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体育会系ノリの人 #女子を困らせる人

#女子を困らせる人

アルテイシア

アラサー女子を困らせる人はこの世にたくさんいます。セクハラ、パワハラ、マウンティング、毒親……。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」なんてことわざもありますが、女子のほうが敵多くない? そこでこの連載ではアルテイシアさんに、困らせてくる人々に立ち向かう知恵を授けてもらうことにしました!

自宅の壁に修造カレンダーを貼って、隙があればスクワットしてハッスルハッスル言ってるだけの人間は、特に害はない。

女子を困らせるのは、体育会系ノリや思考を押しつけてくる人である。

当連載の担当編集女子からこんなメールをもらった。

「前職の男性上司が体育会系の人で、その上司が帰るまで帰れない、上の言うことは絶対、飲み会は全員参加、後輩はお酌して回れ、最後まで残って後始末しろ、風邪ぐらいで休むな、台風でも会社に来い、と強制されてつらかったです……」。

とてもつらい。と霊帝顔になる私は44歳の氷河期世代だが、魂がゆとりなので、体育会系思考が苦手だ。上下関係、スパルタ、根性論、精神論……といった言葉を聞くだけで耳ダレが止まらなくなる。

#女子を困らせる人 今回は、このような体育会系のノリや思考を押しつけてくる人の対処法を考えたいと思う。

体育会系ノリの人撃退法

体育会系ノリの人撃退法

つい先日も耳ダレが流出する事件が起こった。

バーで飲んでいる時、常連のおじさんが「最近の若い奴は根性がない、仕事をナメてる、礼儀がなってない」と若者をディスりまくって「俺は野球部出身だから、そういう奴は許せない」と老害仕草をキメていた。

哲学返し

「じゃあ素手で便所掃除して来いよ」と言いたかったが、哲学返しを試すチャンスかも♪ と思った私は「へえ~私は文化系なんで、ちっともわかりませんね。ところで私は読書が趣味なんですけど、好きな作家とかいます?」と聞いてみた。

「いや、俺は本は読まないから」

「へえ~本、読まないんですか! “本のない部屋は魂のない肉体に似ている”とローマの哲学者キケロは語ってますけど、どう思いますか?」

するとおじさんは無言になった後、別の客に話しかけていた。このように哲学返しは有効だと証明できたし、気分もスッキリするのでおすすめだ。

いろんな哲学者の言葉をストックしておくと便利。“ミネルヴァのふくろうは、迫り来る黄昏に飛び立つ”というドイツの哲学者ヘーゲルの言葉は、意味はわからないけどカッコいいので使ってみたい。

ゆとり返し

いつも書いているように、親切に話を聞いてあげる女子が面倒な人にからまれやすい。なのでこいつ面倒くせえなと思ったら、親切心は封印しよう。

体育会系ノリの人に「最近の若い奴は根性がない」と言われたら「ヤバw 昭和ww 星一徹www」とプークスクスな反応をするもよし。

「あ~精神論すか? そういうのよくわかんないっすね~~自分ゆとりなんで」とスマホをいじってYouTubeを見たりして「世代が違うから話が通じない」と諦めさせるのもアリだ。

「質問を質問で返すなあーっ!!」返し

先述のおじさんのように「俺は○○部出身だから云々」とウザいからみをしてくる人は多い。

そんな場合、滑舌に自信のある女子は

「運動部のしごきや体罰が問題になってますよね、体罰は無意味どころか逆効果だと科学的にも証明されてますし、体罰を禁じることで若者の暴力性が劇的に減少することが88カ国40万人を調査した研究で示されてますが、どう思いますか?」

と早口で言って、眼鏡をクイッとしよう。

そこで「それどんな調査だよ?」とか聞かれたら「質問を質問で返すなあーっ!!」と爆殺してもいいが、皆が皆、スタンド能力があるとは限らない。

なので「興味があるならググってください」とピシッと返そう。「丁寧に説明して俺を納得させてみろ」と上から聞いてくる奴に、わざわざ時間を割いてやる必要はない。

BL返し&猫自慢

滑舌に自信のない女子は「私も部活系漫画は好きですよ! 最推しのカップリングは『ハイキュー!!』の(略)」とBL返しをキメるか、「優れた運動能力を持つ生き物といえば、やはり猫ですよね」と猫の話をするといいだろう。

