エジソンは電球を発明していないって本当?「本当。エジソンではなくジョセフスワン」
【問題】:電球を発明したのは誰?
【答え】:エジソン、ではない。
多くのひとはエジソンと答えるだろうが、最初に作って特許を取得したのはイギリスのジョセフスワンで、エジソンは実用化したに過ぎない。
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「努力の人」と称されるエジソンは、じつは手段を選ばぬビジネスマン。はったりやネガティブキャンペーンを平気でおこなう、エグいひとだったのだ。
技術よりも広報戦略!
豆電球などの白熱球は、フィラメントと呼ばれるスプリング状の部品が発熱し光を放つ。現在はタングステンという金属が定番だが、発見されたのは後の話で、当時のフィラメントは短時間で燃え尽きてしまう欠点があった。
エジソンはこれに日本の竹を用いて、実用に耐える電球を作り出したのだ。
賞賛すべき功績だが、ジョセフスワンが特許を持っているため、エジソンは勝手に販売することができない。そこでエジソンは1883年にスワンと共同で電灯会社を設立した。
エジソンのスゴいところは、マスコミを上手に利用した点だ。1878年、スワンとの連携はもちろんのこと、実用的な電球のメドもたっていない時期に、マスコミを通じて「もうすぐ電気の時代がやって来る!」と大々的に報じたのだ。
とばっちりを受けたのはガス会社で、当時主流のガス灯がもうすぐなくなる的な憶測から、株価が大暴落…。実際に電球が完成したのは1年以上あとの話で、この報道はハッタリどころかウソとも言える内容だったが、エジソンは研究資金集めに、みごと成功したのだ。
弟子の発明でネガキャン展開!
電気を普及したのもエジソンではない。弟子とも呼べるニコラテスラの功績だ。乾電池やバッテリーのようにプラス/マイナス極が固定された直流と、周期的に入れ替わる交流がある。現在のコンセントにも使われている交流は、テスラの発明なのだ。
直流は送電ロスが大きく、家庭に供給するなら町じゅうに発電所が必要になってしまう。対して交流の送電ロスは少なく、くわえて電圧を変更しやすいメリットがある。現在の電力の主流になっていることからも、その優位性は明らかだ。
だがエジソンは、こともあろうかテスラの主張を拒否し続けた。当時、電力事業者を目指し、すでに発電機などを直流用に開発していたのも一因だが、従業員に意見されるのが耐えられなかったようだ。
やがて2人は犬猿の仲となり、テスラは退職してテスラ電灯社を設立。交流の特許を得て、商用電源の開発を続けた。その後、世論が「交流のほうが良さそうだ」に傾き始めると、エジソンは嫌がらせともいえる行動をとった。
なんと、エジソンの会社が発明した処刑用「電気いす」に、テスラの交流を使ったのだ。
これは「交流=アブナい」のイメージを植え付け、自分の開発している直流システムを優位に立たせるための、いま風にいえばネガティブキャンペーンである。「努力の人」のイメージに反し、相手を陥れることすらいとわないエジソンは、優秀(?)すぎるビジネスマンといえよう。
そんな努力のかいなく、1895年、ナイアガラの滝に交流水力発電機が設置され、エジソンの「電力王に、オレはなる!」夢はついえた。テスラはドヤ顔だったろうが、それでも2人の仲は生涯修復することはなかった。
まとめ
電球を発明したのは、イギリスのスワン
エジソンの功績は「電球の実用化」
現在の電力システムを生み出したのは、ニコラテスラ
エジソンの会社は、「電気いす」を発明した
間接的とはいえ電力の普及に貢献したエジソンは、テスラとともにノーベル賞候補となったが、2人の共同研究的な「同時受賞」だったため、互いに拒否し受賞を逃してしまった。
「努力の人」と呼ばれるほどの頑固さが災いしてノーベル賞をもらい損ねるとは、なんとも皮肉な人生だ。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年05月22日に公開されたものです