということを覚えておきましょう。
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差し色として使いやすいアイテムと上手な取り入れ方
差し色を使うコツについて理解したら、実際に差し色として使いやすいアイテムを見ていきましょう。
新しく買い足さなくても、手持ちのアイテムで差し色として使えるものがないか考えてみてください。
バッグで差し色をする場合
差し色としてもっとも使いやすいアイテムと言えるのがバッグです。
身につけるものをすべて同系色でまとめるワントーンスタイルが現在流行中ですが、落ち着いたワントーンスタイルにもバッグだけカラフルなものを差し色として使えば、地味見えを防ぐことができます。
差し色として使うバッグは小ぶりのものがオススメ。さりげなく色を添えることで、上品さをキープすることができますよ。
靴で差し色をする場合
靴は全身のコーディネートに対して割合が小さいアイテムなので、差し色として使いやすいアイテムです。
モノトーンスタイルやブラウン系のワントーンスタイルにカラーパンプスを差し色として使ったり、カジュアルなファッションなら色鮮やかなスニーカーを取り入れるのもオシャレっぽさが出ます。
また、さりげなく服と靴の色をリンクさせるのもこなれ感が出るのでオススメです。たとえばチェック柄のシャツに使われている色とパンプスの色をそろえたり、ロゴTのロゴの色とスニーカーのラインの色をそろえたり。
このときも、差し色はあくまで面積を少なめに使うということを意識してくださいね。
インナーで差し色をする場合
コートやダウンなど重ためのアウターを着る季節なら、鮮やかな色のニットをチラッとのぞかせて差し色にすることで、コーディネートにメリハリが生まれます。
冬は色使いが暗くなりがちなので、ぜひ差し色を取り入れて遊び心を演出してください。
靴下で差し色をする場合
カジュアルなファションには、靴下で差し色を取り入れるとかわいさを加えることができます。
ただし、靴下を差し色に使うと子どもっぽくなりがちなので、コーディネートはできるだけ黒を多めにしてシックに見せるのがいいでしょう。
靴下もピンクやオレンジのような甘い色は避けて、ブルーやパープルといったクールな色を選ぶのが大人っぽく仕上げるコツです。
スカーフで差し色をする場合
ワンランク上のファッションを目指す人は、カラフルなスカーフを差し色として取り入れてみてください。
首に巻くのはもちろん、バッグの持ち手に巻いたり、ヘアアクセとして頭に巻いたりと使い方はさまざま。コーディネートにエレガントなムードを漂わせることができます。
レディースならではのテクニックなので、女子力アップにも効果的ですね。
差し色を効かせて大人のかわいさを演出しよう
落ち着いた色合いで全身をまとめるのもかっこよくて素敵ですが、少しだけ明るい色を足せば、大人っぽさの中に可愛さも演出することができます。
紹介したコツを押さえて上手に差し色を使うことで、今よりアカ抜けたオシャレを実現できるはず。
明るい色を着るのが苦手な人も多いでしょうが、そんな人こそさりげなく差し色を使って、より魅力的な自分を演出してみてください。
(文:朝日絵美瑠、イラスト:のでこ)