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ネガティブ思考の原因とネガティブを克服する改善策

平井妙子

小村由編

日々生活をしている中で、落ち込んでしまうことは誰にでもあるでしょう。また、ついネガティブな方向にばかり考えてしまう方も少なくありません。ネガティブな感情ばかり抱いてしまうと、うまくいくこともいかなくなり、毎日の生活を楽しむことができないですよね。そこで今回は、メンタルチェンジトレーナーの平井妙子さんに、ネガティブな思考や、それを克服するための改善策についてうかがいました。

そもそもネガティブ思考とは

ネガティブ思考とは

物事や出来事に対して、消極的・悲観的・否定的な思考の状態です。視点がマイナス面にフォーカスしやすいため、結果としてマイナス感情がともないます。ネガティブ思考では、利点や長所を否定し、欠点や短所を肯定しています。たとえば「気がきくね」といわれても、「そんなことはありません。私はいつもミスばかりしているダメ人間です」と、相手のポジティブな発言を否定して、自分のネガティブな発言を肯定してしまうようなケース。このように、マイナスの感情や経験を繰り返す脳のパターンから、ネガティブ思考が発生している状態のことです。

ネガティブ思考な人に共通する特徴

アメリカの精神科医アーロン・ベックが築いた「認知のゆがみ」10パターンがあります。これは、非合理的な思考パターンであり、ネガティブ思考が強化されるといわれています。物事に対しての認知の仕方、つまり捉え方や解釈が不合理に偏った思考です。

全か無か思考

物事を白か黒かの二極で考え、グレーはない。YesかNoかしかない、完璧主義思考パターン。少しでもミスがあれば、失敗だと認識する。極端な分極思考であり、柔軟性がない。

(例)スピーチの冒頭で頭が真っ白になり「最悪だ。恥ずかしい、もう終わりだ」

一般化のしすぎ

一度の経験やひとつの事例に対して、十分な根拠のないまま、意味や結論をつける。「いつも~だ」「決して~ない」という表現や思考パターン。

(例)「無視された。私のことが嫌いなのだろう」

心のフィルター

物事の一面だけに集中して、ほかをすべて排除するために視野狭窄に陥り、「ひとつのこと」しか見えなくなる思考パターン。肯定的な面が排除されるため、否定的な認識が残る。

(例)上司に提案した内容が否定され、自分自身を否定された気分になり仕事が手につかない。

マイナス化思考

プラスの出来事を、マイナスの出来事にすり替えてしまうパターン。

(例)「明日は人員も足りているし、休暇をとってもいいよ」といわれたが、「どうせ私は必要ない存在だ」と思ってしまう。

(例)業務が遅くなり、同僚から「大丈夫? 手伝うよ!」といわれても、「本当はデキない人だと思っているはず」と、マイナスに解釈する。

結論の飛躍

相手の気持ちや未来を根拠なく決めつけ、悲観的な結論を出してしまうパターンで、2種類あります。

・心の読みすぎ

相手の言動からネガティブな可能性を推測すること。相手に確認することなく、相手の考えを最悪のケースで推測、推定する。

(例)「メール返信がすぐに来ない、私のことはどうでもいいにちがいない」

・先読みの誤り

物事が否定的・悲劇的な結果になると推測する。

(例)「今の仕事ができなくなくなったら、何もかも終わりだ。生きている価値がない」

誇大視・過小評価

自分の失敗・弱みなどは大きく捉え、成功・強みなどは小さく評価しているパターン。

(例)「いろいろな資格を持っていても、たいしたことはない。私は大学受験も失敗して高卒ですから」

感情的決めつけ

自分の感情のみを根拠に、物事の結論を決めつけてしまうパターン。

(例)「ネガティブ思考から脱却できない自分が情けない。これだから仕事ができないんだ」

すべき思考

状況・状態に関係なく「すべきである」「しなければならない」と考えてしまうパターン。

(例)「女性は、家事や子育てを一番に考えなければならない」

レッテル貼り

過度な一般化のよるもの。ネガティブなレッテルを貼ってしまうパターン。

(例)「いつも失敗ばかり。私は負け犬だ」「挨拶もまともにできないなんて、常識のない人間だ」

自己関連づけ

自分がコントロールできないような結果が起こったとき、すべて自分の責任であると思い込んでしまうパターン。

(例)「子どもが受験に失敗したのは、私のサポートが悪かったせいだ」

参考記事はこちら▼

あなたの「ネガティブ度」を診断でチェックしてみましょう。

ネガティブを克服する改善策

ネガティブな思考になってしまうと、自分にとっていいことが起きても素直に喜んだり、うれしさを表現したりすることが少ないといえます。気持ちを無理やり上向きにしようとしても、簡単にはうまくいかないでしょう。そのことでまた落ち込んでしまう場合も。

しかし、ネガティブな思考を改善することは可能です。そのためにはまず、ネガティブな思考を抱いてしまう原因から追究することが必要。毎日の生活をより楽しく送るためにも、ぜひ参考にしてみましょう。

