誰かに頼らず楽しむ女子キャンプ
こいしさんがアウトドアあそびをするようになったのは、社会人になってから。誘われて行ったキャンプでそとごはんのおいしさにハマったのがきっかけでした。しかし、キャンプやバーべキューをするのは、レンタカーを借りたり、道具をもっている友だちを探したりと準備だけで大仕事。そこで、もっと気ままに楽しめるよう女性ひとりでもできるコンパクトスタイルのキャンプを考案し、それが女子キャンプの原型になりました。誰かに頼らなければ行けなかったキャンプが、ひとりでできるようになる。そんな自立したキャンプこそ女子キャンプなのです。
さらに、そとで過ごせる自信ができると、トレッキングやボルダリング、フライフィッシング、フェスなど、アウトドアの趣味の幅が広がっていく人が多いとか。週末の過ごし方に新しい選択肢を加えていきたいと思っている女性こそ女子キャンプに注目です。
徒歩でOK! 初心者に優しいキャンプ場とは?
とはいえ、大きな荷物を運んだり、テントをひとりで立てるなんて無理のような気がするという人もいるのでは? しかし、最近では「徒歩キャンプ」と呼ばれる公共交通機関を利用して参加する女子キャンパーも多く、40-50リットルのリュックに荷物をまとめれば女性でも普通に移動できます。もちろん、車で来る人がいてもいいし、キャンプ仲間とは、街で遊ぶときのように現地集合。それぞれが自立しているのが前提なので、仲間ともずっと一緒にいなければいけないなんてルールはなく、静かに過ごしたいと思えば勝手にテントへ戻るのも自由です。交通手段も過ごし方も“こうでなければいけない”という概念を捨てて楽しむのがイマドキキャンプなのです。
また、テント設営に不安がある人は、キャンプ場のホームページをチェックしましょう。レンタル品が多かったり、スタッフが手伝ってくれるというところなら万が一のときも安心です。ホームページが充実しているところは、現地も充実している場合が多く、最近は女性キャンパーが過ごしやすいよう、トイレも清潔で最新のウォシュレットというキャンプ場も少なくないんですよ。
はじめてキャンプに向けて!最低限そろえておきたいアイテムとは?
自由気ままに楽しむ女子キャンプといっても、快適に過ごすためには最低限必要なアイテムをそろえなければいけません。キャンプ旅をした経験を生かして、こいしさんが厳選した35-40リットルサイズのザックに収まるコンパクトスタイルキャンプの最低限必要なアイテム一覧が下記です。これに防寒着、食糧、着替えを足し、荷物の全重量は8-10kg程度が目安。
1.
35-40リットル程度のザック。女性の体形に合わせて設計されたものや体への負担を軽減するデザインのものも販売されています。
2.
調理や食事をするときに必要なナイフ&カトラリーセット
3.
ひとり暮らし用の鍋や家のコンロのように使えるガスのシングルバーナー。
4.
照明代わりになるランタン。布に包んで持っていきましょう。最近は、LEDタイプも多く出ています。
5.
一泊用の化粧道具
6-7.
折りたためるタイプのイスとテーブル。キャンプ場で貸し出している場合もあります。持っていかず、代わりにハイキングのようにレジャーシートの上で過ごすスタイルも可。
8.
手ぶらでも作業をできるヘッドライト。
9.
敷くだけで自分のエリアが一気にオシャレになるマット。お気に入りのラグでもOK。
10.
バーベキューにも使える折りたたみ式の焚き火台。
11.
1-2人用のソロテント。1.5kg以下がおすすめです。
12.
テントの中に敷くマット。スポンジ型か空気を入れるタイプを。
13.
春、夏、秋に使える3シーズン用の寝袋。女性用のコンパクトサイズがオススメ。
100円ショップでオトクにそろえよう
上記のアイテムをそろえようとすると予算は、3-6万円程度必要になります。そこで、快適さは失わずにできるだけ節約しようと考えると、便利なのがオトクに代用品をそろえられる100円ショップです。たとえば、カトラリーや食器はもちろん、鍋は100円の雪平鍋にして、ランタンやヘッドライトの代わりの照明、バーナーの代わりに固形燃料を使うこともできます。さらに、ホームセンターなどへ行けば、数千円で買えるテントもありますが、あまり節約しすぎると、わびしい雰囲気になってしまって楽しくないので注意すること。
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アイテム選びやデコにこだわり自分エリアを個性的でかわいらしく
女子キャンプのイベントなどへ行くと気になるのが、かわいらしくコーディネートしたテントなど。それぞれが、手作りのアイテムやこだわりのアイテムを選んで自分のエリアをデザインしています。機能性だけでなく見た目の雰囲気にもこだわれば、過ごす時間もより快適になるものです。そこで、女子キャンプの醍醐味のひとつでもあるオシャレテントコーディネート術をこいしさんに教えてもらいました。
(イラスト:こいしゆうか)
テントを飾るのにもっとも手軽でそれっぽく見せられるのが、万国旗のように布が連なったタルチョ。通販や雑貨店でも買えますが、いらなくなった洋服やかわいい布を買ってきて自分で手作りするのも楽しそう。世界にひとつのアイテムです。
また、レジャーシートの上にお気に入りのラグをひいたり、テントの入口をモチーフで飾ったりするのも華やかな印象になります。そのほか、お気に入りのクッションカバーを持っていき、起きているときは寝袋を中にいれてクッションのように使うのもアリです。
ちなみにアウトドアでも活躍しそうなデコアイテムは、リーズナブルな100円、300円ショップにも充実しているのでアイデアを膨らまして楽しみましょう。
忘れてはいけない自然の中でのマナー気を付けたい注意点とは?
