エフォートレスファッションとは【イラストで解説】
最近ファッション誌などでもよく目にする「エフォートレスファッション」。一体どんなスタイルのことなのでしょうか。エフォートレスとはどういう意味? ファッションライターの千木良まりえさんに教えてもらいました。
近年注目されているファッションのトレンド用語のひとつが「エフォートレス」。
ファッション誌などで「エフォートレス」や「エフォートレス・シック」といった言葉を目にすることも多いと思いますが、一体どんなファッションなのでしょう。
「エフォートレス」の定義や、実際にファッションに取り入れる際のポイントなどについて解説します。
エフォートレスとは
「シンプル」、「ラフ」、「ノームコア」などのジャンルと同じように使われることのある「エフォートレス」。
わかるようでわからないこの言葉の意味を、ルーツとともに解説します。
エフォートレスの意味
エフォートレス(effortless)とは、直訳すると「effort(努力)」が「less(より少ない)」。つまり、「楽な」ファッションのこと。
おしゃれをがんばりすぎていない、気楽な雰囲気の漂うスタイルを総評して使われています。
もともとは世界4カ国で出版されている女性向け雑誌『ELLE』が、「どこか肩の力が抜けているのに、エレガントで、自分らしい」着こなしとして「エフォートレス・シック(Effortless Chic)」を発信したことで誕生。
2014年の春夏コレクションのころから、ファッションに敏感な女性たちを中心に、一般的に使われるようになりました。
アイコンとして、女優のシャルロット・ゲンズブール、映画監督のソフィア・コッポラが挙げられています。
シンプル、ラフ、ノームコアとのちがい
ただ無難に合わせただけの「シンプル」や、リラックス感の強い「ラフ」とはちがって、エフォートレスは“程よいこなれ感”がポイント。
流行を取り入れながら着崩すことでエレガントな雰囲気に仕上げるのがエフォートレス・シックの特徴です。
定番アイテムで全身構築するなど、とことん普通を狙う「ノームコア」とのちがいはここにあります。
エフォートレス・シックが流行した背景
「楽だけどきちんとして見える」、「がんばりすぎないほうがおしゃれ」というエフォートレス・シックの考え方は、現代にマッチしたもの。
身の丈に合っていないハイブランドや、自分の好みではないトレンドを取り入れるような無理のあるファッションから解放されて、自分らしくおしゃれを楽しみたい。このような価値観を持つ人が急増したことが、大きなトレンドになった理由でしょう。
エフォートレスファッションの特徴【イラストで解説】
過剰に着飾るのではなく、力の抜けたファッションを表現するのがエフォートレス。
その特徴とパターンをイラストと合わせて解説します。
エフォートレスファッションの特徴4つ
まずは、エフォートレスファッションの特徴を4つ紹介します。
身体が泳ぐルーズなシルエット
ゆったりとしたワンピース、幅の広いワイドパンツ、メンズものと見まちがうようなビッグシャツなど、身体をしめつけないルーズなシルエットが特徴的。
上品な肌見せでエレガントに
シャツのボタンを大きく開けて鎖骨を魅力的に見せたり、スリット入りのボトムスで脚のラインを感じさせたりと、ダボッとしたスタイルながらも細部で女性らしさを演出します。
小物でトレンドを取り入れる
トレンドに左右されるのはNGですが、スタイルにマッチするものを上手に取り入れることで旬のエフォートレス・シックに。
今季なら、PVCバッグやローファーサンダルなど、楽でおしゃれ見えするものをアクセントにするといいですね。
基本的にベーシックアイテムを組み合わせる
一回着ただけでまわりの人たちに記憶されてしまうような激しいトレンドアイテムは使わないのが掟。
無地アイテムやベーシックなデザインを上手に組み合わせることで、自分らしいスタイルを作ります。
エフォートレスファッション4パターン
エフォートレスファッションの代表的な4つのスタイルを紹介します。
(1)ゆったりシャツスタイル
ゆったりしたシャツは、エフォートレスファッションにぴったりのアイテム。ワイドパンツと合わせることも多いです。
シャツのボタンを開けて鎖骨を見せたり、袖をまくって腕を見せたりすることで、ルーズなシルエットなのに女性らしいスタイルにまとめられます。
(2)ゆるトップス×フレアスカート
トレンドのフレアスカートとゆったりしたニットを合わせてフェミニンに。全身でゆるっとさせるのが今っぽいです。
トップスの前部分はウエストインにすることで、くびれを感じさせバランスよく着こなせます。
(3)ロングカーデをレイヤード
パンツにロング丈のカーディガンを合わせたレイヤードスタイル。動くたびに揺れる裾でリラックスした雰囲気になります。
縦ラインが強調され、身体が細く見える効果も。
パンツはゆったりとしたサルエルパンツやテーパードパンツなどがぴったりです。
(4)Iラインにジャケット肩掛け
Iラインのワンピースやペンシルスカートにジャケットを肩掛け。色はベーシックカラーで抑えましょう。
足元はフラットシューズやスニーカーでラフに仕上げるのがポイント。
ジャケットスタイルがこなれて見え、垢抜けるはずです。
エフォートレスファッションを上手につくるコツ
力の抜けたスタイルとはいえ、その抜き加減が難しいのがエフォートレスファッションです。
続いては、実際にエフォートレスファッションをつくるコツを紹介します。
色や柄は1点までに
エフォートレスな雰囲気にまとめたいなら、アクセントとなる色や柄は1アイテムだけに絞りましょう。
着心地のよさを重視
着ていて心地のよい素材を選びましょう。
コットン、シフォン、ニットなど、やわらかな見た目からもやさしい印象になります。
大切なのは全体のバランス感
全身をゆるくした場合でも、足元にヒール靴orトレンドバッグを加えるなど、どこか1カ所を引き締めることで、説得力のあるスタイルに。
アクセは盛るのもあり
基本的に「がんばりすぎない=盛らない」がセオリーですが、アクセサリーは盛ることで、ファッションに遊びが出るので◎。
ネックレスや指輪の重ねづけなど、大人っぽいデザインを選んで楽しんで。
全身でエフォートレス・シックを楽しんで
大人の余裕を感じさせるエフォートレス・シックですが、エフォートレスはファッションに限ったことではありません。
キメすぎないヘアスタイルや、完璧すぎないメイクなど、自分自身が楽な雰囲気でいられるかどうかが肝心です。
全身を通してトータルで自分らしく、自由なスタイルを表現して楽しんでみてください。
(文:千木良まりえ、イラスト:ヤベミユキ)