ネガティブ思考になる原因

ネガティブ思考のベースとなる要因として、遺伝、幼少期の経験、心的外傷、虐待などがあります。これらはストレスを生み、自尊心を低下させるきっかけとなっていることが多く見受けられるようです。「思考」は脳のパターン、いわば癖みたいなものですから、繰り返しの習慣によってその思考回路が定着されていきます。生活環境の側面から考えると、注意すべき点が2つあります。

かかわる相手と会話の内容

相手がネガティブモードであれば、毎回ネガティブ舞台の上演を観て、ネガティブ音声を耳にし、脳にインストールしているようなものです。

自分を取り巻く環境

孤独感を味わうような空間であれば、よくないことばかり考えてしまうかもしれません。ゴミ屋敷のような住居の場合、思考も整理しにくいでしょう。

そのほか、考え方における3つの原因も考えられます。

悩む時間(暇)がある

ストレスが蓄積され人間関係がうまくいかなくなると、誰との接点を持たず、自宅でひとりきりになる時間が増えます。そのため必然的に悩む時間も増加していきます。ひとりきりでいるこの時間が、負のスパイラルへの入り口といっても過言ではありません。

自分の答えがひとつだけになっている

「〇〇だから、××だ」「絶対に◇◇にちがいない」など、ひとりで決めつけた結論になっていることが多いです。狭い視野では複数の答えを見つけることができません。道を歩いていても、青空や澄んだ空気、道沿いのかわいらしい花に気づくこともなく、足元にある歩道しか見えていないようなものです。

ストレスや悩みを自ら発生させている

子どもたちが楽しそうに砂遊びをしているのを、公園のベンチに座って眺めながら、「ボーッとしている私はなんて惨めなんだ」「子どもはいいよね、何も悩みがなくて……」「あのお母さんたち、暇そうだし、優雅で羨ましい。どうせ私なんて……」 と、どこにいても何を見ても、ネガティブな感情を自ら引き出している人もいます。

参考記事はこちら▼

あなたは今、ネガティブな気持ちになっていませんか? この診断では、あなたのネガティブ女子度を診断します。

ネガティブ思考の直し方

幸せ貯金をする

毎日プラスの出来事をひとつ見つけること。うれしかったこと、楽しかったこと、感動したことなど。あるいは、成功したこと、達成したこと、社会貢献したことなど、自分を褒めてあげることも効果的です。どんなに小さな出来事でもかまいません。たとえば「今日食べたスイーツがおいしかった」「定時に仕事を終えることができた」「電車で席を譲った」「今日もがんばった! ビールがうまい!」「料理も洗濯も掃除も全部やった私はすごい!」など。

これは、プラスの出来事に視点を向ける脳トレになります。ネガティブ思考の人は、失敗したこと、できなかったこと、嫌なこと、人の顔色・言動などにフォーカスを当てています。脱却するための第一歩として、このトレーニングに取り組んでみてください。

解釈を変える

「認知のゆがみ」でもお伝えしたように、解釈が決めつけになっていたり、飛躍していたり、思い込みになっていませんか? まずはそのことに気づきましょう。たとえば「挨拶してくれなかった」→「嫌われている」は、ひとつの回答でしかありません。本当にそう思われているかどうかも不明で、自己否定に直結しています。「今日は機嫌が悪いのかな?」「体調がよくないのかな?」「私に気づかなかったのかも?」「声が聞こえなかったのかも?」「まぁ、そんな日もあるよね」など、相手の行動から状態を考えて複数の答えが自分の中にあれば、「挨拶してくれなかった」ことに対して深く悩むことは少なくなりますよ。

言葉を変える

「自分はダメな人間だ」「いつもこうだ」「またどうせ失敗するにちがいない」などの言葉は、自分を否定し、承認することができていません。否定的な言葉は否定的な状態が前提であるため、想像する未来も否定的なことをイメージしてしまいます。あわせて、過去のミスやマイナス体験を脳の中で再体験し、ネガティブ感情を抱いてしまいます。自分に投げかける言葉は自己暗示。ネガティブワードは禁句にしましょう。

少しでもよりよい日々を送るために

人生は、楽しいことやうれしいことばかり起きるわけではありません。誰もがつらくて苦しいことや悲しいことなども経験していきます。どちらの経験も人生にとって必要なもの。身に起こるさまざまな体験から学び、実りのある日々を送れるのではないでしょうか。

マイナスな感情や経験も人生の糧になる大切なものですが、すべてにおいて悲観的に捉えてしまっては、プラスなことが起きてもそれに気づくことができません。プラスとマイナスというのは両極端であり、捉え方によってはいくらでもプラスに変えることができるのです。無理に考え方を変えるのではなく、ちょっとした工夫から前向きな気持ちへと方向転換させ、プラスな感情を増やしていきましょう。

(監修・文:平井妙子 文:小村由編)

※画像はイメージです

 

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