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仕事が楽しくないのは当たり前? 合わないときの対処法

木村俊夫(キャリアコンサルタント)

唐沢未夢(ライター)

「仕事が楽しくないから職場へ行きたくない」と、多くの人が一度は考えたことがあるはず。仕事が楽しくないと、なかなかプライベートも充実しませんよね。それでも自力で、『楽しくない仕事』と向き合えればいいのですが、大概うまくいかないものです。キャリアカウンセラーの木村俊夫さんに仕事が楽しくないときの対処法を聞きました。

仕事が楽しくないのは当たり前?

仕事が楽しくないというのは当たり前なのでしょうか? 仕事が楽しくないと感じる理由についても教えてもらいます。

普通のこと? 仕事が楽しくないと感じてしまう人の割合

2016年にマイナビが、インターネットアンケートとして男性164名、女性13名の合計303名の方から行った調査によると、48.2%の方が「仕事が楽しくない」と答えたそうです。キャリアカウンセラーである私の相談実績からは、7割以上の方が「仕事が楽しくない」と答えているように感じます。もっとも実際に相談に来るわけですから、何かモヤモヤした思いがある人の割合が高いのは当然でしょう。しかし、一概に仕事が楽しくないというよりは、「充実してない」、「ほかにやりたいことがある」といった気持ちを強く抱かれている方が多いように思います。また、仕事自体が楽しくないのではなく、人間関係などで仕事場が楽しくないといった環境面での悩みを感じている方も多くいらっしゃいます。

行きたくない! 仕事が楽しくないと感じる理由

仕事が楽しくないと感じる理由は、自分の中の理想と現実のギャップによるものが大きいと考えられます。その中から主な理由を5点挙げます。

自分の能力と合っていない

これは自己評価と仕事の難易度に差があるケースで、要求が高すぎても低すぎても感じてしまいます。できない仕事を要求されているケースだけでなく、仕事ができる人が、簡単な現場で仕事をする場合も注意が必要。この場合は、できると思っている自分と、今の仕事内容のギャップがあればあるほど、楽しくないと感じてしまうのです。

自分のやりたい仕事ではない

特に新入社員や、異動・転勤・出向など新しい環境に置かれた人が、感じやすいのがこのような不満です。環境が変わる前には、自分のやりたいことを分析したり、新しい仕事に関して上司から大きく期待されたりすることも。しかし、そうした自らがやりたいことや上司から期待された仕事とは裏腹に、当初の予定とはちがう仕事を任された場合、そのギャップによって楽しくないと感じるのです。

仕事のやり方が自分に合ってない

同じ仕事をやっていたとしても、人によって何に重点を置くかがちがうという面からくるものです。たとえば、カウンセラーの仕事で、自分はひとりひとりに対して十分な時間をかけて接したいのに、上司やまわりは時間を守って数をしっかりこなせと責めてくるといった場合。相談者を大切にする姿勢も、時間意識を守る姿勢も、どちらも仕事をする上では重要なものです。ここではやり方としての比重にギャップを感じてしまい、楽しくないと感じてしまうでしょう。

仕事に意味を感じない

仕事に意味を感じないというのは、自分の目的や目標がはっきりしている人が陥る可能性が高いようです。たとえば、社会をよくしたいと考えている人が、自社の経理部門へ異動になりました。その人は社会をよくしたいと考えているのに、経理にいては何もできないと歯がゆさを感じてしまうでしょう。こうしたギャップから仕事が楽しくないという思いに繋がってしまうのです。

職場環境が悪い

キャリアカウンセラーとして「仕事が楽しくない理由」で一番多いと感じるのは、職場環境に起因するもの。人間関係が悪いことや、ちょっとした不正がまかり通っている職場などさまざまなケースが考えられます。よく相談者から、「上司や同僚がいなければ、楽しい職場です」という声を耳にします。また加えて女性であれば、セクハラを受けているという話もよく聞きますし、環境の悪さに起因するギャップによって、仕事が楽しくなくなるケースは多岐にわたっています。

仕事が楽しくないときの対処法

続いて、「仕事が楽しくない」と感じたときにどうしたらいいのかを教えてもらいました。

楽しくないと感じたら手始めにまず、すること

仕事のやり方を変えてみる

まず仕事を進めるうえで、押し付けられた仕事のやり方になっていないか確認してみてください。同じ仕事を完成させることでも、上司と自分ではやり方がちがうはずです。仕事が楽しくないと考えるのには、押し付けられたやり方に真っ向から反発できずにそのまま仕事をしているケースが考えられます。

