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「乙女心」って何? 複雑と言われる理由と男性が理解できないワケ

ぱぷりこ(恋愛コラムニスト)

「乙女心がわかってない!」「乙女心は複雑なんだから」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。乙女心って何!? と謎に思っている人のために、乙女心を分析します。

乙女心とは

乙女心。それは太古より研究されている人類の謎のひとつです。エジプト王墓の壁画、古代ローマの遺跡には「乙女心はわからん」という記述が残り、文学や詩では「乙女心が複雑すぎる」とうたわれ、現代では最新技術やAIを駆使して乙女心の分析と解析が行われています。人類を悩ませる乙女心とはなんなのでしょうか。

「乙女心」の意味

乙女心とは、もともと「少女のように感じやすい心」という意味です。しかし、あらゆる年代の女性が「(自分の)乙女心は複雑だから」と言っていることから、実際に少女であるかどうかは関係なく、少女のように感じやすい心を持っている女性がいる、と考えられます。乙女心は、「物理状態」ではなく「精神状態」です。

乙女心あるある

「乙女心は精神」を念頭においた上で、乙女心あるあるを見ていきましょう。

姫として扱ってほしい(年齢不問)

姫といっても、無理難題の貢物を要求したり、毒りんごをかじったりしたいわけではありません。彼女たちが望んでいるのは、「自分にとってあなたは大事な存在だ」というメッセージです。「かわいい」「魅力的」という言葉を言われたり、花を送られたり、「私のかわいいスイートパンプキン」と特別な呼び名で呼ばれたりすると喜びます。「かわいい」という言葉は何歳になっても言われたいもの。実際の年齢を引き合いに出して「もうかわいいとかいう年齢じゃないんだから」と言うのはご法度です。

アドバイスはあってもいいけど、共感が先

よく「女性はアドバイスがほしいのではなく、共感がほしい」と言われますが、正しくは「アドバイスはあってもなくてもいいけど共感は必須」です。「共感」か「共感+アドバイス」は受け入れられやすいですが、共感なしの「アドバイス」は受け入れられにくいです。

自分の気持ちを察してほしい

女性は感情や共感を重視するため、大事な人相手だと「相手の気持ちを察しよう」「相手が心地いいコミュニケーションをしよう」とがんばります。それが愛情表現だと思っているからです。そのため、相手にも自分と同じように「自分のことを思いやってほしい、察してほしい=愛情を示してほしい」と求めがちです。

「乙女心は複雑」と言われる理由

「乙女心あるある」を見て「やはりわからん」「何を言ってるんだおまえは」と思った人のために、その理由を分析します。

「乙女心」が複雑と言われる理由とは

「乙女心がわからん」「複雑」と感じる原因は2つあります。まず、乙女心の事前知識や経験による知識がないから。もうひとつは「自分と他者は別人であり、別の価値観とルールで動いている」という前提を持たず、「自分と他人は同じ価値観とルールで動いている」という前提でコミュニケーションするから。

人間は、自分が理解していないもの、自分のルールと違う法則で動くものについて「複雑」「わからない」と感じます。たとえば、フィボナッチ数列は「0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21」と、前2つの和をつなげる数列で、法則を理解していれば次の数字はすぐ予想できますが、理解していないと「なぜ3の後に5がくる!? 4でしょ普通!?」と混乱して「わからん」「複雑すぎる」と感じます。

乙女心そのものが複雑なのではありません。理解していないもの、自分とは違う法則で動いているものが複雑に見えるのです。

では「乙女心」の法則とはどんなものでしょうか? コアにあるのは「自分は大事な存在だと思われたい」「愛されたい」「認められたい」という願望です。

男女問わず、人間は愛され、認められたい生き物です。乙女心が強い人は、承認欲求を「自分の心情や立場を理解してもらう」ことで満たそうとします。女性コミュニティの中にいると、お互いが心情を話し、お互いに「わかる」と言い合うことで「私はあなたの理解者です」「味方です」とメッセージを発し合い、信頼と連帯感を強めている姿をしょっちゅう見かけます。「共感」は「安心・自信の土台」であり、「愛情表現」です。

このように日々、相手に寄り添い理解を示すコミュニケーション訓練をすると、相手の心情を推測するスキルも発達してきます。実際、「身近なカップルが別れるかどうかを最も高い確率で予想できるのは、女性側の女友だち」という研究結果があるほどです。共感コミュニケーションで訓練を積んだ女性は、「手間暇をかけて相手の感情に寄り添い、理解を示し、推測して先回りする」こと=手間暇をかけて感情ケアすることが、愛情だと思うようになります。

乙女心を持つ人は、自分にとって大事な人には、愛情を持って相手の感情を読み解き、先回りして行動します。そして、相手にも自分と同じようなコミュニケーション方法=「愛情」を求めます。愛情を与えた人から同じように愛情を返してほしい、と思うことは誰にでもありますが、乙女心を持つ人は「自分と同じ共感ベースのコミュニケーションスタイルをしてくること=愛情」を求めます。

まとめます。乙女心を構成する要素は、下記のとおりです。

・女性は同性で自分の心情を語る機会が多い
・心情に寄り添われることで承認欲求を満たす
・内面を語るコミュニケーション経験が多いため、相手の心情を推察するようになる
・相手の心情に寄り添い、推察し、先回りすることが愛情だと思っている
・自分が大事に思っている相手には、自分と同じように行動してほしい