「学生時代、インターハイに出場した」とか自慢話をされたら「猫の走るスピードは時速48キロ前後で、人間の2倍も速いんですよ!」と猫自慢で返すのがおすすめだ。

仕事の場ではなるべく近づかない

とはいえ、仕事の場ではそう強い対応もできない。こちらが言い返すと「この上下関係が目に入らぬか!」と印籠を出してくる相手には、なるべく近づかないのが吉である。

体育会系ノリの職場で働く女子は「とにかく飲み会が最悪なので、私は飲み会に行かないキャラで通してます」と話していた。

「仕事のスキルアップのため資格の学校に通ってる」などホラを吹いて、面倒な飲み会はパスしよう。

「たまには息抜きも必要だ、ハッスルハッスル!」とか言われたら「実は親の具合が悪くて……」と明菜返しをキメるといいだろう。

体育会系思考がパワハラやセクハラにつながる

体育会系思考がパワハラやセクハラにつながる

体育会系思考がパワハラやセクハラにつながるケースも多い。

私が大学生だった頃、体育会の新歓飲み会では「先輩の酒が飲めないのか」「後輩が潰れるまで飲ませろ」的な文化があって、新入生が急性アルコール中毒で病院に運ばれたりしていた。

当時の体育会系はそうした儀式を乗り越えることを「男らしさの証」とする、THEホモソーシャルな集団だった。

その象徴のような曲が、80年代に流行ったとんねるずの『一気!』である。「飲めぬ下戸にはヤキ入れて 付き合い程度じゃ許さずに 一気! 一気!」という歌詞を書いたのはご存じ秋元康だ。

新卒で入社した広告会社にも、新人が一気飲みさせられるパワハラ文化があった。かつ、男性社員が飲み会で全裸になるセクハラ文化もあった。当時の管理職の多くは体育会出身の男性で、それらを武勇伝のように語っていた。

こうした文化が滅んだのは、女性社員のひとりがコンプライアンス室に訴えたことがキッカケだった。勇気を出して声を上げた人のお陰で、組織全体が変わったのだ。

一方、当時20代だった私は何もしなかった。何もしなかったどころか、むしろ加害者側に加担していた。飲み会で一緒になって手拍子して、宴会芸を盛り上げていた私は「会社とはこういうもので、このノリに合わせないと居場所がなくなる」と思っていた。

その過去の反省があるからこそ、声を上げなきゃと思うのだ。下の世代に悪しき文化を引き継がないために。

令和になっても、セクハラ・パワハラのセパ両リーグが熱戦を繰り広げているヘルジャパン。

職場でセパ被害に遭った場合、まずは加害者より立場が上の上司や先輩に相談しよう。体育会系は「下には強く、上には弱い」のが特徴なので、それだけでビビって態度を変えることが多い。

弁護士の女友達も「とにかくビビらせることが肝心」と話していた。「『弁護士に相談に行った』と職場で話すだけでも効果がある。それでも変わらなければ、労働弁護団とかに相談してほしい。女性のためのホットラインもあって、電話で女性弁護士に無料相談もできるよ」とのこと。

また「被害を受けたら、必ず記録を残しておくこと。日記やメモでもいいし、同僚や友人へのメールやLINEでもいい。それが自分の身を守ることになるから」とのことだ。

社内のコンプライアンス室や窓口に相談する場合も「記録を残しているし、弁護士にも相談した」と話せば、より真剣な対応を期待できるだろう。

もちろん、はなから被害に遭わないのが一番である。なので「身内に弁護士がいて、セパ案件を主に扱っている」などホラを吹いて、自分を守ってほしいと思う。

体育会系の人は男尊女卑率がきわめて高い

体育会系の人は男尊女卑率がきわめて高い

アラサーの女友達が「会社の上層部にセパ被害を訴えてもまともに相手してくれなくて、しかたなく父親に同席してもらったら、おじさんたちの態度が一変した」と話していた。

男が出てくると態度を変える、その男尊女卑っぷりが許せない。グレッチでぶん殴ってベンジーをぶっかけてマーシャルで目つぶしたい。

と怒髪天を突きつつ、周りの女子にヒアリングすると「体育会系の男子は男尊女卑率がきわめて高い」との声が集まった。

「体育会系の男子と合コンしたら、女がサラダを取り分けて当然って態度だし、やたらオラオラしてくるし、やたら飲ませようとするし、酔わせてお持ち帰りしようとするし、もう本当に最悪でした」。