リフレッシュする

人間は心に余裕がないと楽しくないと感じるものです。特に、仕事の上では責任が伴いますから、さらに心に余裕がなくなってしまいます。一度仕事から離れ、リフレッシュすることで余裕を取り戻せるはずです。

生活サイクルを見直す

生活サイクルの乱れは、仕事の質や取り組み方に影響を与えます。特に、長年同じ仕事をやっているのに、最近なぜか仕事が楽しくないと考えてしまう場合は、生活の見直しを検討してみてください。たとえば、子どもの成長や親との関係など、仕事とはちがう所で生活サイクルが乱れ、仕事に影響をしているかもしれません。

異動や有給休暇を打診してみる

仕事が楽しくないなら、思い切って異動や有給などを打診してみるのもひとつの手です。もし要求が叶うなら、それを目標に今の仕事を無心でやるという選択がないわけではありません。ただ、この方法だと楽しさが担保されているわけでもありませんし、根本的な解決にならないケースもありえますので注意は必要です。

合わない、行きたくない、と感じたらすること

上記で挙げた対処法でも効果が見られない場合、これから紹介する方法を行ってみてください。しかしこの方法は、どれかをひとつだけを行うのではなく必ず【手順1】から【手順4】まで順番通りに行ってください。これは自分を知った上で視点を広げ、ゴールを目指すという過程を踏むことができ、よりよい対処が思いつきますよ。

【手順1】経験を振りかえる

自分は「何が一番楽しくない」と感じるのか検討をしましょう。人間関係なのか、仕事内容なのか、簡単でもいいので把握することで、具体的な解決策が思いつく場合もあります。

【手順2】言語化する

仕事がいかに楽しくないかを、自分の言葉で言語化してみましょう。自分の中でモヤモヤしたまま抱えているだけでは発散もうまくできません。何が起きて、どう思ったのかをしっかり意識して向き合いながら、どう伝えれば伝わるか考えてみてください。

【手順3】相談する

専門家でなくてよいので、話せる人に相談してみましょう。相談する過程で新しい視点や、自分の思い込みに気づき、続けようという力になることもあります。

【手順4】目標やゴールをしっかり決める

これからどうするのかを、スモールステップからでよいので検討しましょう。特に、ゴールを数値化することで一歩が踏み出しやすくなります。数値化とは、1カ月以内に転職するかどうか決めるなど、期限を切ったりすることを言います。

「仕事が楽しくない」と感じたら転職のタイミング?

仕事が楽しくないと感じたら、転職のタイミングととらえてもいいのかもしれません。どう転職したらいいのかを、木村さんに聞いてみました。

思い切って転職するのも選択のひとつ

離職理由を隠さない

転職理由は隠さず、ポシティブに告げましょう。たとえば、人間関係が嫌で辞めたのであれば、「前職では個人プレイを強いられることが多かったのですが、私はチームで仕事をしたいと考え退職しました」といった感じに、ポシティブな退職であったことを告げましょう。

やりたいことをはっきりさせる

転職するのに使う力はかなり大きなもの。本当に何がやりたいと思っていて、前職をなぜ辞めるに至ったのかをしっかり把握し、目的を持った転職とすることをお勧めします。自分なりの目的意識をはっきり持つことで、次の会社を選ぶ際も、明確な転職理由を伝えられる為、目に留まる可能性もあがります。

生活の充実を考える

仕事は生活の一部。これからのキャリアを考えるということは、生活の中で仕事をどう位置付けるかという根本にも向き合う必要があります。特に女性であれば、結婚や出産などライフイベントをキャリアより重視せざるを得ない場合もありますから、今後の生活から見直す機会ととらえてもよいでしょう。

仕事が楽しくないと感じたら早急に対策を

仕事が楽しくないと感じたら、そのまま感情を押し殺すのではなく、上で挙げた方法を試してみてください。対策を講じて、仕事に対する考え方が変われば、楽しい仕事と感じることができるかもしれません。それでも仕事が楽しくないという感情が残るのであれば思い切って転職の検討を。仕事が楽しくないというのも立派な転職理由になりえます。自分自身ととことん向き合い納得できる楽しい仕事を見つけてくださいね。

(文:木村俊夫、構成:唐沢未夢)

※画像はイメージです

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