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イジる人 #女子を困らせる人

#女子を困らせる人

アルテイシア

アラサー女子を困らせる人はこの世にたくさんいます。セクハラ、パワハラ、マウンティング、毒親……。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」なんてことわざもありますが、女子の方が敵多くない? そこでこの連載ではアルテイシアさんに、困らせてくる人々に立ち向かう知恵を授けてもらうことにしました!

#女子を困らせる人、今回のテーマは「イジる人」。

イジる人はなぜイジってくるのか。また、イジってくる人にはどう対処したらいいのか、等について考えてみたいと思う。

イジり=イジメやハラスメント

イジり=イジメやハラスメント

私は女子校から共学の大学に進んだ時に、イジりの洗礼を受けた。男子から「ブス」「デブ」「モテないだろ(笑)」的なイジりをされて、ものすごく傷ついた。

現在の私なら次元大介より素早くグレッチを抜くが、当時は「男子のコミュニケーションってこうなんだ」「これになじまなきゃいけないんだ」と思っていた。

でも、あれは単なるイジメだったと思う。彼らは言い返せなさそうな相手を選んでやっていたし。イジりの厄介な点は、イジメやハラスメントを「笑い」というオブラートで隠してしまうことだ。

当時は私も「ひょうきんなブスでーす!」みたいに自虐して、笑いで返していた。それは「ブスだと自覚してるから、これ以上殴らないで」という自己防衛反応だった。

でも自虐すればするほど「こいつには何言ってもオッケー」とナメられて、扱いがひどくなった。それで自尊心をゴリゴリに削られた結果、過食嘔吐するようになった。

同様に、女子校から共学に進んだ友人は「お前みたいなブスに興奮する男はいない(笑)」と男子に言われたそうだ。「その後、私がDV男やモラハラ男と付き合ってしまったのは、『自分みたいな女を好きになる男はいない』と呪いをかけられたからだと思う」と振り返る彼女。

イジる側は冗談のつもりでも、それは人を一生苦しめる呪いになるのだ。

また、イジられる側に「気にしても無駄」「自分に自信を持って」とか言う人もいるが、どう考えてもイジる側に問題がある。身体的な暴力は加害者が罰せられて当然なのに、言葉の暴力は「気にするな」と被害者が言われるのはおかしい。

「きれいになって見返せばいい」とか言う人もいるが、それはイジメの被害者に「いじめられないよう努力しろ」と言うのと同じだ。変わるべきはイジメやハラスメントをする側、それを容認・助長する社会だろう。

イジり問題は、テレビ等のメディアの影響も大きい。

見た目イジり、非モテイジり、性的イジり、マイノリティーイジり……等を見て育った子どもたちは「イジメやハラスメントをしてもオッケー、むしろ笑いが取れる」と刷り込まれてしまう。

「昔は私も『お笑いってそういうもの』と流して見てました。でも今はいたたまれない気持ちになります」。

「ワイドショーでお決まりの見た目イジりをされたハリセンボンの春奈に、ゲストのアリアナ・グランデが『あなたはとてもかわいいわ』と言う場面を見て、涙が出ました」。

女性陣からはそんな意見が寄せられた。若手の芸人やタレントが「そういう笑いは古すぎて笑えない」と意見するようになってきて、少しずつだがアップデートが進んでいる。この流れでいくと、イジり文化は衰退していくだろう。

人権意識やジェンダー意識の低い人間は生き延びられない。メディアもその方向に変わっていくだろうし、その変化が早く進むことを願っている。

イジる人の背景にあるもの

イジる人の背景にあるもの

「男子のイジり文化って何なんですかね?」「女同士はあんなふうにイジりませんよね?」

そんな意見が女性陣から寄せられた。たしかに女同士で見た目イジり、非モテイジり、処女イジり等をすることはめったにない。

一方、男同士で「お前ってダサいよな」「だからモテないんだよ」「その年で童貞ってヤバくない(笑)? 」とか言い合う場面はよく見かける。

これも「男らしさの呪い」が根っこにあるのだろう。

「相手より優位に立ちたい」という競争意識から、相手を見下す発言をするのかもしれない。また「女をモノにできない男は、男社会で認められない」というホモソーシャルの抑圧もあるのだろう(それがインセル(※)問題にもつながっている)。

