お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

認知率わずか11.7% “働きがいのある人間らしい仕事”の実現には何が必要? 「ディーセント・ワークに関する調査」―連合調べ

日本労働組合総連合会(連合)は、ネットエイジアリサーチのモバイルモニター会員を母集団とする全国の男女を対象に、「ディーセント・ワークに関する調査」を実施、結果を発表した。調査対象は、現在会社経営者または役員の人を除く18歳~65歳の男女1,000人、調査方法は携帯電話によるインターネットリサーチ、調査期間は2014年8月22日~8月26日の5日間。

まず、「働きがいのある人間らしい仕事」と訳されることがある“ディーセント・ワーク”という言葉を聞いたことがあるか聞いたところ、「聞いたことがあり、内容も知っていた」と回答した人は1.7%、「聞いたことはあるが、内容は知らなかった」という人は10.0%となり、それらを合計しても、“認知率”は11.7%にとどまった。

次に、現在就業中、または就業経験のある968人に、仕事のどのようなところに働きがいを感じているか(感じていたか)を聞いたところ、「自分のやりたい仕事ができている」と回答した人が43.3%で最多となった。次いで、「仕事を通じて自分が成長できている」が40.0%、「責任ある仕事を任されている」も39.9%に。「働きがいを感じられない/感じなかった」と回答した人は11.7%。

ディーセント・ワークの実現のためには、≪仕事内容≫、≪労働時間・休日日数≫、≪賃金≫、≪労働環境・職場環境≫がそれぞれどの程度重要だと思うかを聞いたところ、≪労働環境・職場環境≫を「非常に重要」だと考えている人が50.3%と半数を超え、「どちらかといえば重要」までを回答に選んだ“重要と考える”人を合計すると、97.8%となった。その他の項目についても“重要と考える”人の合計は9割を超える結果に。

9割以上が“ディーセント・ワークの実現のために重要”だと回答した≪労働環境・職場環境≫、≪賃金≫、≪労働時間・休日日数≫、≪仕事内容≫について、どの程度満足できている(できていた)かを聞いたところ、「非常に満足している(していた)」から「どちらかといえば満足している(していた)」を合計した、『満足(計)』の割合は、≪労働環境・職場環境≫が65.3%、≪賃金≫が51.2%、≪労働時間・休日日数≫が67.6%、≪仕事内容≫が74.4%という結果となった。

ディーセント・ワークの実現のために、≪社会保障制度(社会的保護)≫はどの程度重要だと思うかと聞いたところ、『重要(計)』は97.4%にのぼった。一方で、≪社会保障制度(社会的保護)≫がどの程度機能していると思うかと聞いたところ、「十分に機能している」から「どちらかといえば機能している」と回答した人は、合計で59.1%、「全く機能していない」から「どちらかといえば機能していない」と回答した人の合計は40.9%となった。

≪賃金≫について“非満足”とした472人を対象に、不満内容を聞いたところ、「基本給の水準が低い」と回答した人が60.6%と最多に。また、「仕事の成果に比べて低い」の42.2%や、「長期間給料がアップしない」35.4%、「残業手当や交通費などの手当が支給されていない/少ない」32.8%、「労働時間に比べて低い」30.7%と、続く回答も3-4割台に。

男女別では、「長期間給料がアップしない」、「残業手当や交通費などの手当が支給されていない/少ない」では女性のほうが高く、特に、18歳~30歳女性では「残業手当や交通費などの手当が支給されていない/少ない」と回答した人が50.0%と、2番目に高い数値に。一方、「責任・ポジションに比べて低い」とした人は、男性23.8%、女性13.8%と、男性のほうが高い結果となった。

≪労働環境・職場環境≫について“非満足”とした336人に、不満内容を聞いたところ、「職場の人間関係が悪い」が50.6%で最多。以下3割台で、「目標となる先輩・上司がいない」、「職場のルールが整っていない」、「仕事をしない人がいる」、「自分の考えや意見が発言しづらい」、「パワハラやいじめがある」という回答が続いた。

男女別では、「正規社員と非正規社員との格差が大きい」、「処遇や昇進に男女差別がある」という、雇用形態や性別による格差に不満を持つ割合は、女性のほうが高い結果に。一方、「ワークライフバランスに対する意識が低い」という回答は、男性のほうが多かった。

≪労働時間・休日日数≫について“非満足”とした314人に、不満内容を聞いたところ、「まとまった休みが取れない」と回答した人が50.3%と最も多く、「残業が多い」42.4%、「有給休暇が消化できない」40.8%が4割台で続いた。

男女別では、「休日出勤が多い」や「深夜勤務がある」、「残業が多い」といった、時間外労働に対する不満は女性よりも男性のほうが高く、「育児や介護のための休暇が取れない」は女性のほうが高い結果となった。

≪仕事内容≫について“非満足”とした247人に聞いた不満内容は、「やりがいを感じない」の44.5%が最も多く、以下「忙しすぎる」、「自分のやりたい仕事とは異なる内容の業務」、「自分自身の成長が見込めない」、「業務内容が同じことの繰り返しになっている」が3割台で続いた。

男女別では、「やりがいを感じない」、「自分のアイデアやセンスを活かせない」では男性のほうが高く、「忙しすぎる」、「自分自身の成長が見込めない」では女性のほうが高い結果に。

現在の≪社会保障制度≫に対し、“機能していない”とした409人に、どのようなところが不十分だと思うかを聞いたところ、「社会保険制度(医療、介護、年金、雇用)」が66.7%で最多に。また、「年金」も6割台、「医療・介護サービス」と「就労・再雇用支援」も5割前後という結果となった。

全員を対象に、“ディーセント・ワーク”の実現で、どのようなことが期待できると思うか聞いたところ、「精神的に豊かな社会になる」と回答した人が56.6%で最多に。次いで「落ち着いた生活が送れる」が47.2%、「従業員の平均勤続年数が長くなる」が42.2%と続いた。

※この記事は2014年10月11日に公開されたものです

SHARE