相次ぐ退職。辞めていく人を引き止めたいと思った時に取るべき行動
仕事で大成功を成し遂げたいとか、そんな大それた野望はないけど、なんとなくうまくやりたい。いつもの働き方を小さくアップデートする「お仕事ハック」を紹介します。
今回のお仕事ハックは「周りの人がどんどん辞めてしまう」とのお悩みについて、ライターのぱぴこさんがアドバイス。
周りの人がどんどん辞めてしまう
私は今の職場を辞めたいとは思わないのですが、周りの人がどんどん辞めていってしまいます。個人的には、皆に辞めてほしくないという気持ちがあり、引き止める方法があったら教えてほしいです。
(30代/営業職)
周囲の人がどんどん辞める職場、客観的な感想として「何か問題があるのでは?」としか思えません。もちろん、「たまたま」職場の環境ではないそれぞれの家庭の事情や選択が重なって退職ラッシュが起きた場合もありますが。
退職者がどのような理由で退職しているかが書いていないので、なんとも言えない部分は残りますが、心配がよぎる文言です。
相談者さんは「皆に辞めてほしくないので引き止めたい、引き止める方法が知りたい」とのことですが、退職者が相次ぐ職場で辞めないように引き止め工作をしたい、という構図だと、相談自体に心配が芽生えます。
退職も転職も選択なので「引き止め」は無意味
前提として、どんな職場でも、退職や転職といったライフプランに関わる決断を「止める」行為はほぼ無意味です。
私は外資IT業界という大変に転職や中途入社が多い業界で育ったこともあり、退職報告をしても上司はドライというか、「次また会いましょう」的な雰囲気すらありましたが、「頑張ってね」と送り出してくれる方が心象は良いです。決めた結果を切り出していることもあり、止められたり、次の会社をからかわれたりしたら、正直面倒ですよね。
さまざまな状況があるので、先走って辞めようとしてしまう人を引き止めたり、休職などの別の手段を提示したりする場合はあります。しかし、基本的に各自が「決めた」結果の退職連絡なので、決断をひっくり返そうとすることは意味がないと思います。
ちなみに、「辞めたら寂しくなるよ~辞めないでよ~」というコミュニケーションはあってもいいと思いますよ!
では、「人が辞める」事に対してできることはなにもなく、見送るしかないのか? というとそんなことはありません。未来に向かってできることは改善です。
なぜ辞めるのかを正しく把握する
相談者さんは「今の職場を辞めたいと思わない」かつ「引き止めたいと思う」くらいには職場に満足しています。だが、周囲は辞めてしまう。ここに生まれるギャップはなんでしょうか? このギャップを正しく認識しないと、「引き止める」という行動に出たとしても成功率は著しく下がります。
一般的に辞める、辞めたい理由の上位に入るものは大きく3つのカテゴリがあると思っています。
1.職場の人間関係や環境、社風への不満
2.給与や福利厚生など待遇への不満
3.仕事のやりがいや面白さなど、仕事への不満
退職が続く理由がこれらのどれかなのか、または複合的な問題なのかは把握する必要があります。2や3は変えるのが難しいですが、1の職場の人間関係などはケアや課題意識を持った取組みで改善できる可能性があります。
また、「周囲の人がどんどん辞める」状況がここ数年、数カ月の突発的なものなのか、それとも社風的に入れ替わりが激しいかなど、客観的に考える必要もあります。
基本的には人事などの仕事ではありますが、「継続的にチームで働く」ことを重視するのであれば、マネージメントや人事などにどうしたら改善されるかを提案していくことも重要です。
引き止めるより送り出す。ただし、不満点は改善を
自分が満足している職場からどんどん人が辞めるという状況はなかなかつらい状況だと思います。仲の良い同僚たちが辞めるのも寂しいし、留まってほしいと思うのは自然なことです。
しかし、ここまで述べたように「決めた」結果を覆すのは非常に難しいし、引き止めること自体にはあまり意味がありません。今の職場に対する「辞める理由」の把握と、それを改善するための行動を取ることが「辞める人をそもそもうまない」につながる最善の道だと思います。
寂しい気持ちはあると思いますが、ぜひ前向きに頑張ってください。
Point.
・退職を決めた人は引き止めず、送り出す
・退職者が相次ぐ理由を考えて、何か問題があるようであれば改善に努める
(文:ぱぴこ、イラスト:黒猫まな子)
※この記事は2022年01月04日に公開されたものです