※このコラムは『子宮恋愛』2話までのネタバレを含んでいます。
■無敵の人怖い。野生動物やん
人の気持ちを優先し、自分の本音を押し殺して生きている苫田まき(松井愛莉)と、自分の思うがままに振舞う山手(大貫勇輔)。まきは山手からの突然のキスに心、いや子宮の平穏が掻き乱されているようです。
そんな最中に会社のエレベーターで山手と鉢合わせ、「あ、もしかして俺のこと意識してる?」と、またしても気持ちを揺さぶられます。
「そりゃあんなことされたら嫌でも意識しちゃいますよ!」と、今の素直な気持ちを伝えると、「あんなことって?」と、分かっているくせに、わざわざまきの口から言わせようとするドSっぷり。
「苫田さんは頭で考えすぎ。もっと心の赴くままに生きたら?」と、山手は「理性を捨て本能で生きる、自分がほぼ野生動物と同様の存在」であることを宣言して去っていきました。だからこそ、セクハラで訴えられることを恐れず、職場の人間に気軽に意味のないキスができるんですね。無敵の人怖い。
エレベーター登場時も、ほぼ閉まりかけの隙間に手を入れてこじ開けて乗り込んできましたからね。マナー違反&若干のホラーです。
■無言の圧で話し合いをしないモラ夫
野生の人・山手や、大学の先輩・寄島(吉本実憂)の言葉を受け、早速まきは自分の夫である恭一(沢村玲)に気持ちを伝えます。しかし、義理の父が抗がん剤治療を受けていることを自分だけ知らなかったことについて、「(恭一から)教えてほしかった」とお願いすると、恭一はそれっぽい言い訳をした後無言のため息をつき、これ以上話題に触れられない空気に……。
慣れないことをしたまきは、つい耐えられなくなり、雰囲気を変えようと気を遣って話題を変えます。加えて、ずっと言えずにいた、「子どもが欲しいこと」を勇気を出して伝えてみるのですが、恭一は話を遮り「今度ゆっくりはなそ」と流すのです。まきはそれでも負けじと「今度っていつ?」と食らいつくのですが、恭一は無視し、これ以上話すなという圧倒的な無言の圧をかけるのです。
その雰囲気に押し負けて、まきはつい「ごめん」と謝ってしまいます。ここに山手がいたら「苫田さんがなんで謝るの!? 何も悪くないのに! イライラする!」と叱責されそうなものです。
そんなこんなで夫・恭一はまきにきちんと向き合ってくれず、恭一のペース優先で家庭が回っているようです。それにより、まきもどんどん萎縮し、本音が押し殺されてしまう負のループにハマっているのでしょう。
■論点をずらし、こちらを悪人に仕立て上げるクソモラ仕草
後日、恭一はまきに尋ねます。「まきはなんで子どもが欲しいの? 子どもがいなくても幸せな夫婦はいるよ。子どもを持つっていいことばかりじゃないよ。自分たちの時間は減るし、経済的負担は増えるし」
それに対するまきの答えは「子どもがいると、恭一ともっと家族になれる気がするから」
恭一にきちんと向き合ってもらえず、心が繋がっていないように感じる中で、子どもという絆ができれば、より恭一が家庭や自分に向きあってくれることを期待しているのでしょうか。子どもを手段に使う手法はあまり感心できません。「モラやクズ夫も子どもができたら変わってくれるはず!」のパターンは大体変わらないですからね。人間三つ子の魂百まで。
「じゃあ今は家族じゃないってこと? 俺ってそんなに信用できないかな」という恭一の答えもまた論点をずらして、こちらを悪人に仕立て上げてくるクソモラ手法ですが、結局議題の根本に触れようとせず恭一は流し、まきは諦めて気持ちを伝えきれず、お互いの本音をぶつけることのないまま日々が過ぎてしまっているような感じです。
さらには、子どもを作る前に解決しなければいけない問題を、まきは子どもで解決しようとしているし、恭一は解決せず現状維持でいきたいと流している。歯車が噛み合っていまません。
■女性は子宮で、男性は睾丸で恋をする!?
まきは同僚づてに、山手が自分のことを褒めていたことを聞き驚きます。そして、また子宮がポチャン(恋する効果音)してしまうのです。子宮に手を当て、子宮からの音を感じるまき。
それに対して「子宮が恋しちゃったんじゃない? 頭じゃなくてここで恋しちゃうこと」と、この世の摂理の一つかのようにまきに対して説く寄島。我々の人知を超えた領域が、常識のように語られている。これはどういう世界線なんだ……。女性は子宮で恋するなら、男性は睾丸で恋するんでしょうか……?(震
■山手ウルセェな?
体調不良の後輩の代わりに仕事を巻き取って残業するまき。そして1人残業するまきのために、山手はパンを差し入れするのです。こういうのが山手がモテる理由なんでしょうね。山手の言動にまきは、「私てっきり山手さんに嫌われてるんだと思ってました」と驚きを隠せません。
すると山手は「俺に嫌いじゃないよって言ってほしいんでしょ。そういうところがイライラするんだよね」と、またまきをディスります。山手が以前指摘してきたように、まきも思ったことをそのまま言っているだけなのに……。
山手の受け答えにも若干のモラみを感じます。モラはもう恭一だけで手いっぱいですので、モラの在庫過多です。
「山手さんてよく分からないです」と言えば、「俺のこともっと知りたいってこと? 苫田さんて本当にまわりくどいよね」と、「よく分からないだけで、興味があるとまではと読み取れない文脈」からいちいち深読みしてくる感じも若干だるくなってきました。
「本当にもうからかうのやめてください!」と、まきが制すると、今度は「ごめん、苫田さん勘違いしてるかも! 俺苫田さんと恋愛する気ないから!」と、謎の詫びを入れてきます。
「ごめん、うるせぇわ」で全てを終わらせたいくらいですが、全て山手のペースになってしまい、まきは翻弄されてしまいます。ぜひ子宮の恋愛が萎える効果音も出していただきたい。
■恭一は浮気するならホテル待ち合わせにしろ
そして恭一はまさかの寄島との浮気が発覚。大学の同期の2人ですがこの関係は果たしていつから続いていたのでしょうか。寄島は裕福な暮らしぶりですが、夫が仕事で不在がちそうなので、その寂しさを恭一で埋めている様子。
バーで落ち合った途端、ここはホテルか? ってくらい、いい大人がおっぱじまってましたけど……。もう最初からホテルで待ち合わせしろよ。
この関係の詳細も気になるところですね。学校の教師をしている恭一ですが、恭一に恋してそうな生徒の存在も不穏ですね。次回もポチャンの効果音に期待しながら展開に期待しましょう。
(やまとなでし子)