「断る」の正しい敬語は? ビジネスで使える丁寧な表現一覧
ビジネスやプライベートで何かを断る時、どんな表現で伝えたらいいのか悩んでしまいますよね。今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、「断る」の敬語表現を例文と共に解説してもらいました。
「断る」時の言葉やメールの返信文に頭を悩ませていませんか?
ビジネスでもプライベートでも、単純に「できません」と言えれば良いのですが、相手の気持ちや断った後の展開などを考えると、なんと言うべきか迷ってしまいますよね。
かといって、返事をせずそのまま引き伸ばすことは、かえって信頼を失うというもの。
今回は「断る」の敬語表現の他にも、コミュニケーションに響かない、無理のない断り方を考えてみましょう。
「断る」の意味は?
「断る」には、次のような意味があります。
ことわる【断る】
(1)他からの要求・依頼・提案などに応じられないことを告げる。
拒否する。拒絶する。辞退する。拒む。
(2)後で起こることが予想される不具合を解消するために、
そのことを前もって知らせておく。
(3)念のためにいう。
(4)雇用や取引の契約を打ち切る。解消する。
(『明鏡国語辞典 第三版』大修館書店)
「断る」には「相手からの要求や依頼などに応じられずに断る」「了承を得るためや、事を荒立てないために事前に伝える」「念のために言う」「打ち切る・解消する」という意味があります。
送り仮名は「断る」「断わる」のどちらを使う?
「断」は常用漢字で、読みについては「ダン・た(つ)・ことわ(る)」が常用漢字表にある読みです。
公文書やビジネスで使う場合の送り仮名は「断る」の方が無難です。
もちろん、一般には「断わる」も許容されており、使っていけないわけではありません。
「断る」の敬語表現は? 目上の人に使える表現(例文つき)
相手が取引先や目上の相手であれば、なるべく角を立てないように断りたいものです。
いくら敬語で丁寧な言い回しにしても、「断る」という言葉は使いづらいところです。そもそも、目上の相手に対しては断ること自体が難しいという意識があるためです。
そこで、次のような言い換え表現を紹介します。
敬語を用いた「婉曲的な言い換え表現」一覧
「断る」という言葉を使わずに断るには、婉曲的な敬語表現を使います。
特に目上の相手であれば、プライドを傷つけずに、「応じられない」という意思を伝えることができるでしょう。
例文
以下の太字部分が、婉曲的な表現です。場面に合わせて、ふさわしいニュアンスのものを選ぶようにしましょう。
・せっかくですが、ご辞退申し上げます。
・あいにくですが、ご遠慮いたします。
・残念ながら、ご希望に添いかねます。
・今回は、見合わせたいと存じます。
・私では、承ることが難しいです。
・弊店では、承諾いたしかねます。
・その件は、お引き受け致しかねます。
・やはり、いまだ難しい状況です。
・ありがたく、お気持ちだけ頂戴します。
・いずれにしても、私の一存では決めかねます。
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