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逆ギレする人 #女子を困らせる人

#女子を困らせる人

アルテイシア

アラサー女子を困らせる人はこの世にたくさんいます。セクハラ、パワハラ、マウンティング、毒親……。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」なんてことわざもありますが、女子の方が敵多くない? そこでこの連載ではアルテイシアさんに、困らせてくる人々に立ち向かう知恵を授けてもらうことにしました!

#女子を困らせる人、今回のテーマは「逆ギレする人」。

逆ギレする人の心理とは、その撃退法とは。私の今も忘れられない逆ギレ(被害)体験談を交えて紹介したいと思う。

アルテイシアの逆ギレ(被害)体験談

アルテイシアの逆ギレ(被害)体験談

というわけで、我が人生最悪の逆ギレ体験について書きたいと思う。

約8年前、東日本大震災のチャリティーイベントに参加した時のこと。

イベントの打ち上げの最中に事件は起こった。そこには当時、神戸の市議会議員だった50代の男性が参加していた。実名をさらしたいところだが、ここではOと表記する。

そのおお……じゃなくてOは地元の金持ちのボンボンで、取り巻きっぽい人々を連れていた。そのうちの1人、ネトウヨっぽい30代ぐらいの男性が酔っ払って、イベントのスタッフに大声で絡みだしたのである。

その場に止める人が誰もいなかったため、私はその酔っぱらった男性に近づいて「あなた迷惑ですよ、もう帰ったらどうですか」と言った。そいつはギャーギャーわめいていたが、私が「いいからもう帰りましょうよ」と瞳孔を開きながら腕をつかむと、渋々と席を立った。

ちなみにこの時にお手本にしたのは、内心バチギレている時のハンジさん(※1)である。

(※1)ハンジさん/『進撃の巨人』の調査兵団メンバー。強さと知性を兼ね備え、拷問等もこなす頼れる先輩。

その時、いきなりOがやってきて「まあまあ、キミは引っ込んでなさい、キミは女の子なんだから!」と言った。

ハッ?と 面食らった私が「いや、あなたそう言いますけど、黙って見てたじゃないですか」と返すと、Oは「あなた?!!!」と激昂したのである。

「あなたって失礼だろう!! どういうつもりだおまえ!!!」

( ゚д゚)ポカーンという顔文字は、こういう時に使うのだろう。

私はポカーン顔になりつつ「そうか、このおっさんは自分より若い女から『先生』じゃなく『あなた』と呼ばれたことにキレているのか」「自分の方が絶対的に上だと信じているから、私が対等な口を利いたのが許せないんだな」と理解した。

そこへ取り巻きの連中が「先生、まあまあ」と止めに入った時もまだ「あなたは失礼だろう!!」とおっさんは怒鳴っていて、「私のことはおまえって言いましたよね?」という私の言葉は無視された。

拙者は激おこのブッコロ助になっていたが、これ以上騒ぎが大きくなると周りに迷惑をかけてしまう、と思って我慢した。

その後、イベントのスタッフから「ありがとう」「スッキリしました」とか言われたが、私は全然スッキリしなかったし、いまだにモヤモヤを引きずっている。

それは、その場でちゃんと怒れなかったからだ。

当時の私は空気を読んだわけだが、空気なんて読まなくて良かった。だって私は理不尽に怒鳴られた被害者なのだから。

あの場でO元議員に対して「あなたこそ失礼ですよね? 私に怒鳴ったことについて謝罪してください」と言うべきだった。そこでさらに逆ギレされても「有権者に向かってよくそんなこと言えますね? 勇気ありますね、あなた」ぐらい言ってやればよかった。

それができなかったのは、空気を読む癖が染みついていたから。かつ、私の反射神経が鈍かったからだ。

もし私がハンジさんだったら、その場で毅然と抗議しただろう。または反射的にうなじをそぐか、「いらないのは右と左のどっちの睾丸?」と拷問用の締め具のネジを回しただろう。

一方、普段から反射神経を磨いてないと、予想外の逆ギレに混乱してポルナレフ状態(※2)になってしまう。また「空気を読むのが正しいこと」と刷り込まれていると、言いたいことを言えないポイズン状態になってしまう。

(※2)ポルナレフ状態/『ジョジョの奇妙な冒険』第3部と第5部に登場するポルナレフが「な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…」とパニクる状態。

