みんなは汗の悩み、どうしてる？　人にはちょっと聞きづらい、「汗問題」

汗の量について人と比べたことがなく深く悩んだ経験はなかったのですが、20代のときに私の尋常じゃない汗の量を見た相方のハジメから『目立つからグレーのＴシャツ着るなや……』と指摘されたことで、『あれ？　私って人より汗の量が多いのかも？』と思うようになりました。確かにピンクのワンピースを着て撮影した宣材写真もワキの部分に汗ジミが（笑）。収録や講演の後はいつも顔やワキが汗でダクダク。いつの日からか、衣装を着る際はスタイリストさんが汗ワキパッドを仕込んでくれるようになり、『汗が多いことで、いろんな人に気を遣ってもらっているんだなぁ』と思うようになりました。

今の旦那さんと初めて会ったときパフスリーブを着ていたんです。でも緊張のあまり後れ毛から滴る汗をパフスリーブが吸っていたようで、それを指摘された経験もあります。ワキ汗は小指まで垂れるんじゃないかって位かきますし、真冬でも犬の散歩とか行くと汗だくになるので、服の中にタオルを入れたり前日の服を着たりして散歩に行っています。

バービーさんがおっしゃったように、確かに汗の量は人と比べにくいため、自分は汗が多いのかどうか悩んでいる方も多いようです。たかが汗と思いがちですが、大量の汗をかく人は実は『多汗症』の可能性があるかもしれません。多汗症には、ワキや手のひら、顔など、体の一部だけの多汗症と、全身の多汗症があります。

明確な線引きはありませんが、『汗によって日常生活に支障がある』『汗が多くて耐えられない』といった自覚症状があると多汗症と診断され、治療の対象となる場合があります。下の6つの項目をチェックして、2つ以上あてはまる場合はワキの多汗症の可能性があります。

余裕で2つ以上あてはまります……。

日常生活に支障をきたすほど多量のワキの汗が、明らかな原因がないまま6ヶ月以上みられ、上記の6症状のうち2項目以上あてはまる場合は、『原発性腋窩多汗症（げんぱつせいえきかたかんしょう）』の可能性があります。

原発性腋窩多汗症？　初めて聞きました

多汗症と言っても、実は様々な種類があります。まず他の病気やケガなどが原因で汗の量が増える「続発性多汗症」と、それ以外で、汗の量が多くなる原因が特にない「原発性多汗症」に分かれます。日本人の約8人に1人が、ワキや手のひらなど体の一部に多量の汗をかく「原発性局所多汗症」の症状がみられるとの報告もあります。その中でも特に左右のワキ（腋窩）から多くの汗をかく場合を「原発性腋窩多汗症」と呼びます。ワキは、体温が上がったときや緊張したときに最初に汗をかきやすい部位なので、ワキの汗に悩む人が最も多いとされています。

へー、多汗症にも種類が！　私、原発性腋窩多汗症かもしれませんね。

もし医療機関で受診されたことがないようでしたら、一度相談されてみてはいかがでしょうか？　病院やクリニックなどの医療機関で適切な治療を受けることで、症状が解決する可能性があります。

私の元にも汗で困っている方が多く相談に訪れます。なかなか人に言えず、汗に悩んでいる方が思っている以上に多いと日々感じています。

医療機関で多汗症の治療ができるんですね。

そうなんです。ある調査によると、汗で悩んでいる方が医療機関を受診する割合は1割以下とも報告されています。デリケートな問題だけに身近な人には相談しづらいという人もいるかもしれませんが、汗の悩みを抱えているなら私たち医師にぜひ気軽に相談してほしいです。

治療法は具体的にどんなものがあるんですか？

多汗症に悩む方が増えたことで治療の選択肢も増えています。例えば、保険適応の塗り薬や飲み薬、注射、手術、精神療法などがあります。塗り薬や飲み薬なら痛みがなく、日常生活の中で気軽に治療していくことができます。症状の程度、治療法の安全性、ライフスタイルや費用負担を考慮して、それぞれの方に合った治療法を医師と相談して一緒に考えていくことができます。

治療の選択の幅も広いんですね。精神療法……、メンタルケアも大事ですよね。

患者様の中には、汗を気にするあまり学校行事に参加できなかったり、希望の職種・職業を諦めたりといった方もいらっしゃいます。中には、そこまで汗の量が多くなくても自分自身で汗が気になってしまい受診される方もいらっしゃるので、そういう場合はあえて治療する必要はないですよ、異常な量じゃありませんよ、ということを伝えるケースもあります。

家族や友人から汗について指摘されて、気にしすぎるようになってしまうこともありますよね。一度思い込んでしまうと客観的になれないこともあるので、先生が「大丈夫ですよ」と言ってくれるだけで安心できそう。

バービーさんのように、汗を気にしすぎることはないという考えもあると思います。

本当ですね。私自身は汗が多いとは感じていましたが、それをコンプレックスだと思ったり、悩んだりしたことはありませんでした。過剰に汗を気にする必要はないと思うけど、どうしても気になるなら早めに治療するのはありですね。どのように医療機関を選べばいいですか？

インターネットで多汗症の治療をしている病院やクリニックを探すこともできます。あと、『ワキ汗治療ナビ』というサイトで、汗治療できる病院を簡単に検索することができますよ。

私のYouTubeにも汗で悩んでいる方からたくさんコメントが来るんです。その人たちにも教えてあげたいです。

実際に治療された方は、『汗が減ってきたことで好きな洋服が着られるようになった』『汗が気にならなくなったので、緊張するシーンでも堂々と振る舞えるようになって自信が持てるようになった』『運動など今まで制限していたことができるようになり、いろんなことが楽しめるようになった』と嬉しい声をたくさんいただくことが多いです。汗で悩んでいるなら我慢せずに、気軽に皮膚科の医師に相談してほしいです。