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女の敵は女!? エピソード集と対処法

仁科友里

こんにちは、「間違いだらけの婚活にサヨナラ」(主婦と生活社)の著者で、ライターの仁科友里です。少し前の「#Me Too」運動から、女性が連帯してセクハラなどの不正に「NO!」をつきつけようという機運が以前より高まっているように感じます。その一方で、バラエティ番組では女性による「こんなオンナが嫌い」という企画が頻繁に行われています。はたして、「女の敵は女」なのかについて、一緒に考えていきましょう!

「女の敵は女」だと感じたエピソード

「女の敵は女」という言葉を耳にすることはあるでしょう。しかし、その一方で「女の友情」にフューチャーした小説やドラマも人気です。女性たちはどちらを「真実」だと感じているのでしょうか。

「女の敵は女」と感じる女性は多い?

Q.「女の敵はやっぱり女だわ!」と思った瞬間はありますか?

・ある……51.8%
・ない……48.2%
※有効回答数170件

だいたい2人にひとりが、「女の敵は女」と感じたことがあると見ることができるでしょう。妥当な数字だと思います。次に、「女の敵は女」と感じたエピソードを見ていきましょう。

「女の敵は女」と感じたエピソード

表裏が激しく態度がすぐ変わる

・「会社で水面下の女同士の醜い陰口合戦を見ていると思う」(30歳/金融・証券/秘書・アシスタント職)

・「表では仲よくしていても、裏で悪口を言いふらしているとき」(27歳/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)

マウンティングに足の引っ張り合い

・「なんだかんだでみんな自慢話が大好き。結婚している子は自分が勝ち組だと思っていて、すごく自慢してくる」(30歳/建設・土木/事務系専門職)

・「恋愛や美容、人気などで抜きんでた人を徹底的に突き落とす。足の引っ張り合いをする」(28歳/機械・精密機器/技術職)

恋愛の場では当然「敵」!

・「女友だちに好きな人を打ち明けたら、次の日に友だちがその彼に告白していた」(30歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)

・「いい男の前だとどんなに親しい友人や同僚でも、無意識のうちにライバル心を燃やして火花を散らしてしまう。恋愛で先を越されないかという猜疑心が強く、ちょっと魅力的な男性と一緒にいるだけで嫉妬される」(33歳/小売店/販売職・サービス系)

この手のもめ事は私が20代だったころから変わっていないようですね。介護の仕事をしている友人から聞きましたが、老人ホームでもマウンティングや恋愛の足を引っ張るという行為は見られるそうなので、これは一生の問題なのだと考えてもいいかもしれません。

どうして女性は「女の敵は女」と思ってしまうのか

大前提として、私たちはみな「自分のことが大好き」「成果はなくとも、自分は世界で一番優れている」と思っています。「そんなことはない、私は自分に自信がない」とか「自分が大嫌いだ」とおっしゃる人もいるかもしれませんが、それは「自分が好きだけど、理想とする自分にはほど遠いので、嫌いになってしまう」もしくは「自分は世界で一番ではない証拠をつきつけられたから、そう思ってしまう」のでしょう。また、「私は人が喜んでいる姿を見るのが好きだ」と思う人もいるでしょうが、それも「人を喜ばせることが好きな自分が好き」なわけで、ベースはやはり「自分は世界一優れている」「自分が大好き」なわけです。

「自分が大好き」なことはいいことです。「私は私のことが大好きだ」という人は、「大好きな自分のために、充実した人生を送りたい」と思っているでしょう。そういう人は、「女の敵は女」と言い出さないのではないかと私は思っています。

私たちは大人になると“実績”を出さなければいけない、成果主義の社会に生きています。たとえば、就活や転職の面接では「自分を雇ったら、御社にトクである」ことを示さないといけませんし、仕事を得てもいいパフォーマンスを出さなければ、昇進できないようになっているでしょう。

学生時代はそうでもなかったのに、社会人になって「女の敵は女」と感じることが多くなっているとしたら、「チャンスは平等に来ない」ということが理解できていないのかもしれません。学生時代の判断基準はテストであり、日程は平等に告知されます(中間テストの日程が、一部の人しか知らされていないということはありませんよね?)

