出産・産後 出産・産後
2021年08月31日 10:47 更新

【医師監修】初産は予定日より遅いor早い? 陣痛の時間は?

初めての妊娠・出産はすべてが初体験。だからこそ、いろいろなことを知っておきたいと調べたら……なんだか気になるうわさを見つけて不安になってしまうこともあるでしょう。そこで初産にまつわるうわさの真偽を解説します。

「初産だと出産は予定日より遅くなる!?」

初産だと予定により遅くなるの?と疑問に思っている臨月の女性のイラスト
(イラスト:epico428)

初産では出産が予定日より後になることが多いと耳にすることがあります。これは本当なのでしょうか。

ウソ

初産の疑問への回答イメージ
Lazy dummy

医学的には初めて妊娠・出産を迎える女性を初産婦、過去に妊娠・出産の経験がある女性を経産婦と呼び、区別をしています。それぞれ違いはありますが、お産の遅れは初産かどうかとは無関係。実際は出産予定日を誤って推定していたケースが多いのです。

妊娠週数の計算によると、出産予定日は妊娠40週0日で、その日を挟んだ妊娠37週0日~41週6日までの出産を正常なお産=正期産と呼びます。つまり、予定日から遅れたとしても約2週間までは正常なお産の範囲内なのです。

しかし妊娠42週0日以降も陣痛が起こらず、出産にいたらない場合は過期妊娠となり、これ以降の出産は過期産と呼ばれます。過期産になっても多くは通常のお産と同じように行います。けれども中には胎盤の機能が衰えたり、羊水が少なくなったり濁ったりするなどして、合併症を生じることがあり、注意が必要です。

日本では全出産のうち、2%未満[*1]が過期産にあたるといわれますが、その頻度は近年、減少傾向にあります。理由のひとつとして、妊娠初期に行われる経腟超音波検査の普及により、妊娠週数が正確に推定されるようになったことが挙げられます。これにより、本来は違うけれど便宜上、過期産に含まれていた「見かけ上の過期産」が少なくなり、全体の数が減少しているというわけです。

「初産だから出産はきっと予定日より遅くなるはず」という思い込みはせず、赤ちゃんと自身の体調に気を配りつつ準備をしながら、その日を大切に待ちましょう。

「初産だと陣痛が長い!?」

「初産では陣痛が長く続き、お産に時間がかかる」と聞くこともあります。これは本当なのでしょうか。

ホント

初産への疑問への回答イメージ
Lazy dummy

初産婦は経産婦に比べて、産道の組織が硬い傾向にあります。そのため、分娩時間も長くなることが多いのです。

出産にかかる時間(陣痛の始まりから分娩まで)は、個人差があるものの、初産婦と経産婦とで以下のように異なるといわれています[*2]。

 初産婦=11~15時間
 経産婦=6~8時間


初産婦の場合、陣痛が始まって子宮口が開き始めるまでが、とくに時間がかかる傾向にあるようです(経産婦が5~6時間程度なのに対し、初産婦は10~12時間)。これは産道のうち、子宮頸部と呼ばれる部分が、初産婦ではなかなか柔らかくなりにくいからだと考えられます。

子宮頸部は妊娠中、赤ちゃんがお腹の外に出てしまわないように守る役割があるので、産道の中でもっとも硬く、赤ちゃんが通るときに抵抗の大きい部分です。お産の進行とともに柔らかくなり、最終的にはくちびる程度の柔らかさになるのですが、そうなるまでの時間が初産婦と経産婦とで異なるというわけです。

上記の時間はあくまで平均的なものであり個人差はありますが、目安のひとつとして参考にしてください。

まとめ

初産の不安解消にはパートナーの協力も必要
Lazy dummy

初産は妊娠・出産のすべてが初体験。順調に出産を迎えられるのか、陣痛がきたらわかるのか、ちゃんと産めるのかといった心配や不安だらけだと思います。

けれども妊娠や出産の過程について学んだり、マイナートラブルへの対処方法を知ったりしておくと、心配や不安が少しは緩和されるのではないでしょうか。自分なりに調べてみるのはもちろん、わからないことは妊婦健診で質問や相談をしてみましょう。疑問や悩みはその都度解決し、赤ちゃんと一心同体の貴重な時間を、ゆったりした気持ちで過ごせると良いですね。

(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会: 産婦人科研修の必修知識2016-2018, p176, 2016.
[*2]日本産科婦人科学会: 産婦人科研修の必修知識2016-2018, p248, 2016.
[*3]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.86

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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