合コン相手を恋に落とす「魔法のワード」 #合コン幹事の上野さん【経営者編・第2章】
簡単にウケるワードテクニック

それでは次に、会話が盛り上がる簡単なテクニックについて解説しましょう。今回そのテクニックが登場したのは、合コンの最中のこの会話です。
たかはし「この前、沖縄に行ったんですよ。それで居酒屋で飲んでいたら、えーっと、原住民の方と……」
小柳津「原住民!?(笑)」
熊田「“現地の人”でしょ?(笑)」
たかはし「すいません間違えました……」
小柳津&熊田「(笑)」
たかはし「で、居酒屋で飲んでるときに話しかけてくださった現地の方が、泡盛の『久米仙』を作っていた人だったんですよ」
(中略)
小柳津「そういえば俺も、この前沖縄で会った……」
たかはし「原住民の人?」
小柳津「そそ、って違うわ!!(笑)」

たかはしさんは「現地の人」と言おうとして、間違えて「原住民」と言ってしまいました。

お恥ずかしい限りです……。

まぁ、言い間違えは大した問題ではありません。むしろ言い間違えて照れている姿は魅力的に見えたと思いますよ。

ありがとうございます……?

重要なのは「原住民」と「久米仙」という2つのワードです。

ここまで原住民ネタを引っ張られると思ってなかったので、恥ずかしすぎます。

まずは「原住民」というワードですが、このようにウケたワードを別の場面で使うのは、簡単に笑いが取れるのでおすすめです。実際に小柳津さんが言い淀んだときに、たかはしさんは「原住民」というワードを刺していますが、ウケを取るという意味では素晴らしいツッコミでした。

なるほど……。

そしてもうひとつ重要なのが「久米仙」です。お恥ずかしながら私はお酒を飲まないので「久米仙」という単語を知らなかったのですが、小柳津さんと熊田さんはお2人とも飲食関係の仕事をしていることもあり、ご存知でした。

まぁ、有名な泡盛ですからね。

そうなんですね。

それで、「久米仙」がなんで重要なんですか?

昔、接待をしているときにこんなことがありました。
おじさんA「俺はみゆきが好きなんだよ(※みゆき=中島みゆき)」
上野「あ、私も好きです」
おじさんA「そうか。なら何か歌ってみ」
上野「はい」
~『地上の星』を歌う~
上野「よく聴いていたんです!」
おじさんA「うん、まぁええんちゃう?」

接待のカラオケでよく見る光景ですね。

はい。でもこれ今にして思えば、結構ダメな対応だったんです。

え、どうして?

もちろん『地上の星』も名曲ですよ? ですが『地上の星』はプロジェクトXのテーマ曲なので、一般知名度が非常に高いんです。

私もよく知っている曲です。

だけど「俺はみゆきが好きだ」なんて言うおじさんは、そういう曲はあんまり好きじゃないんですよ。本当に中島みゆきが好きな人しか知らないような曲を好きということに、ステータスのようなものを感じているといえるでしょう。

めんどくさい……。

気持ちはわかりますが、そういうものだからしかたない。

ちなみに今の上野さんなら同じ状況で何を歌うんですか?

『悪女』とかかなぁ……。本当にファンしか知らないようなマイナーな曲を選ぶと、おじさんが知らなくて逆に気まずくなるので難しいんですよ。なお「俺はユーミンが好き」と言っているおじさんの場合、苗字が「松任谷」になってからのユーミンの曲は基本的に危険です。

旧芸名「荒井」時代のユーミンの曲を歌わないといけないんですね……。

話が脱線しましたね。戻しましょう。つまり何が言いたいかというと「マニアックな話」は盛り上がるということです。

なんかわかります。

それがいったい何に関係するんですか?

「久米仙」というワードがどの程度マニアックかはわかりませんが、少なくとも「泡盛」と言うよりは間違いなくマニアックでしょう。そして小柳津さんと熊田さんはお2人とも飲食関係の事業に携わっているので、そのワードを知っていた。つまりマニアックな話題で盛り上がれたんです。

ああ、なるほど。

会話の中で「相手が知っている範囲で、できる限りマニアックなワード」を出すのは、関係を親密にする上で非常に重要です。ですので、ここで「久米仙の~」と言ったのは非常に素晴らしかったです。

(やっと褒められた!)

ただ、にわか知識でこれをすると非常に危険なので注意してください。さっきの「中島みゆき」の話だって、ガチのみゆきファンは今頃「わかってねえくせに語るんじゃねえ!」って怒っているはずです。