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天才の陰には、未完成のまま終わった恋がある

(C) 2013「利休にたずねよ」製作委員会

恋って、まっとうすると
ある程度減るんです

 

孤高の天才が幼名の与四郎を名乗っていたころから、茶人として宗易、そして利休と名を与えられていく長い月日を演じた海老蔵さん。「19歳から70歳までだから、困りました」と撮影を振り返ります。

「でも、役の格好をすると、そのような雰囲気になって。宗易のときは宗易ですし、利休になると、なるべく動かない。とにかく何もしない! ということを意識して、お点前をさせていただいたりとか……」

長年連れ添った宗恩という妻がいながら、利休は19歳のときに出会った高麗の女の思い出が隠された緑柚の香合を常に持ち続けています。

「史実(歴史上の事実)としては、宗恩と利休は仲睦まじい。でも、原作の山本(兼一)先生がすごいのは、天才っていうのはそういう円満な生活では生まれないのではないかという発想から書かれているわけです。だから、高麗の女との未完成のまま終わった恋がある。変な話、恋ってまっとうするとある程度減るんですよ。でも、まっとうしないまま終わったことによって、彼の中にはそのフラストレーションと、同時に幸せな記憶が凝縮されていたんじゃないかな。香合を常に持ち続けることで戒めていたんじゃないかって思う。何かあったときにそれを見て、『ああ、あのとき……』って、常に利休は涙していたんじゃないかって思う」

>>>鋭い感性を持つ利休。その妻はいつも控えめで慎ましい方……

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