しかし、社会人になってからのチャンスは、たとえば前任者が辞めて欠員が出たというように、「タイミング勝負」であることが多くなってきます。恋愛も同じで、いかに空きがない状態(彼女がいない)をつかむかがポイントになってきます。学生時代は点数だけでなく、コツコツ勉強している人を学校の先生は評価してくれるでしょうが、職場や恋愛では必ずしもそうではありません。なので、仕事にせよ恋愛にせよ、「今がチャンスだ」と思ったら、全力でアピールできるかどうかが鍵になってきます。

「自分が大好きだ」「世界で一番自分が好きだから、自分を幸せにする」と自覚して目的を持って生きている人は、自分が悪口を言うことや言われることも「仕方のないこと」として受け止められるでしょう。同様に、自分や他人がチャンスに飛び込むことも「当然のこと」と解釈します。ですから「女の敵は女」とは思わないのではないでしょうか。

逆に、「世界で一番自分が好きだけど、それを人に言うのは恥ずかしい」と感じている人の場合、「女性なんだから、助け合うべき」「和を乱すのは、慎むべき」といった具合に、平等理論に縛られています。ですから、チャンスをつかんだ人のことも「ズルしている」と苦々しく見てしまい、結果的に「女の敵は女」だと思ってしまうのです。つまりは、人目を気にして、自分の人生を生きていない人が「女の敵は女」と言うのではないでしょうか。

「女の敵は女」は本当なのか

「女の敵は女」という言葉がよく用いられるのが、女性の政治家の言動ではないでしょうか。日本は女性議員の193カ国中158 位と、かなりお粗末な結果となっています。同じアジアの中国(71位)、韓国(116位)よりも大分低いのです。

数少ない女性政治家は連帯すべきという意見は定期的に出ます。足並みを乱すような人が出ると「女の敵は女」と言われてしまうわけですが、そもそも政治家は自身の政治信念に基づいて政策を作るわけですから、「女性だから連帯せよ」と言われても無理があります。

また、先だっての自民党総裁選で、総裁選に出馬しようとした男性政治家が「『冷や飯を覚悟しろ』と脅された」と発言して物議をかもしましたが、男性が男性にいやがらせをしても「男の敵は男」と言われないことにお気づきでしょうか。

男性が男性に嫌がらせをしたり、裏切り行為を働いたりすることは「個人の選択」ですが、女性が同じことをすると「女の敵は女」と言われてしまう。その背景には「女は群れるのが好き」という決めつけ、もしくは「女は陰湿だから、最後は裏切るにちがいない」という蔑視があります。

日本が男社会であるということは、男性の上司に仕える可能性が高くなるということです。みなさんも男性上司による「話がちがう」という案件に遭遇するかもしれません。「男の敵も女」かと思ってしまうかもしれませんが、実際は、男も女も時と場合によって裏切るのであり、性別は関係ないと私は思います。

「女の敵は女」と思ってしまったら

繰り返しになりますが、「私は私が一番好きなので、私を幸せにします」を徹底しましょう。特に女性の多い職場の場合、「女の敵は女」現象が起こりやすい傾向があります。「人のことはどうでもいい、自分も助けてもらうつもりはない」くらいの気持ちを持ってください。

トラブルに巻き込まれないために、そういう職場では、自分の存在感を消すこと。年次の高い人にしゃべらせて、そうでない人は相槌を打つくらいにしておくのが無難です。

次に、力のある人、面倒くさい人が何を欲しているのかを読むこと。同じ職場で働いていても、人が職場に求めるものはそれぞれちがいます。「なんでもいいから早く帰りたい人」「ともかく仕事を完璧にしないと気持ち悪い人」「自分だけ男性上司にかわいがられたい人」「女性の集団の中でリーダーになりたい人」というように千差万別です。その人が一番いやがることを避ければ、トラブルはふりかかってきません。

その上で、あなたがその人の欲するメリットを提供すること。性別や関係性のつながりより、メリットを提供することで身を守るのです。メリットを提供できる人になれれば、どこの職場に行っても大丈夫です。

「女の敵は女」ではなく、「私の味方は私」と考えましょう

日本は女性の地位が社会的に低いので、「女の敵は女」と感じるような出来事に遭遇するかもしれません。みなさんがそれぞれに実力をつけて「女の敵は女」という言葉そのものを早く葬りさってほしいと思います。

(仁科友里)

※画像はイメージです

※『マイナビウーマン』にて2015年2月にWebアンケート。有効回答数170件(22歳~34歳の働く女性)

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