「進めて参ります」は、物事を進めることを表す言葉です。ビジネスシーンではよく使われる表現なので、ぜひ使いこなせるようにしておきましょう。
この記事では、「進めて参ります」の使い方や例文、言い換え表現、正しい敬語かどうかなどについて詳しく解説していきます。
■「進めて参ります」の意味
「進めて参ります」は、物事を進めることを表す言葉です。
まず、「進めて」の元になっている「進める」には、以下の意味があります。
すす・める【進める】
1.前の方へ動かして位置を移す。前進させる。「馬を―・める」「歩 (ほ) を―・める」「ひざを―・める」
2.予定の手順に従って、物事を進行させる。はかどらせる。「工事を―・める」「話を―・める」
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
このうち、ビジネスシーンにおいては2つ目の「予定の手順に従って、物事を進行させる。はかどらせる」の意味で使われます。
続いて、「参ります」の元になっている「参る」の意味を確認していきましょう。
まい・る〔まゐる〕【参る】
1.「行く」の謙譲語で、行く先方を敬う。
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
「参る」は「行く」の謙譲語として使われています。
謙譲語とは、自分を下げて相手を高める表現で、上司や取引先に対して使うことで失礼なく主張をすることができます。
以上のことから、「進めて参ります」という言葉は、^物事を進めることを、上司や取引先など自分より立場が上の人に伝えるための表現^だといえます。
◇「進めて参ります」は敬語になる?
^「進めて参ります」は、「進めていきます」の敬語表現です。^
ただし、一括りに敬語といっても、相手の動作を表す「尊敬語」、自分の動作をへりくだって表す「謙譲語」、言葉を丁寧にする「丁寧語」の3種類があり、「進めて参ります」は謙譲語に当たります。
そのため、^相手が物事を進めることに対して「進めて参ります」を使うことはできません。^
◇「進めて参ります」と「進めております」の違い
「進めて参ります」と似た言葉に「進めております」がありますが、これらは少しニュアンスが違うので注意が必要です。
^「進めて参ります」は主に、これから物事を進めることを表します。^そのため、言った時点ではまだ着手していない状態だといえます。例えば、取引先と予算や納期などの話し合いが済んだ段階で「進めて参ります」と答えると良いでしょう。
反対に、^「進めております」は、既に物事が進んでいることを表します。^例えば、上司から「例のプロジェクトの進捗具合はどうか」と聞かれた時は「進めております」と答えると良いでしょう。
■「進めて参ります」の使い方と例文
「進めて参ります」は、調査や計画など、さまざまな物事を指して使われます。
「~のために進めて参ります」「~ように進めて参ります」などと、^目的や理由を添えて言うと、相手に意図が伝わりやすくなるのでおすすめ^です。
◇例文
・「原因究明のため、さっそく調査を進めて参ります」
・「それでは、こちらの予算で計画を進めて参ります」
・「ご希望の納期に間に合うよう、迅速にプロジェクトを進めて参ります」
■「進めて参ります」を使う時の注意点
「進めて参ります」は、様々な物事の進行を表せるため、ビジネスでは幅広く使える便利な言葉です。しかし、使う場面を間違えると、相手に失礼な印象を与えてしまったり、信用を失ってしまったりする可能性があります。
ここでは、「進めて参ります」を使う時の注意点を確認していきましょう。
◇(1)相手の動作には使えない
前述しましたが、「進めて参ります」に含まれる「参る」は、自分や身内の動作に使う謙譲語です。
そのため、上司や取引先など、相手が物事を進める時に「進めて参ります」と言うと失礼にあたるので注意してください。^上司や取引先に物事を進めてもらいたい場合は「進めていただけると幸いです」と表現する^と良いでしょう。
◇(2)自分より目下の人には使わない
「進めて参ります」は謙譲語であるため、自分より立場が下の人に使うのは正しくありません。
^自分より目下の相手に言う場合は、「進めていきます」などと丁寧語に置き換えて表現すると良い^でしょう。
■「進めて参ります」の言い換え表現
「進めて参ります」という言葉は、いくつかの言葉に言い換えられます。状況やシーンに応じて使い分けましょう。
◇(1)「していきます」
「進めて参ります」と言うのが大げさに感じられる時は、「していきます」に言い換えてみましょう。
「進めて参ります」は目上の人相手に使う謙譲語ですが、「していきます」は誰を相手にしても使える丁寧語です。
ただし、^「していきます」単体では意図が伝わらないので、「調査していきます」などと具体的な動詞や目的語を補って表現する^ことが大切です。
◇(2)「所存でございます」
「進めて参ります」は「所存でございます」という言葉に言い換えができます。^「所存」は「しょぞん」と読み、心に考えを思い描いていることを表します。^
そのため、「所存でございます」と言うことで、^ただ物事を進めるだけでなく、それに対して前向きな気持ちを持っていることを表す^ことができます。
ここぞというタイミングで「所存でございます」を使うと、強い覚悟をもって臨む姿勢を相手にアピールすることができるでしょう。
ただし、「所存でございます」は「進めて参ります」と同様に、目上の相手に使う表現です。部下や後輩など目下の相手に使うのは不自然なので注意しましょう。
■「進めて参ります」は物事を進める際に使える言葉
「進めて参ります」は、物事を進めることを表す謙譲語です。ビジネスの場でよく使われ、目上の人に対しての敬意を表すことができます。
会話から文章まで幅広く使える表現なので、ぜひビジネスシーンで活用していきましょう。
(にほんご倶楽部)
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