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退職のお礼で喜ばれるギフトとは? マナー講師が解説

三上ナナエ(マナー講師)

転職や結婚、妊娠出産などで退職になった場合、お世話になった職場には何かお礼をしたいと思いますよね。実際どのように職場へはお礼をしたらいいのでしょうか? 社会人として、マナー違反は避けたいところです。マナー講師の三上ナナエさんに「退職のお礼」について詳しく教えてもらいました。

退職時のお礼のマナー

「立つ鳥跡を濁さず」という言葉は、退職時を象徴する言葉としても聞いたことがあるでしょう。水鳥が水辺をキレイにして飛び立ったことから「すごした場所、また立ち寄った場所は、キレイな状態にして去ろう」という意味で使われています。

退職の際は今までお世話になった方々へ感謝の気持ちを伝える大事な場面です。社内の人はもちろん、取引先にもご挨拶、後任の紹介などをしっかりしていくことが大切です。

言葉のお礼は当たり前ではありますが、形としての「もの」も感謝の気持ちを表すことに適しています。「もの」を渡すことは必須ではなく、渡したい気持ちが元になることが大切です。ただせっかく用意した「もの」も印象が悪くならないもの、タイミングをまちがわずスムーズに渡すことが大事です。

お礼の品を選ぶ考え方

性別や年齢を問わず使えるもの、好き嫌いが分かれないもの、できれば「消えもの」と言われるものが無難です。

配るタイミング

配るタイミングは最終出社日です。休憩時間や終業時間少し前に感謝の気持ちを添えながら手渡しするのが理想です。全体に挨拶をさせてもらえる機会を設けてもらえる場合はその挨拶のあとのほうがいいでしょう。

退職時のお礼の伝え方

続いては具体的なお礼の伝え方を教えてもらいましょう。

メッセージカードや手紙を渡す

上司や特にお世話になった方へはやはりカードだけではなく直接言葉で伝えるのが礼儀です。とはいえ、外回りの方などタイミングよく言葉を伝えられない場合もありますので、不在の場合に備えてメッセージカードを用意しておきましょう。

職場の人数が多く、ひとりひとり声をかけるのは難しい場合は休憩室にお菓子などを置き、「大変お世話になりありがとうございました。気持ちばかりのささやかなものですが召し上がっていただけるとうれしいです」とメッセージを添えておくのもいいでしょう。

文例

「◯月◯日で退職することになりました。〇〇さんには大変お世話になりました。特に新人時代は右も左もわからない私に嫌な顔をせずたくさんのことを教えてくださり、そのご恩は忘れません。〇〇さんのますますのご活躍をお祈りしております」

メールでお礼のメッセージを送る

 

ちがう支店でお世話になった人や取引先など直接会えない人へのお礼には、メールが適しています。

基本的には、社内の人には最終出社日、時間帯は終了定時の1時間前ぐらいがよいでしょう。

社外の人には2~3週間前に送ると「担当が変わることを前もってお知らせする配慮」が伝わりやすいでしょう。

社内向けメールの文例

件名:退職のご挨拶

〇〇部の皆様

お疲れ様です。〇〇課の〇〇です。

このたび、一身上の都合により◯月末で退職することになりました。
本日が最終出社日となります。
本来であれば直接すべきところ、メールでの急なご挨拶になりましたことをお詫びいたします。

入社してからの◯年間、やりがいを持って仕事をすることができたのもまわりの方々に支えていただいたおかげであると、改めて強く感じております。
至らぬ点も多々あったかと思いますが、皆様にお世話になり心より感謝しております。

私が担当しておりました業務は〇〇課の〇〇さんに引き継ぎをさせていただきましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

最後になりますが皆様のさらなるご活躍を心よりお祈りしております。
今まで本当にありがとうございました。

プレゼントやプチギフトを配る

会社によってはプチギフトを配る風習がまったくないこともあります。前に退職した人はどうしていたかを参考にすることが大切です。

そして、全員に配らず特にお世話になった人だけということであればさらに配慮は必要です。たとえば「〇〇さんにはプロジェクトの打ち上げでよくご馳走になったので」など理由を添えて、暗に全員には渡してはいないことが伝わるようにしましょう。

お菓子を配る

お菓子は、目安として30名くらいまでの会社であれば全員に、それ以上になるときは所属の部署とお世話になった他部署の人、プライベートでも付き合いがあった人に渡すようにします。