※インセル/恋人や性愛のパートナーがいない原因を女性に押し付け、女性嫌悪を募らせている異性愛の男性。

攻撃的で乱暴なふるまいを「男の子だから」と容認する社会にも原因があると思う。

こうしたジェンダーの呪いを滅ぼすことで、全人類が救われるんじゃないか……という思いから、バルスバルスと念仏のように唱える我である。

シータよりドーラに年齢が近い我は「男同士って褒め合わないよな」とよく思う。

女同士は「その服かわいい~」「似合ってる~」とキャッキャウフフして、「仕事頑張ってて偉いね」「育児頑張ってて偉いよ」と褒め合って、自己肯定感を高め合う。

一方、男性は男同士で褒め合わないから、キャバクラや合コンでやたら褒められたがるのか。

某人気少年漫画に「男を褒める男は、ホモか策士(タヌキ)かどっちかだ」というセリフがあって「この時代によくこれがオッケー出たな!」とびっくりした(この漫画自体はすごく面白いのに、たまに時代遅れなジェンダー観が垣間見えてがっかりする)。

男同士が褒め合って仲良くしていると「ホモか!」とイジるおじいさん(某大御所芸人とか)はいまだにいる。

また策士(タヌキ)という言葉に「男は他人を蹴落として、競争に勝つべき」というジェンダー観が表れている。

男同士の「褒めずに落とす」コミュニケーションが、女性に対しても適応されているんじゃないだろうか。

漫画家の女友達は、初対面の男性漫画家から「その年で彼氏いないってヤバいやろ(笑)」と言われたそうだ。「同業者に対するマウント意識があったのかも。あと『女を雑に扱える俺、イケてる』みたいなイキりも感じました」と振り返る彼女。

恋愛工学でもモテテクとして「ディスり」が提唱されている。それを真に受けて実践した男性読者から「好きな女の子が口をきいてくれなくなりました」と報告が寄せられる。

親しい男女間でからかいの言葉を交わすことはあるが、「イジったら親しくなれる」と思っているなら、盛大な勘違いだ(それにからかわれた側は笑っていても、内心傷ついていることも多い)。

「初対面で失礼な発言されたら『死ねクソが』としか思いませんよ!」「普通に尊重してほしいに決まってますよね!」と、女性陣から盛大な膝パーカッションが寄せられた。

相手に尊重されたければ、こちらも相手を尊重するべき。九九でいうと一の段だが、それを解さない人が女子を困らせている。

「握手会で女性アイドルに失礼な発言する男性ファンとかいますよね? なんで嫌われるって分からないの?」という女子の問いに「二次元と区別がついてないのかもね」と答えた私。

二次元では「初対面は最悪の印象→実は良い人だと発覚、トゥンク」みたいな展開があるあるだが、それはCV津田健次郎だから許されるやつである。

某男性芸人が「女は優しい男が好きなんて嘘やろ! 漫画では俺様やドSが人気やないか!」と謎にキレていたが、ちゃんと次元の区別をつけてくれ。

男子は好きな女子をイジめるもの、という文化も滅びてほしい。

「男子にスカートめくりされた時、先生に『あいつはお前のことが好きなんだ(だから許してやれ)』と言われた」という女子の声に「それな! 死ねクソが!」と膝パーカッションで地面が割れた。

セクハラしたのは「相手を好きだったから」と言い訳する大人もいる。

「好き」という言葉でハラスメントを矮小化せず、「絶対してはいけないこと」と子どもに教えるべきだろう。「意地悪しても好意は伝わらないし、嫌われるだけだよ」「二次元と区別をつけようね」ということも。

「人前で彼女のことを『こいつバカだからさ(笑)』とかイジる彼氏が不快」という声も寄せられた。

これも「俺が上の立場だ」というマウント意識と「女を雑に扱える俺、イケてる」というミソジニー仕草の合わせ技だ。そんなモラハラ男と付き合うと、サンドバッグにされて自尊心をボコボコにされてしまう。

この手の男は言い返せないタイプを狙うので、「お前ってバカだよな」と言われたら「黙れ小僧!!」と美輪明宏ボイスで撃破してほしい。

イジる人撃退法

イジる人撃退法

イジり被害を受けた場合は、どう対処すればいいか?

