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イラストで解説「結納の服装」マナー

西出ひろ子(マナーコンサルタント)

人生の一大イベントともいわれる結婚式。その前に、日本には結納という伝統的な儀式があります。

近年では結納を交わさずに簡単に会食などで代替とする傾向にあるため、結納に対する知識も少なく、いざというときに悩む人も多いようです。

結納も儀式のひとつでフォーマルなもの。だからこそ、しっかりとマナーある服装で臨むことが求められます。

今回は、結納の服装マナーについて解説します。

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結納とは

結納の服装マナー

結納とは、正式に婚約が整ったことを確認し、両家の間で金品を取り交わす儀式のことをいいます。

結納のスタイルはその家のしきたりや考え方、地域などによってさまざまですが、一般的に大きくは、「正式結納」と「略式結納」の2種類があります。

いずれも、新郎家から新婦家へ結納の品を納め、新婦家がそれを受け取るという形が一般的です。

正式結納とは

正式結納には、必ず「仲人」がいます。

そしてその大きな特徴は、両家は直接顔を合わさないことです。

実は正式結納では、仲人がすべての仲立ちをするのです。結納当日の仲人は、両家を行き来して、結納品や受書のやり取りをおこないます。

略式結納とは

一方の略式結納とは、女性宅やホテル、レストラン、料亭などの個室に両家が会し、結納品の受け渡しをおこなうことをいいます。

また、これには「仲人」がいる場合といない場合の2種類があります。

仲人がいる場合は、結納品の受け渡しは仲人がおこないます。

いない場合は、男性側の父親がおこなうのが一般的です。

 

続いて、服装マナーについて詳しくお伝えします。

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正式? 略式? 結納をする際の女性の服装について

正式であれ略式であれ、どちらも結納は結婚に向かうための大切な儀式。

恥をかかないためにも、儀式を台なしにしないためにも、マナーにのっとった服装で臨みましょう。

正式と略式、それぞれにおいて、当日の服装はどのようなスタイルをすればよいかを解説します。

正式結納

正式結納は、その名のとおり、「正式」な結納の儀式です。略式結納と比べて、より厳粛に格式高くおこなわれるため、その服装は、礼装のなかでも格式の高い第一礼装で臨むと問題ありません。

和装の場合は振袖

正式結納の服装マナー

日本の未婚女性の正礼装は振袖の着物です。

振袖には袖の長さにより、大振袖、中振袖、小振袖があります。中振袖か小振袖が好ましいでしょう。中振袖は袖丈90cm程度が目安です。

半襟、帯揚げ、帯締めなどの小物はボリュームを持たせて豪華に着つけます。

フォーマルな慶事の場では、桜や鶴、松竹梅などをあしらった古典柄がオススメです。

成人式などで人気のチュールレースのアレンジや、花魁風の着つけ、モダンな柄はフォーマルシーンでは避けたほうが無難です。

和装の際は慣れないこともあり、その着こなしと立ち居振る舞いは洋装のとき以上に注意しましょう。

足を広げたり、背中を丸めたりせず、歩く際も内またに。手で見えていいのは、手首までといわれていますので、手を上げるときなどは、片方の手で袖口を軽く摘まむなどの注意が必要です。

正式結納を洋装で臨む人は少ない

一般的に結納は午前中からおこなわれます。

そのため洋装の場合、昼の正礼装のマナーにのっとり、アフタヌーンドレスを着用します。

昼の正礼装は露出を控えるのが基本です。袖丈は長袖(七分袖以上)で、襟元の開いていないドレスを着用します。襟元が大きく開いているデザイン、ノースリーブはNGです。

着丈はくるぶし丈以上で、素材は無地の淡い色で光沢のないもの、透け感のないものを着用します。

皇族の女性の方々がパーティ等でされている格好をイメージされるとよいでしょう。

一般的には、正式結納は和装で臨まれる方が多いです。

略式結納

略式結納の場合は、礼装のなかの略礼装でも構いません。

黒はNG? 洋装の場合

略式結納の服装マナー(洋装編)

略式結納では、準礼装か略礼装を着用します。略式だからといって、なんでもありというわけにはいかないのがマナーです。

具体的には露出を避けたデザインで、少しフォーマル感のあるワンピースやツーピース、スカートスーツなどを選びましょう。

色はおめでたい儀式ですから、明るさと清楚さを感じさせるベージュ系や、淡いピンク系やブルー系などが望ましいです。ネイビーに白い襟などの組み合わせもシンプルななかにきちんと感と高級感を出せますね。弔事を連想させる黒はNGと心得ましょう。

着丈は正座をしたり、着席をすることを考え、ひざ下丈のものを選びましょう。

昼間なので、光るアクセサリーは避け、パールなど落ち着いた素材のものをつけます。

仲人のいる略式結納の場合は、セミアフタヌーンドレスの準礼装を着用すると厳粛な雰囲気になります。

基本的には正礼装と同じですが、準礼装の着丈はふくらはぎ程度となります。ワンピースドレスやスーツでも構いません。

振袖もOK? 和装の場合

略式結納の服装マナー(和装編)

振袖は、日本の未婚女性の正礼装です。したがって、略式結納の和装では、準礼装である訪問着や色無地を着ればまちがいありません。

訪問着は留袖に次いで格式が高いとされ、格調の高い袋帯を用いて着つけます。未婚既婚を問わず、披露宴やお見合い、茶席などさまざまなシーンでの社交着です。

絵羽模様や吉祥文様などの古典柄が多く、パステル系から落ち着いた色調まで、個性に合わせて着こなすことができます。

結納では、派手すぎず、地味すぎない色柄を選べば問題ないでしょう。

色無地は、黒以外の一色の着物で、訪問着同様に格式の高い着物です。ひと口に色無地といっても、地模様や光沢の有無により、パーティ、入卒式、茶席、法事など幅広いシーンで着用可能です。用途やパーソナルカラーを考慮することで、より素敵に、控え目にも華やかにも装うことができます。