全員に渡したい気持ちがあればもちろん全員でも大丈夫ですが、これも前例に倣うようにしたほうが角が立たないでしょう。考えすぎて無理をして多くの人に渡さなくとも失礼ではありません。言葉で気持ちをしっかりと伝えていけば大丈夫です。

最終日終業時間少し前くらいからひとりずつに手渡しをするのが理想です。

退職のお礼で渡す品物の選び方

お礼の伝え方がわかったところで、続いてはお礼で渡す品物の選び方について教えてもらいました。

渡すと喜ばれるお礼ギフト【一般女性アンケート】

プチギフトやお菓子を渡すとはいっても、どんなものを渡せばいいのか悩んでしまいますよね。そこで、まずは一般女性がもらってうれしいものを聞いてみました。退職する同僚からお礼として配られた物で、センスがいいなと思ったものは何だったのでしょうか。

ハンドクリーム

・「ハンドクリーム。毎日使えるものでうれしいから」(27歳/アパレル・繊維/販売職・サービス系)

・「ハンドクリームとか使いやすいもの」(25歳/生保・損保/事務系専門職)

タオル

・「タオル。使い心地がよかったので」(26歳/機械・精密機器/事務系専門職)

・「タオルとかお菓子とか当たりさわりないものが一番」(29歳/生保・損保/専門職)

高級チョコレート

・「ちょっと高級で、自分では買わないチョコレート」(27歳/医療・福祉/事務系専門職)

・「高級チョコレートを一粒、おいしいものを少しだけというのはにくい」(33歳/不動産/事務系専門職)

ハンカチ

・「高級なブランドのハンカチはいいと思った」(28歳/その他/専門職)

・「ブランドのハンカチ。ハンカチは消耗品なのでうれしい」(34歳/金属・鉄鋼・化学/秘書・アシスタント職)

ご当地もの

・「自分の地元で有名なお菓子。東京では買えないから」(28歳/建設・土木/事務系専門職)

・「ご当地ものの、デパートで売っていないようなお菓子」(28歳/建設・土木/事務系専門職)

お菓子

・「お菓子が一番、まちがいがなく、失敗がないと思う」(23歳/学校・教育関連/専門職)

・「高級なお菓子。これが一番うれしいし、はずれません」(32歳/建設・土木/事務系専門職)

お菓子からブランド物のハンカチまで、いろんなものが挙がりました。日常使いできるか、食べられるものがいいということのようですね。自分では普段買わないけれど、もらうとうれしいもの、というのがポイントのようです。三上さんに、選ぶ際の具体的な注意点を教えてもらいましょう。

プチギフト&お菓子を選ぶ際の注意点

お菓子でも、プチギフトでもセンスを見せるよりも気使いで気持ちを表現することがポイントです。

お菓子を選ぶ際のポイント

【金額の相場】

ひとりあたり100円くらいが目安

【選ぶといいもの】

・個別包装してあり直接デスクにおけるもの
・日持ちするもの

【避けた方が無難なもの】

・匂いが出るもの
・食べにくくポロポロ崩れるもの
・音が出るもの(かたいおかき、おせんべい)
・好き嫌いが分かれそうなもの(変わった味のもの、手作り)
・食べるのに手間がかかるもの(切り分けが必要なケーキ、皿やフォークがいるもの)

お菓子以外のプチギフトを選ぶ際のポイント

【金額の相場】

ひとりあたり500円~1000円

【選ぶといいもの】

・実用品、消耗品
・印象的なラッピングやパッケージのもの
・チェーン店カフェのプリペイドカードも評判がいい

【避けた方が無難なもの】

・高額なもの
・サプライズや奇をてらったもの

一番大事なのは気遣いと感謝の気持ち

退職のお礼をする際に大事なのは、職場の方への気遣いですね。気遣いがきちんとできれば、感謝の気持ちは伝わるようです。お礼をメッセージカードやメールで伝える際には、三上さんが教えてくれた例文を参考にしてみましょう。お菓子やプチギフトを配る際にも、大事になってくるのは気遣い。もらう人の気持ちが想像できれば、奇をてらったものやもらって困るものを選ぶことはないですよね。退職する際は、三上さんのおっしるように「立つ鳥跡を濁さず」を心掛けましょう。

(三上ナナエ、ファナティック)

※画像はイメージです

※『マイナビウーマン』にて2016年12月にWebアンケート。有効回答数124件(22~34歳の働く女性)

 

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