「最近ストレスがたまっているかも」という自覚があっても、ストレスを感じる理由や対処方法がよくわからないと思われている方も多いのではないでしょうか。
今回は心理的な側面を中心に、ストレスの種類や対処法をお伝えします。
■ストレスとは?
ストレスを感じているときとは、何かしらの刺激に対し、体や心が「どうにか対処しなければ」という状態になっています。この状態が続けば、いわゆる「ストレスが溜まる」状態になるといえます。
なお、ストレスは大きく2つに分けられ、「頑張ることで感じるストレス」と「我慢することで感じるストレス」が存在します。
「頑張ることで感じるストレス」は、肉体的、心理的に興奮状態になることで感じるストレスです。例えば、仕事上のノルマなど目標達成のための努力しているときや、資格のための勉強などを行うときに感じるでしょう。
一方、「我慢することで感じるストレス」は、何かしら我慢することでストレスをため込み、気分的な落ち込みや不安を強めてしまうストレスです。例えば、気を使う人付き合い、相手に合わせてばかりの恋愛、満員電車での通勤などで感じます。
あなたはどれ? ストレスの種類をチェック
ストレスの原因を「ストレッサー」と呼びます。
ストレッサーにはさまざまなものがあり、生物学的・物理的なもの(騒音・気温など)、身体的なもの(発熱・疲労感など)、心理的なもの(悲しみ・怒りなど)など多数挙げられます。
今回そんなストレッサーのなかでも、「心理的なもの」を中心にいくつかご紹介します。
◇1.不安や怖れによるもの
責任重大なプレゼンなどで緊張や焦りが生まれ、「失敗」を恐れたときに感じるストレスです。
◇2.失うことによるもの
失恋、離婚、失職など、「失うこと」に直面した場合に感じる悲しみ、それに伴うストレスです。
◇3.不自由さによるもの
いわゆる「義務感」を伴う行動や、「やらされている感」を抱いているなど、「我慢」によって感じるストレスです。
◇4.承認欲求からくるもの
人間関係がうまくいかなかったり、「人から認められたいという欲求」が満たされなかったりすることで感じるストレスです。
◇5.自分の理想と現実との乖離によるもの
「こうありたい」という理想の自分と、現実の自分のギャップが埋まらず、自分を責めることで生じるストレスです。
上記5つのストレッサーは、複合して影響し合う場合が多いです。
例えば失恋してつらい思いを抱えている場合、「彼を失う悲しみ」(以上でいう2)と、もっと優しくしておけばよかったという「理想の自分ではなかった」(以上でいう5)の2つから、自責の念にかられストレスを感じることもあるでしょう。
■効果的なストレス発散法
では、ストレスを解消するにはどうすればいいのか。 5つのストレッサーごとに対処法を紹介します。
◇1.不安や怖れによるストレスなら
不安や怖れによって緊張した心を緩和するためには、リラックスできる時間を増やしましょう。
例えば、寝る前にアロマを使用する、好きな作家の本を読む、エステに行くなど自分に合った対処法を見つけましょう。
仕事なら、抱え込んでいる業務の量を調整していきましょう。ときには誰かに手伝ってもらうなど、周りの力を借りることも大切です。
◇2.失うことによるストレスなら
喪失による悲しみが伴うこのストレスは、信頼できる人に話を聞いてもらう、共感してもらうことで気分も徐々に楽になっていきます。
また「今の自分には少し時間が必要のようだ」と理解して、焦らずゆっくり回復を試みてください。
◇3.不自由さによるストレスなら
「自分で自分を認めてあげること」が大切です。
このストレスは「こんなに頑張っているのに」と自己否定から生じていることが少なくないので、自分を大切に価値ある存在として扱うことを意識してみてください。
◇4.承認欲求によるストレスなら
あなたは本当に周りから認められていないのでしょうか? 周囲から承認されているのだけれども、自分が気づいていない場合もあります。
そんなとき、まずは他者を承認してみましょう。
同僚に質問したときに「ありがとう。○○さんは、いつも仕事が丁寧だよね」など、お礼の言葉にひと言を添えてみてください。きっと、あなたの承認で相手は喜ぶでしょうし、あなたの言葉がまっすぐ受け止められているということは、あなた自身が承認されているともいえるでしょう。
そんなに不安になる必要はありません。あなたはちゃんと認められているはずです。
◇5.自分の理想と現実との乖離によるストレスなら
誰しも「理想の自分像」を持っているものですが、理想を実現することは容易ではありません。今の自分が理想的な自分になれないのには、さまざまな事情や理由があるわけです。
それでも、今の自分を「これも私だよね」と受け入れ、自分を許し受け止めると、ストレスが軽減されていきます。
■ストレス耐性をつけるには
ストレスは、すべてが不要というわけではありません。「自分らしさや能力の発揮をサポートするストレス」もありますから、ストレスと上手に付き合えるように、ストレス耐性をつけましょう。
◇1.リラクゼーション
ストレス耐性を高めるには、やはりリラクゼーションが有効です。ストレスの要因と反対の性質を持った趣味や楽しみを行うことで、リラックス効果が見込めます。
例えば、長時間のデスクワークをしている人なら、ヨガや軽い運動を行ってみる。基本ひとりで仕事をしているなら、大勢の人とかかわる趣味を持つなどです。
ハードルが高いものではなく、気軽にはじめられるリラクゼーション方法を見つけてみましょう。
◇2.できることから取り組む意識を持つ
今ある状況を受け止め、「今できること」から取り組む意識を持つことが大切です。
目標達成のために同僚・仲間との対話を行うなど、現実的な対処法を取り入れることで、ストレス耐性が高まっていくと考えられます。
◇3.ものの見方・捉え方を変える
ストレスがプラスに作用するか、マイナスに作用するかは自分のものの見方・捉え方にもよります。プラスに作用する考え方を取り入れてみるのもいいでしょう。
例えば、なんでも白黒つけてしまう思考から、「成功したこと・良かったことを意識する」ように変える。合理的理由がない「べき思考」(〜すべき、~すべきでないという考え方)を、多様な意見を受け入れ、物事を柔軟に捉える思考へと変えるなど心がけてみてください。
◇4.自分自身を肯定的に捉える
自分自身を信頼している人は、ものごとの見方・捉え方が肯定的ですので、不安や失敗・逆境なども価値あるものとして捉えます。つまり、自分自身を肯定的に捉えておくことは、とても重要なことなのです。
普段から「自分を褒める、ねぎらう」「自分の長所を紙に書き出す」などを行い、自分を信頼していくように心がけてみてください。
ストレスと上手に付き合うことを考えよう
ストレスが解消されているかどうかのひとつの目安は「気持ちが高揚するのではなく、落ち着き、穏やかになっているかどうか」です。
「このくらいのストレスなんて」と軽視するのではなく、自分のストレッサーがどれなのか見極め、ストレスを取り除く方法を試してみてください。
その後の自分にとって必要なストレスであったと思えるようになるといいですね。
(浅野寿和)
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