人が大好きな「コミュキャリ」。ファンケル 中尾真理さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:朝井麻由美
撮影:洞澤佐智子
編集:田島佑香/マイナビウーマン編集部
今回ご登場いただく中尾真理さん、一言でいうと、コミュニケーション能力が服を着て歩いているようなお方です。
リモートで行われた今回の取材。オンラインというフィルターを通してもなお強烈に伝わってくるのは、明るさ、元気さ、人懐っこさ! 誰もが一瞬で好きになる魅力の持ち主です。
持ち前の外向性を生かして、なんとコロナ禍になる前は週に10回以上も飲み会に参加したこともあるのだとか。
「いろんな人に会うためなら、ずっとソフトドリンクだけでも楽しめるし、全く苦じゃないんですよ!」とキラキラした目で語る中尾さん。……常人にはそんなの無理だよ。元気すぎだよ、と言いたい。
それも、毎日ただ参加を楽しんでいるわけではなく、そこで得た繋がりを仕事や有志の活動に生かすことで社内で表彰されたというから、ただ者ではありません。
「人と会う」ことを何よりも大切にしている中尾さんの、仕事観やモチベーションの保ち方について伺いました。
外の風を吹き込める人間でありたくて……希望し続けた出向
そうです! ファンケルの事業企画本部事業開発部コラボレーション推進グループという部署で働いています。
今も所属としてはキリンホールディングスで、提携会社のファンケルに出向している形です。
キリンの最終面接で、役員の方に「トゲトゲしくあれ。丸くなるな」と言われたのが自分の中にずっと残っているんです。
だから、周りをかき乱したい、異分子でありたい、外の風を吹き込める人間になりたい、と常に思っていて。
でも、キリンが大好きなので、転職はしたくなかったんですよね~。それで、「出向したい」と言い続けていました。
全然違いますね! キリンもファンケルもとにかく人が良くて、そこはどちらも大好きなところです。
ファンケルは、いい意味で社員同士の距離感が近くて、みんなが仲良し。あっ、でも、キリンが仲悪かったという意味じゃなくて(笑)! キリンとはまた違った仲の良さがあります。
キリンにいた頃は部門が多いせいか、隣の島でどんな仕事をしているのかを知らないことも多かったので、この近い空気感はファンケルならではなんですよね。
社員だけでなく、社長ともフレンドリーに接することができますし、どこの部署にも必ず知り合いがいるので、他部署にもすぐに繋げてもらえます。ほかの部門のニュースや経営速報なんかもお互いにチェックし合っていて、会社全体としてチームのような感じです。
役員をいきなり誘ってランチに! コミュ力超人
最近は、出社する日は毎回違う部署の人とランチに行くようにしているんです。
なかなか人と会いづらい時期だからこそ、なるべくいろいろな人と話す機会を設けるように頑張りたいな、と。
仕事で全く関わっていない人でも、席が近いとか、フロアが一緒というだけでランチに行ってくれるくらいみんなフレンドリーなんですよ! 役員とすれ違った時にいきなり声を掛けたら、次の週には一緒にランチに行ってくれました!
社外の人とも行きますし、違う部署の人たちとの飲み会も多かったですね。
ワイン部門の人との会ならワインの本を読んでから行くし、デジタル系の人だったらデジタルのニュースを一通りチェックして、なるべく話が盛り上がるように努力してました(笑)。
下調べに追われててんてこ舞いになっていました(笑)。でも、そういう場でしっかりと会話する時間が持てたことで、後から私が興味ありそうな情報を教えてくれたり、新しい仕事をする時に助けてもらえたり、いいことづくめなんですよ!
それに、キリンは社員の人数も多いので、自分は何に興味があってどういう強みがあるのかをアピールしていかないと、埋もれてしまいます。
だから、大きなチャンスをもらうためにもなるべく行動していました。それこそ今、ファンケルで私が感じている近い距離感って、キリンにいた時は頑張らないと作れないものだったんですよね。
有志の活動がキリングループアワードを受賞
飲み会だけでなく、キリン在籍時に立ち上げて、今も続けている「企業内大学キリンアカデミア」という有志の勉強会もあって、ここでは役員に登壇してもらったり、他社の有志団体とのコラボイベントをしたりといった活動を2年ほど続けてきました。
最初は15人くらいの小規模な勉強会でしたが、今はオンラインで500人くらいが参加してくれるまでになったんですよ。
そうそう、そんな感じです。今知っておくべきビジネスマインドや知識につながる講演を聞いたり、ワークをしたりする部活動のようなもの、といったら伝わるでしょうか。
実は業務外でのちょうどいい学びの場ってなくて。「だったら作っちゃえ!」と、入社5年目の時に同期たちと一緒に立ち上げて、どんどん広がっていったという感じです。
過去にはコクヨさんや電通さんに、働き方やマーケティングの話をしに来ていただいたこともありました。
そうです、そうです。お問い合わせフォームに「こういう活動をしておりまして、有志なので予算はないのですが、ぜひ講演していただきたく、どなたかご紹介いただけますでしょうか?」って。
送ってみると意外と「弊社にもそういった有志の団体があってぜひ」というようなありがたいお返事をいただけるんですよ。
売上が目的ではないので大きな数字にはなっていないですが、自分が詳しくない分野について教えてもらえることはたくさんあって、視野が広がりました!
例えば、私は今ワインの定期便に関わる仕事をしていまして、そこで活かせています。社外の方にサブスクリプションビジネスの話を聞けたり、SNS広告の手法や分析の仕方を教えてもらえたり。自分が疎い分野でも、外には絶対に専門家がいるので、いろいろな業界に仲間がいるのはありがたいと日々思っています。
あと、この「企業内大学キリンアカデミア」の活動で、キリングループアワードという賞もいただけました。
いえ……、たいていは何かしらの仕事に対して部署やチーム単位で受賞するので、業務外の有志団体が取るのは珍しいことだと思います。
キリンのビジョンや企業理念を体現している活動に贈られる賞で、社内の賞としては簡単にとれるようなものではないので……仕事でもないのに、まさか頂けると思っていなかったので驚きました。
人と会えば会うほどモチベーションが高まるタイプ
でも、基本的に人と会うのが全然疲れないタイプなんです。
人と会いすぎてグッタリする、ということはなくて、むしろ、誰かと会えば会うほどモチベーションが高まります。3人の人に会うと3モチベーション高まる感覚です。
だから、疲れた~って思った時は引きこもるよりも、元気をもらうために誰かに連絡します! これが自分のモチベーションを保つ方法なんだな、と気付いてからは、ずっとやる気に満ちた状態でいられているかもしれません。
誰かと会うと必ず新しい発見があるし、新しい企画を思いつく時もきっかけは「人」。
こういうのがあると、あの人が喜びそうだな、と誰かの顔が浮かぶところから企画がスタートするんですよね。たとえそれが前例のないことでも、まずは動いてから考える!
もし勝手に動いたことで誰かに怒られたとしても、私の行動でハッピーな人が生まれるならいいって思っています。大胆なことをする時は、怒られてから考えるぐらいがちょうどいいですね(笑)。
※この記事は2021年01月29日に公開されたものです