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かわいいだけじゃない。「実用性重視」な柔肌さんの場合 #コスメ垢の履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛する「コスメオタク」が増えている。中でもTwitterの「コスメ垢」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では、ライターひらりささんがいま気になるTwitterコスメ垢にインタビュー。彼女たちのおすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載【コスメ垢の履歴書】。

今回は、写真をうまく活用したコスメレビューと親しみやすいツイートから、多くのフォロワーに愛されている柔肌さん(@totsuzen_kuru)にインタビューしました。

コスメ選びの基準は「取れない・よれない」

――1万人以上のフォロワーがいる柔肌さん。今のTwitterアカウントはコスメ垢としてはじめたんですか?

いや、全然です。音楽プロデューサーでコラムニストのジェーン・スーさんが「すごくムカついたときはフォロー・フォロワー0人のアカウントになんでも書く」とお話されていたのにならって、何かにムカついたときに「壁打ち」用アカウントをつくったんです。2016年秋ごろですね。

でも壁打ちは全然続かず……。何に怒っていたのか、もう忘れちゃったくらい(笑)。それで1年くらい放置していたんですが、自分を好きなものをだらだら書くアカウントに切り替えて、今のようなアカウントになりました。

――その時点でコスメはお好きだったんですか?

デパートのコスメフロアを見に行くのは、昔から好きでしたね。とはいえ学生時代はお金もないから、働きだしてからちょこちょこ手を出すようになりました。最初に買ったデパコスはたしか、JILLSTUART。メイクのやりかたもよくわかっていなくて、アイシャドウの裏面に書いてある順序にならってやってみたり、お店の人にタッチアップしてもらった手順を思い出して塗ってみたり……という感じでした。その時点では、メイクが好き! と言えるほどではなかったかも。

――コスメが趣味になったのは最近?

そうですね。意識的にコスメをいろいろ調べはじめたきっかけは、ADDICTIONのザ・アイシャドウです。ピンクがほしいなと思ってたんだけど、ものすごくいろいろな「ピンク」があってわけがわからない。それでTwitterで調べてみたら、「ブルベの人にはこれ」とか、「これと合わせるとかわいい」とか丁寧に書いている人たちがいて。

――「コスメ垢」を発見したんですね。

「なるほど!」と思って買いに行ったら、自分でも発信してみたくなり、いろいろなブランドに手を出しはじめました。さらにパーソナルカラーを診断して自分が「ブルーベース夏」だとわかってからは、コスメツイートが増えていきました。

――「柔肌」という名前は、最初から使ってるんでしょうか?

最初は「あ」とか、意味のないひらがなでした。さすがに「あ」じゃちょっとな……何かやわらかい言葉がいいな……と思っているタイミングで、アルビオンのスキンケアを使いはじめたら肌がやわらかくなったので、「柔肌」になりました(笑)。

――現在、コスメにかけるお金は月にどれくらいですか?

月によってまちまちですけど、2〜3アイテム買って、1万5,000円前後ですかね。本当は1万円におさめたいんですけど。海外旅行に行くと、ルイ・ヴィトン傘下の「SEPHORA」でも買っちゃう……。とにかくアイシャドウばっかり買ってしまうのですが、無印良品のナイロンメイクボックスの一番大きいものに入りきるように収納し、あふれそうになったら、捨てるか、捨てられないものは別の容器に移すようにしています。

――今とくに気に入っているブランドは?

NARSは好きですよね。でも出る頻度がすさまじいから、あんまりハマりたくない気持ちがある(笑)。

あとはTOM FORD BEAUTYも好きです。クリーム アンド パウダー アイ カラー 03 ゴールデン ピーチは本当にヘビロテしています。

――選ぶ基準は、アイテムのよし悪しでしょうか?

単純にパッケージが好きなものを買うことも多いですよ。CHICCAとかも好きですね。でも、何を買うにしても重視してるのは「なるべく取れない・よれない」ことです。できるだけ、お直しをしたくない……。ゴールデンピーチも、全然落ちないところが好きなんです!

――ものすごく実用的な観点だった!

本当に面倒くさがりなんですよ。お直しは、鏡を見ないでぱぱっとやれる程度がいいんです。

毎日コテをあたためる間が「着画撮影タイム」

――この辺りで、メイクポーチを見せていただいてもいいでしょうか。

はい。「BLACK BEAR」というキャラクターが好きで、そのポーチを使っています。入れているのは以下ですね。

左下から反時計回りに
・JILLSTUART エアリーステイフローレス パウダーファンデーション 10
・to/one ペタル エッセンス グロス 13
・Elegance リクイッド ルージュ ビジュー 02、06
・ハワイアンカクテル ジョンマスター リップカームくし
・くし
・よーじや あぶらとり紙
・ばんそうこう

――かなりコンパクトですね!

やはり取れにくい・よれないアイテムばかりです。to/one ペタル エッセンス グロスはすごく重宝してます! Eleganceのルージュも、時間が経っても色が変わらないのが気に入ってます。

――Twitterによく着画をあげていらっしゃいますが、仕事とプライベートではメイクを変えてますか?