私が8年たってもモヤモヤを引きずっているのは、その場で怒れなかった自分にふがいなさや無力感を感じたからだ。

だからこそ、今は心に誓っている。怒るべき時にはちゃんと怒ろうと。それは自分のためでもあるし、自分以外の人のためでもある。

私が怒りを表明しても、50を過ぎたおっさんの価値観は変わらないだろう。でも「有権者に向かってよくそんなこと言えるな、タダですむと思うなよ!」と本気で怒れば、相手をビビらせることはできただろう。

そうすれば、相手の行動を変えることができたかもしれない。そいつが今後、他の女性に「あなたって言うなー!!!」と幼稚な逆ギレをしなくなれば、人類にとっての大きな進撃になる。

間違った言動に対しては瞬発力を持って怒る

怒るべき時に怒らないと、自分の権利を守れない。だが日本人は「怒ることは悪いこと」と刷り込まれている人が多い。これは権力者にとって実に都合のいい話である。

民草が「自己責任」「怒るなんてわがまま」と刷り込まれていたら、権力者は批判されずに済む。「自分の頭で考えず、お上に従った方が楽」と思考停止してくれれば、やりたい放題できるだろう。

各国の男女格差を測るジェンダーギャップ指数121位のヘルジャパンでは、怒る女性が特に叩かれる。私も若い頃は「女は笑顔で愛想よく」「セクハラされても笑顔でかわすのが賢い女」と洗脳されていた。

けれどもMeToo、KuToo、フラワーデモ等によって、社会は変わりつつある。それは女性たちが怒りの声を上げたからだ。

私も性差別や性暴力を殲滅したいフレンドなので、「女は感情的」「ヒステリーババア」「更年期ww」と揶揄されても「うるっせえ!!」と元気いっぱいに怒っている。

そんな私のコラムを読んだ読者から「自分も怒っていいんだと気付いた」「セクハラやパワハラにNOと言えるようになった」と感想をもらうのがうれしい。

そして「拙者ももっと怒る練習をするぞ、ブオオー!」と法螺貝を吹いている。

韓国のアイドルオーディション番組で、男性の審査員が「(参加している)練習生の中で最年長ですね」と発言した瞬間、女性の審査員たちがプーチン顔になり「何の関係があるのよ」「年齢は関係ないわ!」と一斉に怒った。

その男性審査員はタジタジになっていて、「女性を年齢で判断するのは間違い」と学んだことだろう。

その動画を見て「すばらしい瞬発力……梵天丸もかくありたい」と思った。

もし私がその場にいたら、とっさにプーチン顔できただろうか? 「彼女、若く見えるから大丈夫ですよ~」と笑顔でフォローしてしまったんじゃないか。

間違った言動に対して怒らないと、間違いは永遠に正されないし、下の世代に再生産されてしまう。

ドイツ在住の女子が「日本に帰ると、平気で失礼な発言やセクハラしてくる男が多くてギョッとします」と話していた。「ドイツの女性はバチバチに怒るから、男も変なことできないんですよ。そういう社会だと、変なことする男は男からも嫌われるんですよね」とのこと。

日本の女性は怒り慣れていないため、いざという時に怒れない。

逆ギレのような予想外の理不尽な行為に対しては、「いともたやすく行われるえげつない行為(D4C)」(※3)並みのスピードと破壊力が必要だ。スタンド使いじゃない我々が反撃するには、日頃からの練習が肝心である。

(※3)D4C/『ジョジョの奇妙な冒険』第7部に登場する、ファニー・バレンタイン大統領のスタンド能力。

よって、鏡の前でプーチン顔の練習をしよう。かつ反撃の手数を増やすために、過去の当コラムの撃退法を復習してほしい。練習用の教材として『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』などの書籍もおすすめである。

そうやって練習を重ねて、実践で怒ることができれば、どんどん自信がついてくるだろう。

逆ギレする人の心理と撃退法

逆ギレする人や大声で怒鳴る人の心理は、相手を威圧して怯えさせたいのだ。彼らがそんな言動に出るのは、こちらのことをナメているから。

件のおっさん議員にしても、私がメルケル首相だったらへいこらしたに違いない。また私が屈強なプロレスラーだったら、怒鳴ったりしなかったはず。

彼は私のことを地位もパワーもない若い女性、自分より弱い立場だと判断したからキレたのだ。つまり逆ギレする人は、卑怯な小心者なのである。

そんな相手に対しては、意表を突いてビビらせるのが効果的。例えば「笑う鬼の方が怖い」作戦で、怪盗とかがよくやるやつがおすすめだ。

逆ギレされたらうつむいて肩を震わせてから、「くっ……くく……フハハハハハ! ハーハハハハハハ!!」と狂ったように笑ってみよう。予想外の狂気はめっちゃ怖い。

そのうえ「諸君はまんまとしくじったようだね……1週間後、何が起こるか楽しみにするがいい……さらば!」とマントを翻して去れば、相手は1週間は怯えて暮らすだろう。

また、人を肩書きで判断するタイプには「クスクスクス、私が誰かご存知ないようですわね?」とハッタリをかまして「追って使いの者を寄こしますわ、オーホホホ!」と馬車で去るのもいいだろう。