訪問着同様、結納では派手すぎず、地味すぎない色を選べば問題ないでしょう。

略式結納でも振袖はNGではありません。結婚すると振袖を着用ができないことから、結納で振袖を着る人も多くなっています。

ここで注意すべき点は、略式結納で振袖を着る場合は、ひとりだけ正礼装になるため、周囲の方と服装の格が合わなくなることです。

そこで、仲人や男性側に事前に振袖を着ることを伝え、全体の服装の格がある程度統一されるように調整しましょう。

略式結納では、集合写真を撮ることも多いものです。

その際に、両家の服装の格を揃えること、また、和装か洋装かも揃えることができれば理想的です。

婚約指輪は身につけて出席していいの?

婚約指輪は一般的に、結納時に贈られるもので、結納後につけるといわれています。

しかし、近年では、結納前のプロポーズ時などに婚約指輪を贈られる場合もありますよね。

まず彼と相談をするのが大切です。

そして、両家の親と、いる場合には仲人にその旨を伝えましょう。

関係者が合意の上で、結納時の婚約記念品となる指輪の贈り物はなしと事前に調整するのです。そうすれば、婚約指輪をつけて結納に臨んでも問題ありません。

婚約指輪のお披露目の際に「婚約記念品としてプロポーズの際にいただきました」と報告をしましょう。

 

続いては、女性本人以外の人の服装マナーを解説します。

母親、父親、仲人、兄弟姉妹の服装について

結納は、自分だけでなく、家族の服装にも気づかい、その格を同格に統一させる必要があります。家族の服装について解説します。

正式結納の場合

基本的に、結婚相手、両親、仲人は正礼装で臨みます。

結婚相手の男性の服装

和装であれば、五つ紋付羽織・袴。五つ紋とは、両胸、両袖、背中の中心、計5つの紋が入っているもので、もっとも格の高い着物となります。

洋装であれば、モーニングコートとなりますが、近年、結婚相手の男性は、ブラックスーツ、ディレクタースーツの傾向が強いです。

母親の服装

和装であれば、黒留袖、もしくは五つ紋の色留袖です。

洋装は、アフタヌーンドレスを着用します。

父親の服装

和装であれば、五つ紋付羽織・袴、洋装ならモーニングコートです。

仲人の服装

男性なら父親と同じ、女性なら母親と同じです。

兄弟姉妹の服装

結婚する男性、女性、その親よりも格下の服装を選ぶとされています。

たとえば、結婚をする女性本人が振袖なら姉妹は訪問着にする、男性本人がブラックスーツやディレクタースーツであれば、兄弟はダークスーツといった具合です。

略式結納の場合

結婚相手の男性の服装

洋装ならブラックスーツ、ディレクタースーツ、ダークスーツです。

和装なら、三紋付羽織袴ですが、現代ではほぼ着ません。基本的に洋装で臨みます。

母親の服装

洋装の場合、セミアフタヌーンドレス、黒以外のワンピースやスーツです。

和装の場合、訪問着、色無地、を着ます。

父親の服装

洋装なら、ブラックスーツです。基本的に洋装で臨みます。

仲人の服装

男性なら父親と、女性なら母親と同等のものを着用します。

兄弟姉妹の服装

結婚をする女性本人が振袖なら姉妹は訪問着、男性本人がブラックスーツ、ディレクタースーツであれば、兄弟はダークスーツといった具合に格下のものを選びます。

格下のものがない場合は、同等のもので大丈夫です。

両家の格をそろえるのが肝心! 事前打ち合わせは綿密に

正式結納では、両家は顔を合わせませんが、両家を行き来する仲人の立場を考えれば、両家が装いの格を揃えることで、安心することでしょう。

また、略式結納時には、両家で記念写真も撮ると思います。

両家の服装の格が揃っていないと、統一感がなく、それを見た親戚などからコミュニケーションがとれていないのではと不安に思われる可能性があります。事前に両家で話し合い、装いの格を揃えることは大切なことです。

洋装か和装かという考え方も、現代はそのご家族の考えによってさまざまです。

日本では和装でなければいけない、失礼ということはありません。両家でよく話し合って決められるといいですね。

なお、遠方から列席する場合などは、和装よりも洋装のほうが楽かもしれない、という理由から洋装にするという配慮も大切です。

ただし、もしかすると日常から和装に慣れていらっしゃる場合もありますので、一方的な決めつけは厳禁。きちんとコミュニケーションをとって確認をし、決めていきましょう。

和装か洋装、必ずしもどちらかに揃える必要はありませんが、極端に両家のバランスが崩れることを避けるためにも事前に打ち合わせをし、格を合わせることが重要です。

略式結納において、両家の父親が和装を揃えることは現在では難しいと思われるので、一般的にはブラックスーツとなります。よって、女性陣のみ着物、男性陣のみ洋装でもOKです。

マナーを守って日本の伝統儀式を楽しもう

近年、日本の伝統儀式の簡略化も進み、結納時の装いもわざわざこの日のために特別に新調することのない傾向にあります。

結納は、まずはそれをするかしないか、また、金銭的な問題なども絡むもの。もし結納をする、できるとなった場合は、マナーを守ることで、その儀式が行われてきた伝統に思いを馳せてみてもいいですね。近年では少なくなった数少ない伝統儀式のひとつです。

きっとあなたを、ワンランク上の大人にしてくれる儀式にもなることでしょう。

(文:西出ひろ子・吉村まどか、イラスト:naco)

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