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女性特有の不調に“漢方”がいいのはなぜ? 「ツムラ漢方記念館」で、大人の社会科見学

20代も半ばになり、冷えやだるさなど、これまで意識したことのない体の不調を感じるようになった編集部・I。「女性の不調には漢方薬がいいよ」とアラサーの先輩たちから薦められたり、ヘルスケアをテーマにした記事を手がけていることもあって、以前から漢方医学には興味津々。そこで、茨城県にある「ツムラ漢方記念館」に潜入、漢方薬の特徴や女性の不調に向いている理由を探ってきました。

漢方・生薬に特化した「漢方記念館」は、グッドデザイン賞も受賞

今回Iが訪れたのは、牛久大仏のすぐそばにあるツムラの茨城工場。約178,000㎡と、東京ドームおよそ3.8個分の広大な敷地内に、医療用漢方製剤の工場として世界一の規模と生産能力を誇る製造棟をはじめ、研究所、ツムラ漢方記念館、薬草見本園などがあります。

ツムラ漢方記念館は、漢方・生薬に特化した世界で唯一の記念館。製造棟と研究所の中間に位置し、2008年度グッドデザイン賞を受賞したほど、優美でスタイリッシュな建物が目を引きます。残念ながら通常は一般公開しておらず、医師・薬剤師などの医療関係者のみが利用できる施設ですが、今回は特別に見学させていただけることに。みなさんに代わり、しっかりと漢方について学んできましたよ!

漢方薬は、特定の症状に合わせた西洋薬と違い、多種の生薬を配合

今回案内してくださったのは、ツムラ漢方記念館館長の田村さん。私たちの健康を支えている薬は、大きく分けて西洋薬と漢方薬がありますが、この違いって一体?

「漢方医学は、長い年月をかけて、日本人の体質に合うように改良されてきました。その漢方医学で使われる薬剤が、漢方薬です。西洋薬は単一成分で構成され、特定の症状や病気を治療することが得意ですが、漢方薬は複数の生薬を組み合わせて構成されており、一つの処方でさまざまな病気や症状に対する作用が期待できるんです。漢方薬で一番知られている葛根湯でも7つの生薬からできており、風邪だけでなく、頭痛や肩こりにも効くといわれています。ちなみに漢方薬は出典があり、葛根湯は1800年も前の中国の書物に載っているんですよ。その書物の写しも記念館に展示されています」。

生薬がズラリと並ぶ記念館のシンボルゾーン

「ここでは、漢方薬の原料となる生薬をガラスケースに展示しています。生薬は、薬草の根、茎、葉など有用成分を乾燥させた植物由来のものが大半ですが、なかには動物や鉱物に由来するものもあるんです」と田村さん。
「生姜など身近なものもあるけど、ほとんどがあまりなじみのないものばかり。大型哺乳類の化石である竜骨や、植物以外の生薬もあるなんて、とても意外です!」とIもびっくり。

漢方は、日本独自の伝統医学として発展

ここで、漢方の歴史も学んでおきましょう。
「5~6世紀ごろに古代中国から、漢方医学の起源となるものが伝来したことから始まります。その後、日本の風土や気候、日本人の体質に合わせて1400年以上もかけて独自の発展を遂げてきました。しかし明治維新以降、日本の医療は西洋医学が中心となり、漢方医学は一度衰退。

それでも“漢方医学が必要”だと考える医師や医学関係者が、その有用性を唱え続けます。ツムラの創業者もそのひとりで、漢方の復権のために研究所や薬草植物園をつくり、生薬学の研究を積み重ねてきました。やがて漢方医学が見直され漢方の復権が実現。1976年にはツムラ漢方エキス製剤が健康保険適用になりました。科学的根拠の解明とともに、現在では医療現場で広く使われるようになっています」。

約50種類もの原料生薬に触れられる体験コーナー

記念館の2階には、漢方製剤の製造工程を紹介するパネルが並び、その中央には、実際に手に触れられる約50種類の原料生薬がズラリ。

「生薬は、8割が中国、1.5割が日本、ほか0.5割がラオスなどアジア諸国から仕入れています。ツムラ独自の厳格な基準をクリアしたものだけを使い、最終製品はすべて日本国内で製造しています」と田村さん。
「漢方薬はどれも苦いイメージがあるけれど、こうやって生薬を嗅いでみると、ひとつひとつ香りが全然違うし、少し甘い香りがするものや、料理で使う香辛料のようなものも……。嗅いでいると、なんだか元気になりそうな気がします(笑)」と、Iもさまざまな生薬を手にとって、楽しげに嗅いでいきます。

生薬の原植物約200種を栽培する薬草見本園をお散歩


漢方記念館を後にし、続いて裏手にある薬草見本園へ。
「約700坪の敷地で、原植物や関連植物を約200種類栽培しています。漢方製剤ごとにまとめて植えられているコーナーもあり、ひとつの漢方薬にこれだけの生薬が使われているということが、一目でわかると思います。今はシーズンではないのでちょっと寂しい印象ですが、春先などはさまざまな花が咲き、見ごたえがありますよ」。

最後に、どうして漢方は女性の不調に向いているのでしょうか。
「女性は、ホルモンが変動することで、心身に大きな変化が起こり、不調を感じやすい。しかしそれらは検査で異常が見られないことが多いんです。こういった、なんとなく体調がすぐれないという『不定愁訴』に強いのが、漢方薬です。また一人ひとりの体質や症状に合った薬を選択できるオーダーメイドの医療であることも特徴です」。

まとめ: 漢方は一人ひとりの体質や症状に合ったオーダーメイド医療。だから、女性の不調に向いている


こうして見学を終えたI。
「漢方はずっと中国伝統の医療だと思っていましたが、実は日本では発展したものだったんですね。一つの処方でさまざまな病気や症状に対する作用が期待できるのは、すごく魅力的。冷えもそうですが、最近イライラすることも増えていたので、体の中のどこかのバランスが崩れているのかなって思っていたんです」。冷えなどのちょっとした不調に味方となってくれると知り、漢方をとても頼もしく感じたそう。

現在、148種類の漢方薬に、健康保険が適用され、多くの病院で用いられています。Iのように少しでも不調を感じるようであれば、一度ドクターに相談してみてはいかがでしょうか。

提供:株式会社ツムラ

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