乙女心あるあるで紹介した「姫として扱ってほしい(年齢不問)」「アドバイスはあってもいいけど、共感が先」「自分の気持ちを察してほしい」は、すべてが「自分のことを理解し、大事にしてほしい」という願いに直結していることがわかると思います。乙女心を持つ人にとっては、感情面に寄り添い、味方だと示し、思いやってもらうことが「愛情」なのです。そのため、この法則にのっとらない言動をすると「愛情が足りない!」「わかってない!」と激怒されることになります。

乙女心が男性に理解されない理由とは

男性が「乙女心がわからない」という理由は、2つあります。

男性が上述した「乙女心の法則」を知らず、男性同士でよくやるコミュニケーションスタイルで接するから。そして、女性が「男性が理解していない」ということを知らず、乙女心スタイルのコミュニケーションを相手にいきなり求めるから。

そもそも男性は、女性よりも内面を話す機会が少ないため、経験値も少ないです。かつ、承認欲求を内面では満たそうとせず「外面についてすごいと褒められる」ことで満たそうとしがちです。そのため、女性に内面を話されると「承認してほしい」という願望を理解せず、承認なしにいきなりアドバイスなどをはじめてしまいがち。これは、女性スタイルのコミュニケーションに慣れている人にとっては「あんたの味方かどうかはどうでもいい」と突き放されたように感じます。

どちらがいい悪いではなく、文化と価値観のちがいです。褒められたい男性が「自分が喧嘩に勝った」などの武勇伝を語ったときに「ふーん、それって暴力的じゃない?」と言われたらがっかりするのと同じです。「すごーい!」と言われて承認欲求を満たしたいのに満たせない。イラッとすることでしょう。それと同じで、乙女心を持つ人にとっては、「わかるー!」で承認欲求を満たしたいのです。求めるものは同じですが、表現方法が異なるだけです。

さらにいえば、男性は内面を話し合う経験が女性より少ないため、共感ルールだけではなく、「相手の気持ちを推察する」スキルも持っていないことが多いです。しかし、乙女心を持つ人は「自分と同じように行動してほしい」と求めます。これは、日本人が外国人に対して「私と同じぐらい日本語を話してほしい」ということと同じで、けっこうな無茶ぶりです。さらに悪いことに、乙女心を持つ人は、自分が求めているものを言おうとしません。なぜなら「言わなくてもわかる」が愛情であり、「言わないとわからない」は愛情レベルが低いと見なしているからです。しかし、日本語レベルが低い外国人に対して「なんで私の言ってることがわからないの!? 愛情が足りないよね?」と言ったところで、わからないものはわかりません。きちんと説明し、順序立てることが必要です。

結局、「乙女心が理解されない」理由は、男性にも女性にもどちらにも理由があります。

乙女心は大切にするべき? 捨てるべき?

乙女心は大切にすべきでしょうか? それとも大人の女性には不要だと捨て去るべきでしょうか?

答えは、「基本的には捨てなくていいが、きちんと自分が求めているものを伝えるべき」です。

乙女心の根幹にある「認めてほしい」「愛してほしい」という欲求は、女性に限らず、男性も持つ自然な感情です。これを無理に捨て去る必要はありません。彼女たちが重視する共感も、社会活動においては非常に重要です。共感を主軸にしたコミュニケーションは、ビジネスや交渉、営業、勧誘、マーケティングでは基本中の基本だからです。「金とビジネスは共感と信用と期待により動く」といっても過言ではありません。

人は、自分たちが考えている以上に、論理よりも感情で動く生き物です。この事実は、行動マーケティングなどで科学的に実証・研究されています。人類として生きるなら、共感も承認欲求も絶対に必要です。だから、ここを無理に捨てる必要はまったくありません。

ただ「言葉にしなくても理解することが愛情だ」という自分ルールを強要すること、「察する」スキルで愛情を図ることはやめたほうがいいでしょう。「乙女心が複雑」「乙女心がわからない」と言われる最大の理由は、「自分が求めているものを、乙女心を持つ側がきちんと言葉で説明していない」からです。にもかかわらず、相手には自分と同じものを求め、期待どおりにならないと「わかってない!」「愛してくれない!」と怒るのは理不尽です。

自分がどういうルールで動いているのかをきちんと自覚し、相手がわかっていなさそうならきちんと言語化して「私はこういうことで愛情を感じる。だから、まずは共感して味方してほしい」「私は思いやりを示されることで愛情を感じるから、こうしてほしい」と伝えたほうがいいでしょう。そうでないと「何も言わないけど完璧に理解しろ」と強要することになり、周囲を疲れさせてしまいます。

乙女心がある人、乙女心が理解できない人、どちらがいい悪いはありません。価値観とルールのちがいがあるだけです。しかし、どちらも自分の価値観とルールを押しつけあい、相手が譲歩すべきだ、自分は変えたくない、と言い合っていれば、相互理解など夢のまた夢で、いつまで経っても世界平和が訪れません。

求めるものを自覚して言語化せよ。それ以外の乙女心は持っててよし

乙女心を持つ人が、乙女心を理解しない人とコミュニケーションすることは「異文化交流」です。異文化交流の基本は、下記です。

・自分がどういう価値観を持って動いているのか、自覚する
・自分の価値観を相手に伝える
・相手がどういう価値観を持って動いているのか、観察したり聞いたりする
・お互いの価値観を尊重する
・すり合わせるところはすり合わせる

自分が求めている愛情と愛情表現を自覚し、相手に言語化して伝えましょう。期待して待つだけだったり、相手が思い通りにならないと怒ったりするのは、異文化コミュニケーションとは言えません。人間は、言語というスーパーツールを持っています。霊長類の誇りを持ち、ばんばん言語化して、乙女心の法則をアピールし、世界全体の理解度を高めたほうがハッピーです。

(ぱぷりこ)

※画像はイメージです

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