自由気ままに楽しめるのが魅力の女子キャンプですが、最低限のマナーが守れない人は参加する資格はありません。たとえば、盛り上がりすぎて、みんなが眠りにつく時間になってもまわりを気にせず夜まで騒ぐのはNG。外だからこそまわりの人への配慮を忘れないようにしたいものです。また、自分が出したゴミを管理するのはもちろんですが、最近は安い道具を買って、その場で捨てる人が結構います。気持ちはわかりますが、やめましょう。ひとつの道具を長く大切に使うのもアウトドアの楽しみのひとつですよ。
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派手すぎるぐらいがちょうどいい?アウトドアファッションのポイントとは
せっかくアウトドアを楽しむなら、ファッションも外らしいコーディネイトをしたくなるもの。基本的に、アウトドアファッションとは、動きやすい服装。カジュアルスタイルが苦手な人もオンタイムとのギャップをねらって「少し派手すぎ?」と思うくらいのカラーコーディネートのほうが非日常感があって楽しいはずですよ。
まずは何からそろえる?アウトドアファッションの基礎知識を学ぼう
(イラスト:こいしゆうか)
山登り系は機能性を重視して3枚の着こなしを心がける
アウトドアファッションといってもいろいろです。たとえば、トレッキングなどの山登り系は、何が起こるかわからない自然の中にいるのでどんな状況にも対応できる着こなしをしておきたいもの。これからの季節のコーディネート的には、汗をかいてもすぐ乾く素材の半そでTシャツの上に長そでのシャツは、その上に薄手でレインジャケットにもなるウインドウパーカーなどを着れば、暑さや寒さに応じた3展開の着こなしができ対応できます。足元もきちんとトレッキングシューズを選びましょう。
キャンプファッションの鉄則は汚れても穴が開いてもいいものを
一方、街の中や、街から近いキャンプ場では、そこまで機能性にこだわる必要はありません。スニーカーや、夏ならサンダルでも構わないし、動きやすければいつもの私服で大丈夫です。朝晩の冷え込みを考えても街での着こなしに薄手のダウンジャケットやフリースをプラスするイメージでOK。また、ダウンなどの代わりに防水機能のあるポンチョのようなものもかわいいですが、焚き火の火の粉が飛んで穴が開くこともあります。汚れてもいい、穴が開いてもいい思える服装にしましょう。
最初に買うなら靴か雨具を 女性として防臭性も注意して
キャンプでもトレッキングでも基本アイテムとして用意したいのは、雨具です。フードがついたレインジャケットが、着たときに動きやすくて、コンパクトに持ち運べるのでオススメです。キャンプなら、ポンチョタイプのレインウェアやレインスカートもセットでそろえるとさらにかわいいですよ。デザインだけでなく素材もいろいろあるので、洗濯の仕方なども含めて店員さんと相談しながら選ぶと失敗しません。
また、動き回ると気になってくるのが、汗のにおい。体用の汗ふきシートをもっていくだけでなく、下着や一番中に着るTシャツを防臭効果のあるものにするとちがいますよ。
意外とやりがち!注意したいコーディネイトポイントは?
これからの季節のアウトドアファッションでやってしまいがちなのが、脚出しスタイル。しかし、自然の中は真夏でも冷えます。なるべくタイツやスパッツをはいていくか、最低でももっていくことだけは忘れないようにしましょう。
また、柄モノを取り入れるなら遊び心としてスパッツなどのワンアイテムにすると失敗しにくいはず。ジャケットやパーカーなどは、ビビットカラー系ではなく優しく淡い色系を選ぶとかわいらしくまとめやすいですよ。
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意外と知らない!? アウトドアファッションQ&A
キャンプやトレッキングに向けてのファッションを考えると次々浮かんでくる素朴な疑問。出たとこ勝負で出かけて現地で困るのもイヤですが、あらためて買うとしても損は絶対にしたくありません。そこで、「こんなときは何を選べばいいの?」という質問をまとめてみました。
Q.1 初心者におすすめのアウトドアブランドや街でも使えるアイテムを選ぶコツは?