要するに「ナメられたら、即ビビらせる」のが肝心なのだ。

現実的にビビらせるには「弁護士に相談します」の一言が効く。私もおっさん議員に対して「暴言を吐かれた精神的苦痛に対して訴えます」「貴殿は私の訴訟に耐えられるかな?」とイキリオタクぶればよかった。

または「あなたの行為について市議会に抗議します」と言えばよかった。権力に弱い人間をビビらせるには、相手より上の立場の人間に訴えるのが効果的。これは仕事上のパワハラやセクハラについても同様である。

とにかく「俺は黙って泣き寝入りしねえぞ、ナメるなよ!」と表明するのが鍵である。

一人で戦うのは難しい

8年前を振り返って思うのは「あの時、ツイッターをしてりゃ良かったな」である。当時の私はまだツイッターをしていなかったのだ。

現在の私であれば、O議員の行為を実名でさらすことができる。こちとらフリーランスの野良作家だから炎上しても平気だし、腹にダイナマイトを巻いてぶっこめる。

むしろ困るのは、社会的地位や失うものが多い相手の方だろう。ツイッターのような、言い返しても直接殴られないツールが普及したのはすばらしい。

8年前の私は「生霊の飛ばし方」でググって「ペットボトルを使った手軽な呪い方」とか試そうかと思ったが、さすがに平安過ぎると思ってやめた。

そこで「風評被害を流す」という戦国時代の忍者みたいな作戦に出た。

風評じゃなく事実であるが、「ありのまま起こった事を話すぜ!」と会う人全員にO議員の件を言いふらした。

すると新聞記者や地元のメディアの人々から聞くのは「あの議員、最低最悪ですよね! めちゃめちゃ評判悪いですよ」とそもそも悪評しかなかった。

そして数年前、地元のバーのマスターから「泥酔したOに店のトイレを壊された」という話を聞いた。「弁償してほしいと連絡したけど無視されたんですよ」という言葉に「そんなボケナスでも議員になれたんだもんなあ」と暗澹たる気持ちになった。

現在のOは政治家ではなく、金持ちの民間人として暮らしている。「ブッ殺すと心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!」とプロシュート兄貴(※4)も言っていたのに。

(※4)プロシュート兄貴/『ジョジョの奇妙な冒険』第5部の登場人物。弟分のペッシに「オメーはマンモーニ(甘ったれのママッ子)なんだよ」と説教をする。

結局、私は何の行動も起こさなかった。あんなおっさんにもう関わりたくない、不愉快過ぎる記憶だから忘れたい、という気持ちがあったからだ。

でも結局忘れられないし、後悔するぐらいなら戦えばよかった。俺は弱虫のマンモーニだ……と悔やんでいたら、弁護士の女友達が「一人で戦うのは難しいよ」とアドバイスをくれた。

「一番大切なのは、味方を作ること。例えば職場でセクハラやパワハラを受けた場合も、周りに相談して協力を求めてほしい。加害者に対して第三者が『それ駄目ですよ』『やめた方がいいですよ』と注意するのは、すごく効果的だから」。

「精神的に追いつめられるので、孤立するのが一番良くない。だから味方を作って戦って、それでも改善しなくて困った時は弁護士に相談してほしい」。

皆さんも「味方を作って戦う」「弁護士さんに相談だ!」とメモってほしい。今ならマスクに油性ペンで書くのもいいだろう。

私も自粛でヒマなので、ステイホームで怒る練習に励みたい。かつ、強い女性キャラをお手本にして「いらないのは右と左のどっちの睾丸?」とイメトレしたいと思う。

(文:アルテイシア、イラスト:若林夏)

※次回の#女子を困らせる人は「愚痴を言う人」。6/22(月)公開予定です!

アルテイシア

作家。神戸生まれ。著書『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった 』『アルテイシアの夜の女子会』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『59番目のプロポーズ』ほか、多数。

●Twitter:@artesia59

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オタク格闘家と友情結婚した後も、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも変人だけどタフで優しい夫のおかげで、毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による、不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ!

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