ビジネスシーンでよく耳にする「およそ」と「おおよそ」という言葉。ほとんど同じ言葉のようですが、この2つにはどのような意味や違いがあるのでしょうか。
ビジネス上では使い方に悩むことも多く「合っているか不安」という方も多いと思います。
この記事では「およそ」と「おおよそ」の意味や違いを解説。使い方や類語もご紹介しますので、ぜひ参考にしてビジネスシーンで役立ててくださいね。
■「およそ」と「おおよそ」の違いとは
^「およそ」と「おおよそ」は、「物事の大体のところ」「だいたい」といった言葉を指す、似た意味の単語^です。
2つの違いは「どのような場面で使うか」というところにあります。
なぜ2つの似た言葉が存在するのか、どちらが正しいのかをチェックしていきましょう。
◇「およそ」「おおよそ」どちらが正しい?
まず「おおよそ」を辞書で調べてみると、以下のように記載されていました。
大凡/凡(おおよそ) の意味・使い方
[名・形動]
1 だいたいのところ。あらまし。
2 ひととおりであること。普通。
「ひととせはいたく―にこそおもしろしと見え給ひしか」〈宇津保・楼上上〉
[副]
1 細部にこだわらず概略を判断するさま。だいたい。大ざっぱに。およそ。
2 話を切り出すときの言葉。全体的にみて。一般に。いったい。そもそも。
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
「およそ」は「おおよそ」から変化した単語です。そのためより^正しいのは「おおよそ」の方だと言える^でしょう。
しかし現在は^「およそ」も辞書に掲載されている言葉です。そのため、こちらを使うことも問題ありません。^
しかし^「およそ」は「おおよそ」よりもカジュアルな印象であり、口語として使われることが多い^です。ビジネスシーンで使用する場合は「おおよそ」の方が適切だと言えます。
◇なぜ「およそ」を使うことが増えたのか
ではなぜ同じ意味の「およそ」という言葉が生まれたのでしょうか。
まず^「およそ」は「おおよそ」から、音変化したもの。^音変化とは、発音しにくい音を発音しやすく変化させたものを指すのですが、「おおよそ」が言いにくいため、言いやすくした「およそ」が生まれました。
つまり^「およそ」の方が言いやすいという観点から、使用される機会が増えたと考えられる^のです。
▶次のページでは、「およそ」「おおよそ」の使い方をそれぞれ見ていきます。
■「およそ」の使い方(例文有)
「およそ」は「おおよそ」と同様に、大体のことやおおざっぱなことを伝える時に使用できるフレーズです。^こちらは会話内で使用するなど、口語的に使うニュアンスが強い^です。
近しい同僚と話す時や日常会話では「およそ」を用いてみてください。
◇例文
*
・「今年のボーナスは、去年のおよそ半分らしいよ」
・「およそ、日本人は働きすぎだと思います」
・「この啓発本は、およそ面白くありませんでした」
*
「およそ」は「おおよそ」と比べると口語的でありカジュアルなニュアンスが強くなります。そのため、^上司などの目上の人や、フォーマルなシーンでは使わない方がベター。^
また「およそ」には複数の意味があります。
話しの切り出しに使う「そもそも」「総じて」という意味や、「全く」「全然」という意味もあり、フォーマルなシーンではこちらもよく使われます。
■「おおよそ」の使い方(例文有)
「おおよそ」は敬語表現ではないものの、「およそ」よりも丁寧なニュアンスがあります。そのため文語的に使用されることが多いです。
^ビジネスメールや手紙、資料など、文章で伝える場合には「おおよそ」を用いるようにしましょう。^
◇例文
*
・「おおよそで構いませんので、何時くらいにご来社されるがご連絡いただけると幸いです」
・「当日のおおよそのスケジュールはこちらです」
・「次のプロジェクトの予算は、おおよそ150万円です」
*
「おおよそ」は「おおよその金額」「おおよその人数」など、^大体のことを表す時、大まかに伝える時に使用するフレーズ。^「およそ」よりは丁寧な印象となるため、ビジネスシーンでも使われることがあります。
▶次のページでは、「およそ」「おおよそ」の類語を紹介します。
■「およそ」「おおよそ」の類語
では「およそ」「おおよそ」にはどのような言い換え表現があるのでしょうか。ここでは、この2つの単語の類語をご紹介します。
微妙なニュアンスの差がありますので、状況に応じて使い分けられるようにしましょう。
◇(1)「ざっと」
「ざっと」は^「おおまかに物事を行うこと」や「だいたい」^のような意味で使われます。「およそ」や「おおよそ」とほとんど同じ意味です。何らかの数字に対して「正確ではないがこのくらい」とニュアンス的に使うことが多いフレーズ。
カジュアルな言い回しなので、状況によっては使用するのに注意する必要があります。
◇(2)「約」
「約」は、^数量を大まかに伝える時に使う言葉。^「およそ」「おおよそ」には「約」という意味もあることから、類語と言えるのではないでしょうか。
しかし基本的に「約」は数値に関して使うものですので、少し使い方が違うので注意。どちらを使うか悩んだら、どのような内容を話すのかをしっかり分析するようにしてください。
◇(3)「概ね」
まず「概ね」を辞書で調べてみると以下のような意味が掲載されています。
大旨/概ね(おおむね) の意味・使い方
[名]だいたいの趣旨。あらまし。「―は了承した」
[副](概ね)その状態が大部分を占めるさま。だいたい。おおよそ。「会員は―女性だ」
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
^「おおよそ」という意味が載っていますので、類似表現だということが分かりますね。^
「概ね」は少し堅い表現です。そのため、日常会話で使用することはあまりなく、ビジネスシーンの中でもフォーマルな場面で使われることが多いです。
■「およそ」は口語的、「おおよそ」は文語的
同じ意味を持つ「およそ」と「おおよそ」ですが、2つの違いは「使う場面」にあります。
「およそ」はビジネス上でも比較的カジュアルな会話や日常会話など、口語で使われることが多く、「おおよそ」はメールや手紙など、フォーマルな場面で文語的に使われるものです。
同じ意味ですが、しっかりと使う場面を把握することで、相手とのコミュニケーションが円滑に進みます。ぜひマスターしてワンランク上のビジネスパーソンを目指してください。
(にほんご倶楽部)
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