講師の仕事をしているのですが、明るい雰囲気のほうがいい仕事だし、メイクもそんなに制限がないので、仕事とプライベートであんまりちがいはないです。着画をあげるときは、わざわざそのためにメイクをしているわけではなくて、日常のメイクがいい感じにできたなと思ったら撮影している感じです。毎日髪を巻いているので、そのコテがあたたまる間が撮影タイムです。

――撮影はスマホですか? カメラですか?

iPhoneの外カメラを使って、手鏡を使いながら自撮りしています。iPhone XSに変えたら、画質がよすぎて逆に困っている……。アプリは「Beauty Plus」で補正(美顔補正の肌磨き)、文字入れは「Phonto」です。

――メイクのアイデアはどうやって浮かぶんでしょうか?

とりあえず下地になる色を塗ってから考えますね。「今日は強くしたいのでブラウンにしてみよう」とか「春だからピンク」とか。Instagramで見た海外女優さんのメイクを真似してみることもあります。

――柔肌さんはとくに目元の着画が素敵ですが、綺麗なアイメイクのコツはありますか?

アイシャドウベースは全然塗ってないんですが、アイメイクの前にRMK「ベーシック コントロールカラー N」のパープルを塗るようにしています。そこにアイシャドウをのせると発色がとてもいいんです。塗るためのツールとして、白鳳堂のブラシは持ってますが、急いでいると指で塗ることが多いです。

――最近気に入ってるアイメイクの組み合わせはありますか?

TOM FORD BEAUTY クリーム アンド パウダー アイ カラー 03 ゴールデン ピーチを下地にして、NARS クワッドアイシャドー 3970 MOJAVEや、NARSデュオアイシャドー 3077 SILKROADを重ねるのにハマってますね。ゴールデンピーチを下地にすることでその後のアイシャドウの発色がよくなり、ラメやパールも相乗効果でさらにかわいくなるんです。

CHANEL レ キャトル オンブル 314 ルウール アンブレもよく使ってます。オレンジがかわいくて! いろいろなアイテムに合わせています。

「今日もキラキラしてる!」と思う瞬間が好き

――参考にしているコスメアカウントはありますか?

趣味が非常に合うのは、くろねこさん(@okenorukkuro)ですね。あと、明るい色のメイクが見ていて楽しいのが、三浦さん(@fftl1123)。三浦さんは、締め色を全然使えないところにも親近感がわいてます(笑)。

――柔肌さんは、コスメだけでなく、映画についても呟かれてますよね。

大学に入ってから好きになりました。月4〜5本くらいは観てますね。絶対に自分の近くで起きない出来事が描かれているんだけど、だんだん身近な感じがしてくるのがいいんです。

ほとんどのフォロワーさんはコスメのツイートが目当てのようなんですけど、まれに映画ツイートに「いいね」してくれる方がいて、それがうれしいですね。自分がフォローするときも、何かひとつのことだけじゃなくて、コスメでも映画でもマンガでもいろいろ呟いて、「その人っぽさ」が伝わってくるアカウントのほうが好きです。コスメ界隈にもそういう人が徐々に増えている気はします。

――アカウントでの発信の際に気をつけていることを教えてください。

「過剰に言いすぎない」のはかなり意識してます。過剰に言ったほうがバズるんですけど、そういうバズるツイートっぽい文法を使いたくないんです。写真でも、肌の微妙なキメの感じを綺麗にしすぎないようにするとか、過剰に加工しないよう気をつけています。

――柔肌さんのツイートを読んでいると、ちゃんとそういう「誠実さ」「親しみやすさ」が伝わってくるなと思います。

親しみやすい、話しかけやすそうとは言ってもらうことが多いです。適当に「うんうん」って言ってることも多いんですけど(笑)。フォロワーが増えるにつれて、相談や宣伝依頼も来るようになったのですが、この間は「セラピストになれる講座を受けませんか?」というDMが来て、ちょっとおもしろかったです。もっとTwitterでも相手の年齢問わずやさしくしつつ、親しみやすさを維持していきたいですね。

――今後、自分のアカウントに関する目標はありますか?

このまま、好きなものをのんびりツイートしていきたいです。宣伝の依頼のなかでも、アイテムがよさそうと思ったもの以外は受けないようにしています。コスメは私にとって、その日の気分を上げてくれるもの。お手洗いに行ったときにちょっと自分の顔を見て、「今日もいい感じにキラキラしてる!」って思う瞬間が楽しいんです。そんなコスメとの付き合いを今後も続けていけたらいいな。

コスメ垢「柔肌」さんの履歴書

(取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※コスメの写真はすべて本人私物です

『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』劇団雌猫

劇団雌猫の大人気同人誌『悪友DX 美意識』のグレードアップバージョン。化粧、ダイエット、エステ、整形、ロリータ、パーソナルカラー診断、育乳……。さまざまなジャンルのおしゃれに心を奪われた女性たちが、ファッション・コスメへの思い入れや、自身の美意識をつまびらかに綴り、それぞれが「おしゃれする理由」を解き明かす匿名エッセイ集。

※この記事は2019年04月13日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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