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基本のビジネスマナー。正しい「お辞儀の仕方」とは

松本繁美(マナーアドバイザー)

お辞儀はビジネスマナーの基本でもあり、できないと恥をかいてしまうことも……。

お辞儀の種類をきちんと理解して、シーンに合った正しいお辞儀ができるようしたいものですよね。

今回は正しいお辞儀の仕方について、マナーアドバイザーの松本繁美さんに詳しく解説していただきました。

お辞儀の種類を理解しよう

ひとくちにお辞儀といっても、感謝・敬意から謝罪まで、その種類はさまざま。

それぞれの種類とその仕方についてまずは紹介します。

お辞儀は大きく分けて3種類

お辞儀には立ってする「立礼」と、座ってする「座礼」の2種類があり、「立礼」の中でも礼の深さによって「会釈」「敬礼」「最敬礼」の3つに分類されます。

社会人のマナーとして、場面によって使い分けられるようにしましょう。

会釈

正しいお辞儀の仕方(会釈)

軽い一礼。廊下ですれ違ったり、自分宛てではなくてもお客さまと目があったりしたときには、軽く頭を下げてあいさつします。

軽いあいさつですが、立ち止まってゆっくり頭を下げると丁寧な印象を与えます。

上体を15度の角度で倒します。

敬礼

正しいお辞儀の仕方(敬礼)

あらゆるシーンでもっとも使うお辞儀で、お客さまや目上の人に対する敬意を表します。

腰から頭まで一直線になるよう背筋を伸ばし、30度の角度で上体を倒します。

つま先から120cmほどの地点に目線を合わせるとピッタリと30度の角度になります。

最敬礼

正しいお辞儀の仕方(最敬礼)

深々と頭を下げる、もっとも丁寧なお辞儀です。

深い感謝や謝罪、お客さまのお見送りや葬儀の際に最敬礼をします。

腰から頭まで一直線になるよう背筋を伸ばし、45度の角度で上体を倒します。つま先の少し先を見つめて頭を下げると45度の角度になります。

男女で違う!? お辞儀をするときの手の位置

お辞儀をするときの手の位置

まずは姿勢よくきちんと立ち、腕の力を抜いて自然に下ろします。

女性は右手を左手でカバーして前で重ね、男性は両脇に手をまっすぐ伸ばして添わせ礼をしますが、職種によっては手を前で重ねる場合があります。

また、表情もあいさつの大切な要素です。謝罪やお悔やみでない限り、明るい表情でしたいものです。

あいさつとお辞儀、どっちが先?

「語先後礼」あいさつとお辞儀、どっちが先?

「語先後礼」という言葉があるように、まず、あいさつ言葉を先に述べてから頭を下げます。

あいさつ言葉を述べるときは、相手の目を見ること(アイコンタクト)も大切です。

お辞儀をキレイに見せるコツ

お辞儀をキレイに見せるコツ

キレイなお辞儀のコツですが、腰から頭まで背筋をまっすぐ伸ばして倒すこと。

そして、倒すときが1だとすると、起こすときは2くらいのカウントで起こします。

さらに、ゆっくりと起こすと丁寧さが増します。

また、最敬礼はもちろん、敬礼や会釈でも立ち止まってするのが望ましいです。立ち止まってするお辞儀を「静止礼」と呼びます。

ビジネスマナーとしてのお辞儀のポイント

一般的なお辞儀の種類についてわかりましたね。

しかし、ビジネスシーンでは、また違うルールが存在します。場面によって変わる、正しいお辞儀について先生に詳しくお聞きしました。

お辞儀するときの距離

お辞儀をするときは、ひじの長さの2倍ほど距離を取る

ビジネスの始まり、名刺交換時のお辞儀は不可欠で、互いの第一印象となる大切な要素です。このとき、相手との距離はどれくらい取ればよいのでしょうか。

これは、あいさつをしたり、物(名刺や書類など)を受け渡すのに必要な距離となります。

両腕の脇を締めひじを90度に曲げて、手先を前に出したときの距離で、相手も同様なので「ひじから中指までの長さ×2」が相手との距離の目安です。

これ以上遠いと、お尻を突き出した不格好なお辞儀になってしまいますし、近すぎても圧迫感や不快感を与えかねません。コミュニケーションを取りやすい距離感を認識できるようになりましょう。

着席時のお辞儀マナー

着席時はイスの横に立ってお辞儀するのがビジネスマナー

応接室や会議室など椅子がある場合、椅子の横であいさつやお辞儀をしてから着席します。

この時、お客さまを招く立場であれば、入室時はお客さまより後に座り、退出時はお客さまより後に席を立つよう気をつけましょう。

和室でのお辞儀マナー

和室でのお辞儀マナー

和室では「頭の位置」で関係性をはかるので、立ち上がってあいさつすると相手を見下ろすことになってしまいます(「頭が高い!」というセリフもありますね)。

座ったまま「座礼」をしますが、一度座布団をはずして畳の上でお辞儀をします。

手の付き方などはさまざまですが、まずは座布団から下座に降りるということを覚えましょう。

マナー違反なお辞儀

マナー違反なお辞儀

頭だけ下げる

マナー違反なお辞儀として、頭だけピョコリと下げるお辞儀が挙げられるでしょう。

腰から頭まで背筋を一直線にするのが望ましいですが、頭だけでお辞儀をする人が意外と多いようです。

頭だけペコペコ何度も下げる

同様に、頭だけペコペコ何度も下げるのも考えもの。お辞儀は回数ではなく、一度でも丁寧さや相手を敬う気持ちを表現できます。

座ったままお辞儀する

お辞儀は通常、立ってするものです。

たとえば、上司や先輩、客先より先に着席して待っていたとしても、相手が入ってきたら起立して「立礼」をします。座ったまま頭を下げるというのは、相手に不遜な印象を与えてしまいます。

立ちあがってまでお辞儀をする必要がないとき、例えば訪問先でお茶を運んでくれた人などには着席のままでも「ありがとうございます」などと声をかけ、少し頭をさげます。

猫背でのお辞儀

また、姿勢が悪く猫背なのもNGです。きちんと姿勢を正して、お辞儀をしたいものです。

笑顔に勝るビジネスツールはない

会釈は、廊下や道ばたで上司や先輩、知人やお客さまを見つけても、距離があって声をかけられないシチュエーションでも活躍します。

立ち止まって、にっこりと会釈をしましょう。笑顔に勝るビジネス・ツールはありません。

丁寧でしっかりしたお辞儀は、相手にとっても気持ちのよいもの。

さりげない笑顔とアイコンタクトをまじえて、すてきな印象を与えられる、そんなお辞儀ができるようになりたいですね。

(松本繁美)

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