今さら聞けない! つみたてNISA・iDeCoの基本
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、FP(ファイナンシャルプランナー)の丸山晴美さん。
今回のお話「今さら聞けない! つみたてNISA・iDeCo」
思ったより貯蓄ができない、将来が不安……でも、どうしたらいいのか分からない。周りは意外と「つみたてNISA」や「iDeCo」をやっているなんで聞くけれど、今さら「それ何?」とは聞きにくい……。そんな状況の人もいるのではないでしょうか。今さら聞きにくい「つみたてNISA」「iDeCo」について、ここで一度どんな制度か勉強してみましょう。
そもそも投資・資産形成って本当に必要なの?
近年、早期退職や40歳定年制がニュースになるなど、「会社員=安定」じゃなくなってきています。しかし、40歳になってから焦って貯金を始めようとしても、住宅ローンや子どもの教育資金に追われ、それどころじゃなくなっているのが現実。
だからこそ、結婚前でお金を自由に使える独身時代に、貯蓄や投資をしておくことはとても大切です。
もちろん今しかできない旅行や飲み会、推し活など、体験にお金を使うのもいいと思います。その一方で、「今が貯め時」だと認識して行動することで、老後の生活が大きく変わりますよ。老後になって「あのとき貯めておいて良かった!」と思えるか、「もっと貯めておけば良かった……」と後悔するかは、今のあなたの行動次第。
今回のテーマである「つみたてNISA」と「iDeco」は、どちらも働く独身女性の資産形成を後押ししてくれる制度です。
「つみたてNISA」とは?
一般的に、投資運用をして利益が出ると、約20%の税金が引かれます。10万円の利益が出たら2万円が引かれる計算ですね。
しかし、「NISA口座」は非課税投資口座。この口座で運用して出た利益に対しての税金はかかりません。10万円の利益が出たら、10万円まるっともらえます。
成年が利用できるNISAの制度は「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類。「一般NISA」は年間120万円までの非課税投資枠があり、「つみたてNISA」は年間40万円までの非課税投資枠があり、対象の投資信託を購入して、毎月積み立てることができます。
20代の独身女性・投資初心者におすすめなのは「つみたてNISA」。安定性が高い投資信託から選べる上に、月1万円の少額から積み立てられます。
また、NISA口座内の資金をいつでも引き出せるのもメリット。急に結婚資金や住宅ローンの頭金が必要になった……などのケースにも備えられます。
「iDeCo」とは?
今の20代が65歳になったときにもらえる年金額は、決して多いとは言えません。また、受け取り可能年齢が引き上げられ、70歳を超えるのではと言われています。年金に期待できない今の時代、老後のための資産形成が必要になってきます。
「iDeCo」は私的年金制度の一つです。加入は任意で、毎月掛け金を積み立て、掛金の運用をすることで、公的年金にプラスして給付を受けられます。
つみたてNISAとの最大の違いは、掛け金が全額所得控除の対象であること! お金は貯めつつ、住民税や所得税が安くなります。ただし、職場が加入している年金によって掛け金の上限が変わるので、確認しておきましょう。
もうひとつの特徴が、年金タイプなので60歳になるまで引き出せず、1回入ったら途中でやめられないこと。つまり、60歳までの間に仕事を辞めることがあったとしても、掛金を下限(5000円まで)減額したり、「加入資格者喪失表」を提出することで一時的に掛金拠出を止めることもできますが、途中で解約することはできないため、すぐにまとまったお金が必要となったときに掛金を引き出すことはできません。
一見デメリットのように思えますが、このように強制的に積み立てることはメリットにもなります。意思が弱い人、自分を追い込んで確実に貯めたい人には向いている制度です。
「iDeCo」は掛け金5,000円から始められますが、一方で手数料もかかるので要注意。初回のみ国民年金基金連合会に払う約3,000円の手数料、掛け金納付のため毎月105円の手数料、金融機関に毎月170〜500円の手数料を支払わなくてはいけません。
このように、5,000円で始めると、掛金に対する手数料負担が大きくなることも。1.5〜2万円から始めるのがいいでしょう。
「つみたてNISA」と「iDeCo」どっちがおすすめ?
私個人の意見としては、どちらもおすすめです。
しかし、20代の独身女性であれば、毎月積み立てられるお金は限られていますよね。特に一人暮らしだと、家賃や光熱費の支払いもあるので、毎月2万円以上の負担は厳しいかもしれません。
なので、まずは「つみたてNISA」で月1万円から投資運用を体験してみるといいでしょう。その後、収入が上がり、投資の感覚も掴めてきて、老後もしっかり貯めていきたいと思えたら、「iDeCo」に移行してみては?
一番良くないのは、「つみたてNISA」と「iDeCo」どちらもやらないという選択。極端な言い方ですが、これだけ物価が上昇しているのに、預貯金だけで運用をしていると、インフレになるほど資産が目減りしています。税制面でも有利になる「つみたてNISA」か「iDeCo」で長期に渡って、投資商品を分散させて積み立てた方が将来的にもお得といえるでしょう。
令和のマネーハック51
独身時代の今がお金の貯め時! まずは手軽な「つみたてNISA」から運用を始めて、所得が増えたら「iDeCo」に移行していくルートがおすすめです。
(監修:丸山晴美、取材・文:高橋千里、イラスト:itabamoe)
※この記事は2022年06月20日に公開されたものです