【花嫁が今、伝えたいこと】コロナ禍で悩み抜いた80名の結婚式
新型コロナウイルスの影響でさまざまなイベントが開催中止・延期となり、それは結婚式も例外ではありません。条件・状況も変わっていくなかで、先輩花嫁はどんな結婚式をしたのか、コロナ禍に結婚式を行った一人の花嫁を取材しました。
2020年9月に、総勢87名(ゲスト85名)での結婚式を終えた花嫁・Aさんにお話を伺いました。
中学校時代の同級生だったというAさん夫婦。お互い意識していたものの、卒業してからそれきりに。社会人になり、地元で偶然再会したふたりは、そのまま自然とお付き合いをスタートさせます。お付き合いを始めて8年。同棲をきっかけに結婚を意識し、旅行先で彼からサプライズのプロポーズ!
「結婚式本当にやる?」悩み続けた5か月。決定するのはあくまでも「自分たち」
お互い同級生ということもあり共通の知り合いも多く、お世話になった恩師や友人を招待しようと、二人は結婚式の計画をスタートしました。
結婚式場を決めたのは2019年の9月。結婚式の予定は1年後。準備や両親への顔合せなど、しっかりとスケジュールを組んで進めていた二人でしたが、年明けごろから新型コロナウイルスが流行し始めます。4月に予定していた顔合わせは、緊急事態宣言で取り止めになりました。
先が見えないコロナ禍。一緒に走り抜けようと思っていた友人花嫁たちはどんどん延期を決めていく。今結婚式をするべきではないかもしれない。自分たちのせいでクラスターを発生させてしまったら?
親に聞けば「延期を」と言われてしまう気がして、それだと延期が親のせいになってしまう。それは絶対に嫌だから、自分たちで決めると決意していた二人。
そんな二人の背中を押したのは、ゲストからの声でした。
「結婚式、やろう」と思わせてくれたゲストの声
招待する予定の友人たちから、たくさんの声が届きます。
「できる時にやった方がいいよ」
「いつ開催になっても参加するよ!」
式場からも返答を急かされることはなく「予定通り開催されるお二人もいらっしゃいますし、悩まれているのはお一人ではありません。ギリギリまでお待ちいたしますので、お二人の納得のいく決定をされてください」という温かい声。
決定的だったのは、Aさんのお母さまから「やっていいと思うよ」の一言をもらったとき。
一度も相談したことはなかったはずなのに、さすがお母さま。娘の考えることはお見通しのようですね。
ここから、二人の結婚式が本格的に動き出しました。
配慮に配慮を重ねた結婚式
ゲストに心から楽しんでもらうためにはどうしたらいいか、安心して来てもらうにはどうしたらいいかを改めて考え始めたAさんたち。
「もし自分たちが招待される側だったら、どこが気になるか」をベースに考えていったそうです。それでは、二人が実際に行われた工夫をご紹介していきます。
【二人が工夫したポイント】
1.Webの招待状と紙の招待状を使い分け
→「誰が触れたか分からない招待状を受け取るのに対して不安がある人もいるかもしれない」と考え、Webを使用して送付。ただ、Webに抵抗があるかもしれない年代や目上の方には紙の招待状を送るなど、人によってアイテムを使い分けました。
2.感染症対策をていねいに伝える
→大切にしていたのは「もし自分たちが参列する側だったら、知りたい情報は何か」を考えること。換気や消毒などの対応はもちろん、会場の規模感や開放的かどうかなど、可能な限り情報をオープンに。
3.ゲストと密なコミュニケーション
→開催を決意する前から、ゲストとは常に連絡をとっていたという二人。招待状を送る際に感染症対策について記載したカードと、結婚式を延期する可能性がまだあることも添えました。
4.当日はマスクではなく、透明のフェイスシールドを用意
→みんなの顔が見たいからと、受付に透明のフェイスシールドを用意。ゲストの笑顔が見えただけでなく、お化粧をしている女性ゲストからも好評だったそう。
5.消毒液を各テーブルに設置
→少しでも安心材料になればと、小さなボトルで消毒液を各テーブルに。好きなタイミングで使ってもらえるように工夫。
感染症対策にも正解がない今、試行錯誤を重ねた二人の工夫には「安心して来てほしい」という心からの想いが伝わってきます。
結婚式当日から2週間後が本当の結び
さまざまな想いの中で、予定どおり迎えた当日。挙式後、新郎のお母さまがAさんの手をとって「開催できてよかった! いい式だったよ!」と喜んでくれたそう。
でも、無事に終わったと喜ぶのはまだ先。
本当の結びは、結婚式から2週間後でした。
厚生労働省によると、新型コロナウイルスの発症は、感染から1日~12.5日後(多くは5~6日)。
結婚式が終わった日から、来てくれたゲスト全員に感謝の言葉とともに、体調が悪くなっていないか確認の連絡を入れた二人。
「大丈夫、元気だよ」の返答が届くたびに安堵し、全員の体調不良がないと分かった時、二人の結婚式が終わったのでした。
後に続く花嫁さんたちへ
「コロナ禍の結婚式で良かったとは思わなかったし、正直すごくつらかった」と率直な思いの後に、「でもやれて良かった」と一言。
怖かったはずなのにお祝いに来てくれたゲスト、もちろん来られなくても気遣ってくれたゲストも含めて、ずっとお付き合いしていきたい、大事にしていきたいという気持ちを再確認できたそうです。
「自分たちが怖がったら、ゲストはもっと怖い」という新郎の言葉に頼もしさを感じ、モチベーションを保つきっかけにもなったと笑顔を見せてくれたAさん。
会場も人数も日程も、一つとして同じ条件の結婚式はありません。
「わたしたちは運が良かった」と話してくれたものの、ゲストへの細やかな連絡、配慮はお手本にしたい部分がたくさん。
予定通り実施する、延期する、キャンセルする。
どの選択だったとしても、正解も、間違いもありません。
今まさに悩んでいる二人も、これから結婚式を考えている二人も、自分たちの選択を後悔しないために、この記事をきっかけに「自分たちなりの結婚式とは」の答えを、ぜひ見つけてください。
(取材・文:プレ花嫁研究室)
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※この記事は2021年01月15日に公開されたものです