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2023年01月10日 16:51 更新

【医師監修】妊婦が自転車に乗るのは何が危険? 妊娠初期〜後期で気をつける時期とは

妊娠中は、母体や胎児に影響が出るという理由で、妊娠していないときと同じようにはいかないこともあります。自転車の運転はどうなのでしょうか? 通勤や買い物、上の子の送迎などでどうしても自転車に乗らざるを得ない妊婦さんも多いですよね。ここでは、妊娠中に自転車に乗る際のリスクや注意点などを紹介します。

妊婦は自転車に乗ってはいけない?

妊婦の自転車は要注意
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妊娠中も出社や買い物、上の子の送り迎えなどで自転車が不可欠な生活を送っている人も多いことでしょう。一方、妊娠中は何かと禁止事項や注意点が多いのも事実。自転車の場合はどうなのでしょうか。

転倒に気をつければ妊婦も自転車に乗って問題ない

結論からお伝えすると、転倒しないように乗れば、妊婦が日常生活で自転車に乗ることは、特に問題はないでしょう

例えば上の子を保育園に預けるのに、1kmの道を歩いて行くのと、自転車に乗っていくのでは自転車に乗る方が合理的で無理のない行動ですよね。

自転車に乗ること=有酸素運動

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あまり意識していないかもしれませんが、自転車に乗るのは、「軽い運動」です。妊娠中は、妊娠していないときと比べて体重の増加、背骨の湾曲が強くなる、重心が前に移動する、関節がゆるむ、といった変化が起こります。また、循環する血液や心拍数、肺の換気量や基礎代謝率などが増えます。このような体の変化は、本来運動には不向きです。

そのため、妊娠中には、バランスをとるのが難しい運動、人と接触する運動、人と競う運動、酸素濃度が落ちる運動は避けるべきとされています。具体的には、柔道、空手、レスリング、スキューバダイビングなどです。

その一方で、妊娠中に運動すると、体重が増えすぎるのを抑え、体力を維持し、お産に必要な持久力を維持することができます。なにより、精神的なストレスが発散できるというメリットもあります。こうした効果を期待して、ウォーキングや水泳、エアロビクスなど、全身を使ったものや有酸素運動は妊娠中に行うのが望ましいとされています。

それでは、自転車はどうなのでしょうか。単純に自転車をこぐのは有酸素運動なので望ましい運動です。つまり、スポーツジムなどにある、固定されている自転車は妊娠中にも向いている運動と言えます。

転倒の危険がある状況で自転車に乗るはNG

ただし、通常の自転車は、乗りこなすのにバランス感覚が必要です。転倒の危険もあります。アメリカ産婦人科学会では、「転倒の危険がある」として、未舗装のデコボコ道を走るオフロードサイクリングを妊娠中は避けるべき運動に含めています[*1]。

■妊娠中の運動について
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■妊娠中〜産後の自動車運転について
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こんなときはダメ! 妊婦が自転車をやめるべき2つのケース

転倒に気をつければ、妊娠中に自転車に乗ることは特に問題は無いことは説明しました。ここでは、自転車に限りませんが妊娠中、運動を避けたほうがよい条件について紹介します。

1. バランスがとりにくくなってきたらやめる

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妊娠中は重心が前方・上方へ移動し、体重も増加するため、バランスを崩しやすくなります。

妊娠後期になればなるほどおなかも大きくなってきます。自転車に限ったものではありませんが、妊婦さんが運動を止める時期については、以前は妊娠35週ごろ(36週以降では子宮収縮を誘発することがあるため)が推奨されていたこともあるようですが、現在では40週(分娩直前まで)や「経過が順調であればとくに制限しない」という考え方もあるようです[*2,3,4]。

「妊娠何週になったから自転車に乗るのをやめなければならない」というよりも、「乗っているうちにお腹が張ってくる」「バランスを取りにくくなってきた」と感じたら乗るのをやめたほうがよいでしょう。

また、お腹は大きくないものの、妊娠初期のつわり中で足元がフラフラしている時も自転車移動はやめておきましょう。

2. 医師から禁止されたらやめる

苦しくない程度に楽しく運動するのは問題ありませんが、母体に心疾患や感染症が見られるなど、下記のような病気や症状のある場合は医師の判断で運動は禁止となることがあります。

医師から運動を禁止される条件は、下記のとおりです[*5]。
・重い心臓や呼吸器の病気がある
・切迫流産や切迫早産の兆候が出ているとき
・子宮頸管無力症
・前期破水している
・性器出血がある
・前置胎盤や低置胎盤である
・妊娠高血圧症候群である

妊婦が自転車に乗るときに気をつける3つのルール

条件によっては乗らないほうがよいこともあります。乗るときは以下のことに注意しましょう。

雨や風など、天候の悪いときは自転車を諦める

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路面が濡れていると転びやすくなるので、大雨が降っているときや雨が上がった直後なども自転車は避けたほうがよいでしょう。風の強い日も風にあおられて転倒しやすくなるので、やはり自転車に乗るのは避けたほうが無難です。

坂道や凸凹道など、転びやすい道は通らない

とにかく、自転車は転ばないように慎重に乗ることが一番大切です。もし、転倒したときにおなかを打撲すると、胎盤の早期剥離につながることがあります。また、バランスを保とうとして足腰に無理な負担をかけることもケガにつながります。坂道やデコボコ道などの平坦でない場所での自転車は、転倒する危険性がさらに高くなるため避けましょう。

1回1時間までを目安にする

妊婦さんが運動する場合、1回の運動時間は60分以内、頻度は週2~3回までにとどめることが推奨されています。自転車に乗る場合も、これをひとつの目安にすると良いでしょう[*4]。

まとめ

「最寄り駅まで遠い」「買い物の荷物を手で持って歩くのがきつい」「上の子どもの送迎で必要」などなど、さまざまな理由で自転車は生活に欠かせない乗り物です。ですから、「妊娠中の自転車は禁止」といわれてしまうと困ってしまう人は多いのではないでしょうか。
とはいえ、妊娠しておなかが大きくなってきた時に自転車に乗るとバランスを崩しやすく、転ぶ可能性が高まります。赤ちゃんへの影響も考え、ママのおなかが大きくなって、今までのように乗れないと感じるようになったら無理は禁物です。不便なのは出産までの一時期と割り切って、公共交通機関やタクシー、徒歩など、できるだけ転倒の不安が少ない移動手段を利用するようにしましょう。

(文:今井明子/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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