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コラム 人間関係

「この仕事、向いてない」。向いている仕事を追い続ける「青い鳥を追う女」

ぱぷりこ(恋愛コラムニスト)

オフィス内や仕事の取引で出会ってしまう「なんか苦手な女性」「好きになれない女性」、はっきり言っちゃえば「イヤな女」。彼女たちの「あるある言動」をもとに、なぜこうしたことをするのか、背景にある心理はなにか、ぱぷりこさんに分析・解体してもらいます。

「青い鳥を追う女」のあるある言動

「もっと自分に向いている仕事があると思うんだよね」
「私、こういう単純作業は向いてない。誰でもできる仕事じゃん? これ」
「人と会うことが得意だから、華やかな仕事のほうが天職だと思うんだ」
「あー異動したい。早くこんな仕事から抜け出したい」
「こういう仕事を続ける人って人生、楽しいのかな。私は無理。つまらない人生を送る人間にはなりたくない」

「青い鳥を追う女」とは、「今の仕事は自分に向いておらず、もっと向いている仕事があると主張する女」です。

青い鳥を追う女の特徴は2つ。仕事への意欲がなく、成果を出していないこと。そして、仕事への不満をいつも口にしていること。

彼女たちは、だいたい仕事ができません。能力についてはある場合もない場合もありますが、とにかく彼女たちは徹底して「やる気」がありません。

なぜやる気がないのかといえば「自分に向いていない」から。彼女たちは今の仕事とはちがう、「もっと自分に向いている仕事」があると信仰しています。

彼女たちが言う「自分に向いている仕事」とは多くの場合、広報やPR、クリエイティブ、エディター、プロデューサー、マーケティング、デザイナーといった「なんとなくきらびやかなイメージがある花形の仕事(だいたい横文字)」です。一方で、事務作業やアシスタント業務、書類作成やアポ取りといった、いわゆる「裏方の仕事」は「自分に向いていない仕事」と分類しています。

青い鳥を追う女は、「今の仕事は自分に向いておらず、もっと向いている仕事がある」と主張します。

「私、こういう単純作業って向いてないんだよね」という不満からはじまり、「もっとクリエイティビティを生かせる仕事が向いてる」「もっと人前に立ってコミュニケーション能力を生かせる仕事がしたい」というアッピル、そして「あー早く異動したい・転職したい」という締め文句までがワンセット。

飲み会やランチなどで、いろいろな人に愚痴りまくったり、仕事のミスを指摘されたときに「私、こういう仕事って向いてないんですよねー」と言い訳したりします。さらに、同じ仕事をしている同僚のことを「こういう仕事をずっとやれる人って、人生楽しいのかな」「私は無理だなー」などと見下す発言をすることもあるため、同じ業務をしている人たちをのきなみ敵に回しがち。

こんな調子で仕事へのやる気も情熱も真摯さもないため、仕事のクオリティが総じて低く、周囲からの評価も低く、自分が認められていない状態に彼女たちはさらに不満をためて「やっぱり私はこの仕事が向いてない」と主張する……という負の円環により、職場の磁場がどんどん乱れていきます。

周囲の人は「向いてる向いてるって言うけど、とてもその仕事に向いているとは思えないんだけど???」「主張の根拠は???」「向いてないとか言ってないでちゃんと仕事してほしいんですが???」と疑問だらけになりますが、あまりにも堂々と「私はあっちのほうが向いていて、今の仕事は向いていない」と強固に主張するので、「もうなんでもいいから異動なり転職なりすればいいのではないですかね……」と心が虚無になります。

青い鳥を追う女は、なぜこんな言動をする?

青い鳥を追う女は、なぜこのような「向いている仕事」と「向いていない仕事」アッピルを繰り返すのでしょうか?