A.1
アウトドアブンドで比較的リーズナブルな価格設定で靴から小物まで一式そろえやすいのは、ゆるくてかわいいアイテムが多い「columbia」。シューズも使いやすいと評判です。また、機能性だけでなくスタイルの美しさも重視している「AIGLE」は、むしろタウンユースがメインになるほどオシャレなアイテムが多いですよ。スウェーデン王室御用達のブランド「フェールラーベン」は、北欧らしいデザインで大人の女性でも無理がなくコーディネートに取り入れられます。
ストックホルムの電話帳をモチーフにつくられた「フェールラーベン」のロングセラーバッグ。リュックと手提げの2wayタイプで、カジュアルすぎないデザインは、街でのカジュアルスタイルにもマッチします。20色以上を展開しているので自分のワードローブに合わせた色を選べば失敗もありません。
「カンケンミニ」 5,000円/
Q.2 下着はどんなものを選べばいいの?
A.2
アウトドア用も販売されていますが、最初からそこまで本格的なものにこだわる必要はありません。「ユニクロ」で売っているインナーなども優秀です。トレッキングなど動き回るお出かけなら、フィット感が心地いい「ワイヤレスブラ」、キャンプなら消臭、ムレ防止などの機能がある「AIRism」シリーズの「ブラトップ」でもOKです。
肌にやさしいエクストラモイスト素材を使用し、フィット感抜群の快適なつけ心地がうれしいノーホックの「ワイヤレスブラ」。豊富なデザインバリエーションはさすが。下着特有の苦しさがないのに美しいバストの形をキープしてくれる優れモノです。
「ワイヤレスブラ ソフト」 1,990円/
Q.3 はじめてのトレッキングシューズは何を選べばいいの?
A.3
本格的な登山をするのでなければ、ブーツタイプの登山靴よりもローカットタイプのほうが、手入れもしやすく使いやすいですよ。決して安くはないトレッキングシューズですが、ローカットタイプなら、たまにしかアウトドアへ出かけない人もウォーキングなどにも使えるので靴箱のこやしになることはありません。そんなタウンユースも視野に入れて選ぶなら、「メレル」というブランドがオススメ。軽量で柔らかな履き心地が人気、デザイン性が高いシューズが多いですよ。
長時間歩いても疲れにくいクッション性や防水性、耐久性に優れたシューズ。抗菌テクノロジーで気になるニオイも防いでくれます。オリーブ、ブラック、イエローの3色展開。
「カメレオン2 ストーム ゴアテックス®」 13,650円(メーカー希望小売価格)/
Q.4 虫よけ対策はどうすればいいの?
A.4
虫よけ効果があるスプレーや虫よけアロマキャンドルを使う人が多いですが、アウトドアブランドの「Foxfire」では、防虫機能をもった素材の洋服や帽子なども販売しています。「スコーロン」という名の特殊素材で服にとまっても刺されにくく蚊が逃げていくそうです。これからの季節、1枚もっていると便利かもしれません。
防虫、吸汗速乾、UVカット機能があるトランスウェット・スコーロン素材のバティック柄シャツ。爽やかなデザインでレッド、パープル、ブルーの3色展開しています。
「スコーロンバティックシャツL/S」 12,600円/
Q.5 おとまりキャンプの場合、着替えは何をもって行けばいいの?
A.5
人それぞれです。1泊2日程度なら何ももっていかない人もいれば、翌日の着替え以外に寝るとき用の服をもっていく人もいます。ただ、滞在用の洋服をもっていくとかわいいし、ラクだしリラックスできますよ。たとえば、サンダルやエスニックテイストのゆったりパンツをもって行くだけでグッとキャンプが快適になります。
オシャレでラクちんのカラフルなタイパンツ。持ち運べるポーチ付きです。アウトドアシーン以外でも部屋着として活躍してくれます。
「ガダルタイパンツ」 1,995円/※カラーは、ライト系とダーク系のアソート商品になります
教えてくれたのは……
こいしゆうかさんアウトドアコーディネーター、イラストレーター。アウトドアユニット「mijinco」に所属し、女子キャンプの火付け役。テントの設営やたき火のおこし方、キャンプ料理のレシピまでをわかりやすく楽しく紹介しているコミックエッセイ『キャンプ、できちゃいました。』(アスペクト)も発売中。
(執筆:浜田彩)