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「極める」「究める」の違いとは? 意味と使い分けのポイントを解説

にほんご倶楽部

「極める」と「究める」はどちらも似た意味を持っていますが、詳細なニュアンスが異なります。特に、ビジネスシーンなど公的な資料で使う際には、それぞれの使い分けに注意が必要です。本記事では、「極める」と「究める」の違いと例文、類語を紹介します。

「極める」と「究める」は、どちらも何かを突き詰めることを意味します。

読み方も同じですが、それぞれの用途は異なるため、正しい意味を知って使い分けることが大切です。

今回は、「極める」と「究める」の違いや使い方のポイントを解説。例文・類語も併せて紹介するため、この2つの言葉についてしっかりと理解していきましょう。

「極める」と「究める」の違い

まずは、「極める」と「究める」のそれぞれの意味と違いを説明します。

「極める」は「これ以上ない極限まで達すること」

「極める」が持つ意味は以下の通りです。

きわめる【極める】

1(極める)これより先はないというところまで行き着く。

2(極める・窮める)極点に達した状態になる。この上もない程度までそうなる。

3(極める)残るところなく尽くす。

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「極める」には、極限に達していてこれ以上ない状態になっているという意味があります。

例えば、同じ物事を長く続けた職人やプロスポーツ選手の技術力など、物や人の状態が最高点に達している様子を表す時に用いる表現です。

「究める」は「物事をより深く研究して解き明かすこと」

一方で「究める」は、1つの物事をより深く研究することを意味しています。

きわめる【究める】

4(究める・窮める)深く研究して、すっかり明らかにする。

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

学問や芸の道などに関してさらに奥深いところまで入り込み、その真髄や奥義を突き止めようとすることに重点を置くのが「究める」の特徴です。

最高レベルまで達する「極める」よりも、さらに狭く深い範囲まで調べて、理解しようとする行動そのものを意味するでしょう。

使い分けのポイントは「状態を表すか行動を表すか」

「極める」と「究める」の使い分けに悩む時は、状態を表したいか、行動を表したいかに注目してみましょう。

例えば、ある対象が最高の状態に達していることを述べたい時は「極める」を用います。「技術を極める」「困難を極める」など、これ以上にない様子を表す時に適切な表現です。

一方、「究める」は「学問を究める」など、ある対象を突き止める行動に重点を置きたい時に用いると良いでしょう。

「極める」はネガティブな内容にも使える

「極める」は、「混乱を極める」「多忙を極める」といったネガティブな内容にも使うことができます

そのため、「苦しい」「大変な状況だ」といった極限状態を意味する出来事や状況に対しては「極める」を使うと覚えておきましょう。

「極める」の使い方【例文付き】

「極める」は、ある物事や人が極限に達していて最高の状態になっている時に用います。

「究める」と同じ発音と似た意味を持つからこそ、ビジネスシーンや公的な文書で使う時には変換ミスをしないように十分注意しましょう。

例文

・「このゲームを極める

・「料理を極めてお店を出したい」

「究める」の使い方【例文付き】

「究める」は、物事の真理にたどり着くまで深く研究する行動そのものに使います。

また、「極める」よりもさらに目に見えない部分にまで入り込み、明確な答えがないものをはっきりさせようとする様子を表す時にも使用可能です。

例文

・「真理を究めることを人生の目標にしている」

・「事件の真相を究める

「極める」の類語

ここからは、「極める」の類語を紹介します。前後の文章や伝えたい内容に合わせて柔軟に表現を変えていきましょう。

(1)「究極」

「究極」は、「極める」と「究める」の両方の意味を組み合わせた単語です。つまり、最高レベルまで到達していて、かつさらに深く探求した様子を表した言葉といえるでしょう。

「究極のおいしさ」や「究極の芸術品」といった、これ以上ないものを意味する時に使います。

(2)「極限」

「極限」は、物事の限度を意味する言葉です。これ以上ないぎりぎりの位置まで達している様子を表現できるという点で「極める」に近しい意味合いといえます。

「極限に達する」といった形で用いると良いでしょう。

「究める」の類語

「究める」は、よりシンプルな言い回しに変えることができます。

実際に話し言葉として使う時には「極める」と混同されがちなため、類語で使い分けるとより伝えたい内容を詳細に表現することができるでしょう。

(1)「研究する」

「研究する」は、特定の物事を追求し、事実や真相を調べる様子を意味します。

物事の奥深くまで探るのであれば「究める」を用いるのが最適ですが、程度にかかわらず広く調べることを言い表すのであれば「研究する」で十分でしょう。

(2)「修める」

「修める」は、特定の学問などを学んで身に付けることを意味する単語です。

「学業を究める」よりも「学業を修める」と述べた方が、話し言葉としても伝わりやすい表現になるでしょう。

(3)「突き詰める」

「突き詰める」は、最高レベルまで到達するために調べている様子を意味し、「究める」の類語といえます。

例えば、「自分が納得するまで突き詰めた」「突き詰めた結果、最高の作品ができた」といった形で用いるのがおすすめです。

「極める」は状態、「究める」は行動を表示する言葉

「極める」と「究める」は、どちらも突き詰めるといった点では通ずる部分があるため、使い分けに悩むこともあるでしょう。

そんな時は、最高レベルに達している状態を伝えたいか、物事の真髄に到達するまでの行動を表示したいかで判断するのがおすすめです。

それぞれの言葉の意味を理解した上で、状況に応じて正しく使い分けていきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2024年04月10日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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