結局何を買えば良い? つみたてNISA銘柄の選び方
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、丸山晴美さん。
今回のお悩み「結局何を買えば良い? つみたてNISA銘柄の選び方」
つみたてNISAを始めようと口座開設をしたのですが、銘柄を選ぶところでつまずいています。何を選べば良いか、基礎から教えてください!(30代前半/金融・事務職)
積立投資をやるべき理由は?
今はインフレが進んでいます。インフレとは、簡単にいうと物価が継続的に上昇していくこと。つまり、お金の価値が下がっている状態なんですね。
日本はどうしても賃金が上がりにくくまた、社会保険料や増税で可処分所得が減少傾向ということもあり、所得面では物価上昇に応じて所得が増えていないというのが現状です。ということは今、現預金の価値が目減りしているという状態。今後もこのインフレが続くと考えられるので、投資運用は併用していくのが大事です。
一般的な投資運用では、利益に対して約20%の税金がかかります。つまり、10万円の利益が出ると、そのうち2万円ほどが税金として引かれて、実際の手取りは8万円くらいになるということ。
対して、非課税投資枠の口座・つみたてNISA・一般NISAに存在する「非課税投資枠」は利益に対する税金がかかりません。そのため、10万円の利益が出たら、まるっと手元に残るというのが特徴です。
また、投資枠もつみたてNISAと一般NISAとでは異なります。口座はどちらか一つしか選べないので、自分に合った方を選びましょう。
つみたてNISAの銘柄の種類
つみたてNISAの銘柄は、金融庁が定めた条件を満たした商品が対象となっているため、基本的には安全性が確保されています。
つまり、値下がるリスクが低いということ。そのため、長期的に投資をしたい人に適しています。また、手数料が低いというメリットもあります。
投資には興味はあるけれど、なかなか一歩踏み出せないという未経験者・初心者の方におすすめの制度だといえるでしょう。年間40万円の投資枠なので、1カ月あたりだいたい33,000円まで積立ができます。
一般NISAは年間120万円の投資枠がありますが、口座を作っても実際にはやらない人が多いんです。なぜかというと、自分で銘柄を選んで売買しないとならないから。
一方で、つみたてNISAは一度積立を決定すると、毎月一定の金額をほぼ強制的に積み立てられます。私の体感では、休眠口座にならずちゃんと利用している人が多いです。
初心者はどのように選べばいい?
投資には「卵を一つのかごに盛るな」という格言があります。ひとつのかごに卵を盛ってしまうと、そのかごが落ちてしまったときに全部の卵がダメになります。
しかし、複数のかごに卵を分けて盛ることで、ひとつがダメになっても、他がまだ残っている状態になります。つまり、投資先はリスクヘッジのために分散した方がいいことを指しています。
例えば、地域の分散。国内だけでなく、海外に分散する方法もあります。
他には、金融商品の分散もあります。株式メインで運用している投資信託もあれば、債権メインで運用している投資信託もあります。バランスを考えて配分することで、リスク分散することができます。ここで言うリスクとは、元本が減るリスクのことです。一般的に元本が減るリスクが低いものよりも、減るリスクが高いものほど値上がり益が期待できます。
分散投資の基準は、がんがん投資したいのか、安全に運用したいのかという自分の狙いにあります。つみたてNISAの主な銘柄の種類は投資信託の目論見書のようなものがジャンルごとに一つ一つ書かれているので、そこから選べます。基本的には運用方針を確認すると詳細が分かりますよ。
「リスク不平等」というのがあり、元本が減るリスクを許容できるかによって選ぶ商品が変わってきます。例えば、株だと減るリスクは高いが根上がる可能性も高くなります。アクティブに運用したい人は株式メインで運用している投資信託で、地域を分散させたポートフォリオを組んでみてもいいでしょう。
もう少しゆるく運用したい人は債権メインで、ポートフォリオを組むのがおすすめです。とはいえ、債券をメインにして運用される投資信託にもリスクがありますので、目論見書を参考にして選ぶといいでしょう。また、米国株メインの投資信託を買いつつ、債権メインの投資信託にしてバランスを取るハイブリット型もおすすめです。
自分がどういう風に運用したいのか次第で、どのような投資信託にするかも決まってきます。日本が一番良い、アメリカが一番有能ということもありません。動きを取りたくなければバランスを見て選ぶようにしましょう。
何度も言いますが、大事なのは「長期・積立・分散」。特に初心者さんほど、ひとつの銘柄に集中させるのではなく、「長期・積立・分散」をつみたてNISAで実現してくださいね。
令和のマネーハック79
投資で大事なのは「長期・積立・分散」。自分に合った基準で分散させ、安全性の高い運用を心がけましょう。
(監修:丸山晴美、取材・文:高橋千里、イラスト:itabamoe)
※この記事は2023年07月24日に公開されたものです