それは、彼女たちはこれまで「やりたいこと」に正面から取り組んでおらず、スキル習得や失敗の経験がないから。そのわりには自己評価が高く「やればできる」と思っていて、自分の能力や適性を正しく見積もれていないから。そして、失敗が怖く、自分にベタ甘いから。

彼女たちが言う「自分に向いている仕事」「自分に合っている仕事」「天職」は、3つの意味があります。

1 憧れている仕事
2 目立ってまわりから褒められる仕事、羨ましがられる仕事
3 自分が失敗しない仕事

彼女たちは、似て非なるこれらの意味を文脈によって使い分けています。

1の「憧れている仕事」は、彼女たちがなりたがっている華やかな仕事です。ただし、彼女たちが憧れているのは2の「目立ってまわりから羨ましがられる」部分だけで、そのために必要な下積みや努力は範疇外です。

しかし実際には、華やかに見える仕事ほど、事務作業やアポ取りや調整、ひとりでこもって考える作業など、地味な仕事が大半を占めるものです。華やかに見えるのは全体の1割で、残りの9割は地味系の作業と言ってもいいでしょう。しかし、青い鳥を追う女は、これらの不都合な事実を無視し、やりたくない仕事を「この仕事は向いてない」といって回避しようとします。

さらに、仕事でのスキル・経験習得において、失敗は必要不可欠ですが、彼女たちは失敗も嫌います。失敗すると「このやり方は向いてない」「この仕事は向いてない」と言いますが、これは「だから私は悪くない」と自分を正当化し、失敗を認めたくないからです。さらには上司に対して「私はこういう方法は向いてないんです」「もっと向いている仕事をください」「今の時代には合ってないと思います」と改善を要求することすらあります。

つまり、青い鳥を追う女が言う「向いている仕事」とは「みんなから褒められ羨ましがられる目立つ仕事のうち華やかな部分を、失敗も努力もなく味わいたい」という意味になります。

青い鳥を追う女=失敗は怖いが目立ちたく褒められたい女

「青い鳥を追う女」は、「実力よりも高く自分を見積もっており、失敗も努力もしたくないが、目立って成功して褒められたい女」です。

「青い鳥を追う女」は「向いている仕事をやれば私は活躍できる」と思っているため、周囲のアドバイスや忠告を聞かず、自分への低評価を「向いてる仕事を振らない上司や会社が悪い」と他者や環境のせいにするため、スキルや経験が向上しにくいものです。

周囲の人間は指導にリソースを使うことになりますが、いかんせん本人が学習をブロックしてくるため、リソースを食うわりには伸びない、それどころか指導したり仕事を振ったりする側が悪いと言われて精神を消耗する、といった虚無系のダメージを食らうことになります。

青い鳥を追う女が社内や部署内にいたら、どうすればいいのでしょうか?

ひとつは、「眼の前の仕事をきちんとこなすことが次の仕事につながる」というスキル習得の基礎を、根気よく教えることです。青い鳥度が軽いタイプならこの方法で平和になることがありますが、重度タイプだと「向いていないからできない、向いている仕事ならできる」とブロックしてくるため、圧倒的な徒労を味わい、ストレスが溜まって爆発しがち。

もうひとつは「彼女たちが言うところの“向いている仕事”を実際にやらせる」方法です。まれに本当に彼女たちの言うとおり向いている場合もありますが、「憧れているだけで現実を知らず、向いてもいない」こともかなりあります。そのため実際の経験を通じて憧れと現実のギャップを縮めれば、彼女たち自身から「やっぱり前の仕事がいい」「別のことをしたい」と言ってくる可能性があります。

「実力以上に自分を見積もるプライドを折る」という荒っぽい方法もありますが、プラスになる方向に向けてキレイに折るのは熟練したプロの技術が求められるため、素人がやると、ただのモラハラとパワハラになるのでおすすめできません。ですが、彼女たちにイラつくと、ついこの方法を選びがちな人が多いのも事実です。

もっとも低コストなのは、彼女たちをあるがままに放牧し、彼女たち自身による「異動オア転職」を待つことです。ただし、彼女たちは自ら不満と向いているアッピルをするため、周囲の人たちは彼女たちの「夢見るヒヨコ」ぶりをよく知っています。それゆえ、なかなか異動先が見つからず、転職活動も3年以上かかるなど、長期化する傾向にあります。「青い鳥よ、自由にはばたいてゆけ、私の目の届かないところに」と笑顔で見送ることが、現実的な対応といえるかもしれません。

(文:ぱぷりこ、イラスト:黒猫まな子)

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