イジる側は、こちらが怒ると「冗談が通じない(笑)」「マジギレすんなよ(笑)」とヘラヘラするのでたちが悪い。

全力でドン引き

「女を雑に扱える俺、イケてる」系の男にイジられた時は、全力でドン引きするのがおすすめだ

「何こいつ? 脳みそ8ビットか?」と呆れ顔で相手を凝視するもよし。または「うわ、すごいホモソノリ」「恋愛工学信者なの?」と呆れ顔で返せば、相手はギャフン(若年層ならぴえん)となるだろう。

ハシビロコウ返し

強めの返しができない場面では、ハシビロコウ先輩をお手本にしよう。

「……………」と無表情&無反応をキメれば、敵はひるむ。「こいつフンコロガシ以下の脳みそだな」という目線をイメージすれば、ハシビロコウみが深まる。

私は神戸どうぶつ王国でハシビロコウ先輩に対面したが、岸辺露伴より動かない威厳ある姿を前にして、うっかり何かを自白しそうになった。

ハシビロコウ返しは、立場が上の相手に対しても効果的。

会社員時代、イジりをコミュニケーションと勘違いしている上司がいた。「今日は特にブスだな(笑)」とか言われるたび自虐で返していたが、あまりにしつこいので「……………」と無表情&無反応をキメたら、相手はかなり狼狽していた。

ストーカーやクソリパーと同じで、彼らはとにかく反応が欲しいのだ。

FBIで人質交渉のトレーナーをする分析医が、厄介な人から身を守る方法として「反応しない」「返答しない」を徹底すること、と述べていた。

こちらを尊重しない相手を、尊重してやる必要はない。「貴様に返す言葉など無い」という心意気で、ハシビロコウに擬態してほしい。

要介護の祖母がいる設定

女性陣にヒアリングすると、いまだに「そんなんじゃ結婚できないぞ(ドッ!)」系のイジリをしてくる上司がいるという。

そんな老害勢をブロックするために「要介護の祖母がいる」等の設定を作っておくと便利。

そうすれば「今は結婚とか考える余裕がなくて」と返せるし、飲み会をパスしたい時も「今日は祖母の病院に行くので」と断れる。

「ストップ! イジり」とみんなで声を上げよう

「ストップ! イジり」とみんなで声を上げよう

先述したように、イジり加害者は言い返せない相手を狙う。よってイジメと同様、イジりも周りが無視しないことが重要だと思う。

女友達がこんなエピソードを話してくれた。

職場でおじさん部長が若手の女性社員に「今日も旦那と子作りするのか(笑)?」と言った時、男性の先輩が「それセクハラですよ」と注意したそうだ。すると部長はバツが悪そうな顔になり、それ以降、その手の発言を控えるようになったという。

友人いわく「その先輩は夫婦で不妊治療をしていたから、自分事として考えられたのかもね」とのこと。

彼女の「悔しいけど、女の私が注意しても『○○さんは怖いなあ(笑)』と茶化されたと思う。男尊女卑がしみついたおじさんって、男の話しか聞かないから」という言葉に「それな!!」と膝パーカッションし過ぎて皿が割れた。

膝がいくつあっても足りないぐらい、我らがヘルジャパンは男社会だ。だからこそ、男性も積極的に声を上げてほしい。

「ストップ! イジり」とみんなが声を上げれば、世の中を変えていけるはず。私もイジり撲滅を目指して、ハシビロコウ顔で膝の強度を上げたいと思う。

(文:アルテイシア、イラスト:若林夏)

※次回の#女子を困らせる人は「ナンパする人」。10/22(木)公開予定です!

アルテイシア

作家。神戸生まれ。著書『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった 』『アルテイシアの夜の女子会』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『59番目のプロポーズ』ほか、多数。

●Twitter:@artesia59

新刊『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』発売中!

オタク格闘家と友情結婚した後も、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも変人だけどタフで優しい夫のおかげで、毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による、不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ!

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