体育会系に故郷の村を焼かれたわけじゃなく、現実にイヤな目に遭っている女子が多いのだ。

私も大学時代、バイト先の飲み会で体育会系の先輩に「うるせえなブス、黙ってろよ」「俺こんなブスと飲むのイヤだ」と言われたりした。

ピザ屋の彼女になってケツにサラミをぶちこみたいが、当時の私はショックで固まってしまった。そして、それ以降は「ひょうきんなブス」として振る舞うようになった。

これ以上傷つくと死んでしまうから、先回りして自虐したのだ。でも自虐すればするほど見下されて、自尊心を削られていった。

今の私なら「君が泣くまで殴るのをやめないッ!」とバチバチにキレまくるだろう。もしくは「貴殿は私の訴訟に耐えられるかな?」とイキリオタクぶって、暴言を吐かれた精神的苦痛に対して慰謝料請求してやる。慰謝料はとれなくても、内容証明郵便を送るだけでも相手はビビるはずだ。

こんなふうに怒れるようになってよかった、加齢万歳である。かつフェミニズムを学んだことで、視野が何倍にも広がった。

「男らしさ」を求められ他に強要するのが体育会系

「男らしさ」を求められ他に強要するのが体育会系

大学生の私は「自分がブスだからダメなんだ」と思っていた。

でもその先輩が私に暴言を吐いたのは、女をいじめることで男の優位性を示したい、つまり「俺の方が上だ」とアピールしたかったからだと思う。

また当時、彼は後輩の男子のこともいじめていた。小柄で眼鏡でおとなしいタイプの男子を標的にしていたのは、弱い者をいじめることで「自分は強い、男らしい男だ」と確認したかったからだろう。

『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』という本には、以下の記述がある。

若い男性たちのあいだで(略)支配的でタフな男らしさを体現しようとする傾向は、うつ、薬物乱用、いじめ加害、非行、危険な性行為、性的満足度の低さ、パートナーへの虐待などと関連つけられている

逆に、男らしさのルールに同調しない男の子たちや、その基準を充分に満たせない、あるいは満たそうとしない男の子たちも、いじめのターゲットになったり、ばかにされたり、排斥されたりというリスクを負う

「男らしさ」について研究したこの本を読むと、その弊害がよくわかる。

新刊『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』にも書いたが、うちの父親も「男らしさ」の呪いのせいで自殺を選んだのだと思う。ちなみに父もゴリゴリの体育会系人間だった。

「男らしさ」が求められ賛美される文化、それが根強く残る体育会系の社会。彼ら男性も、ある意味でその被害者なのだろう。

だからといって「男も大変だよね」と許す気などないし、その先輩のことは「すべての地獄を味わって死ね、将来僧になって念仏を唱えてやる」と今も元気いっぱいに呪っている。

そして今後も上下関係を押しつける人に出会ったら「真に偉大な人間になるには、人々の上に立つのではなく、彼らと共に立たなければならない」とモンテスキューの言葉を返してやる。

ついでに「ミネルヴァのふくろうは、迫り来る黄昏に飛び立つ。貴殿はこの言葉の意味をわかるかな?」とイキリオタク返しをキメたいと思う。

(文:アルテイシア、イラスト:若林夏)

※次回の#女子を困らせる人は「自己愛の強い人」。4/22(水)公開予定です!

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※この記事は2020年03月22日に公開されたものです

アルテイシア (コラムニスト)

作家。神戸生まれ。著書『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった 』『アルテイシアの夜の女子会』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『59番目のプロポーズ』ほか、多数。

●Twitter:@artesia59

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