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「販売」と「発売」の違いは? 意味や使い分けを解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「発売中」という表現を使ってもいいのか?

「好評発売中」「絶賛発売中」という表現を時々見かけます。

先述したように「販売」は継続的で、「発売」は間断的であることを考えれば、「発売中」という言葉に違和感を持つ人もごく一部いるかもしれません。

結論から言うと、「発売中」という表現は使用しても特に問題ないのではないかと考えます。

「〇〇中」という言葉は、「〜し続けている」という意味です。

「営業中=営業し続けている」「勉強中=勉強し続けている」は、すんなり理解できますが、「発売中=発売し続けている」には、疑問が生じるかもしれません。

厳密には「ずっと売り続けている」という意味であれば、「販売中」の方が国語的にはふさわしいと考えられます。

しかし、いくら国語的に正しい表現であっても、商品が売れなければ企業やお店は利益を損ないます。なぜなら、商品を売る際には、販売促進の側面から考えて、商品の鮮度も訴求する必要があるからです。

継続的に売っている「販売」という言葉を使っても、単に商うという意味だけで、商品そのものの新鮮さは感じられません。

「発売」という言葉の方が、「新しい、ニューフェイス、新鮮」というイメージを感じさせるので、「販売」を強調する言葉として多用されているのです。

そのため、既存の商品を改めてテコ入れして売り出したい時に「好評発売中」などと使われるのは、販売促進の考え方では理にかなっているわけなのです。

つまり「発売中」とは、国語的な違和感があっても、CMや店頭の案内などの日常生活で目に触れる機会が多いので、人々もさほど疑問を持たなくなり、すっかり定着した感のある表現といえます。

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