
【第5回ビジネスマナー講座】そのひと言で会社の印象が決まる! 電話対応のマナー
ビジネスシーンでは、言葉使いがその人の印象を大きく左右します。特に敬語は“なんとなく”使っていると、意外と間違っていることが多いもの。きちんとした敬語を身につけるだけで、印象アップにつながります! マナーアドバイザーの松本繁美先生と一緒に、正しい敬語の使い方をマスターしましょう♪
入社したての新人が対応することが多い電話。電話は相手の顔が見えない分、声のトーンや言葉使いが相手にダイレクトに伝わります。少しおおげさな表現ですが、電話対応ひとつで会社のイメージが決まるといってもよいでしょう。会社全体のイメージアップにつなげるためにも、正しい電話のマナーと印象のよい話し方を身につけましょう。
<電話応対の基本>
電話をかけたり受けたりする前に準備したいのがメモ用紙。電話をかけるときは、事前にメモ用紙に用件をまとめておきましょう。特に新人が電話をかける場合、緊張して伝えたいことを忘れてしまったという事態を防げます。また、電話を受けたときは相手の名前や用件などをメモします。電話は基本的に2コール以内に応対し、それ以上待たせてしまった場合はおわびの言葉を伝えましょう。
●メモ用紙を準備
かけるときも受けるときも、必ず手元にメモの用意を。相手の社名、名前、用件を正確にメモし、電話番号やアドレスなどは必ず相手に復唱して確認します。
●2コール以内に応対
呼び出し音は2回以内で出るのが基本。それ以上待たせた場合は「お待たせいたしました」、かなり待たせてしまった場合は「大変おまたせいたしました」と述べてから、自社の社名を名乗ります。
<電話のかけ方>
電話をかけるタイミングは、基本的にこちらの都合。相手の状況を思いやる気使いが大切です。実際に電話をかけるときの流れに沿って、ポイントを解説しましょう。
①名乗る
「株式会社マイナビの田中でございます」
※明るくはきはきした声であいさつして名乗ります
②相手を呼び出す
○ 田中様はいらっしゃいますか?
× 田中様はおられますか?
※おるは謙譲語で不適切です
③取り次がれたら、もう一度名前を確認
○ 田中様でいらっしゃいますか?
× 田中様でございますか?
※「ございます」は「~である」の丁寧語。正しくは「~でいらっしゃいます」です
④相手の都合確認
「今、お電話よろしいでしょうか」
※相手の状況を考えて、電話が可能かどうか確認します
⑤用件を伝え、内容を確認
「以上、○○の件よろしくお願いいたします」
「ご不明の点がありましたら、お問い合わせください」
※最後にもう一度用件を確認し、不明点があった場合の問い合わせ先を伝えます
⑥終わりのあいさつ
「お忙しいところ、ありがとうございました」
「以上、よろしくお願いいたします」
※忙しい中、仕事を中断して応対してくれたことにお礼を言います
⑦電話を切る
基本的にかけた側が先に切りますが、相手が目上の方だった場合は、自分がかけた側でも先方が先に切るのを待ちましょう。「ガチャン」と音を立てたりせず、あくまでも丁寧に静かに受話器を置きます。
<相手が不在だった場合>
電話をかけたが相手が不在だった場合は、あらためて連絡するか、伝言を残しておきましょう。
●あらためて連絡する場合
自分 「では、あらためてご連絡いたします。田中様は何時ごろお戻りでしょうか?」
相手 「18時に帰社予定です」
自分 「それでは、18時ごろ、お電話いたします」
●伝言を残す場合
自分 「お忙しいところを恐れ入りますが、伝言をお願いできますか?」
相手 「田中ですね。申し伝えます。」
自分 「お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」
<電話の受け方>
電話を受けるときは、会社の代表として受けていると自覚しましょう。もし自分が電話をかけたとき、相手の対応が悪いと気持ちよくありませんよね。印象のよい電話の受け方を確認しましょう。
①名乗る
「株式会社マイナビの田中でございます」
「いつもお世話になっております」
※はきはきとした声で名前を名乗り、あいさつします
②先方の名前の復唱
「ウーマン株式会社の山田様ですね」
※聞き間違いを確認すると同時に、周囲に知らせる意味でも復唱します。もし聞き取れなかったら「もう一度お名前(お電話番号)をうかがえますでしょうか」と確認しましょう
③内容の確認
「何を、いつまでに」など、間違いの内容に具体的に確認します。
④終わりのあいさつ
「かしこまりました」
「今後ともよろしくお願い申し上げます」
「お電話ありがとうございました」
「失礼いたします」
※相手が電話を切るのを待ってから、受話器を置きます
<電話の取り次ぎ方>
もし電話を受けたときに、取り次ぎたい人が不在だったりほかの電話に出ていたりしたら、先方に状況を伝えてこちらから折り返した方がよいかを確認します。
①取り次ぐとき
「少々お待ちいただけますか」
※保留を押して、取り次ぐ人に簡潔に用件を伝えましょう
②外出中のとき
「申し訳ございません。あいにく田中は外出しております。戻りましたら、こちらからお電話いたしましょうか?」
※先方に外出している旨を伝えて、戻り次第電話をかけた方がよいか確認します
③離席中のとき
「申し訳ございません。あいにく田中は席を外しております。戻りましたら、こちらからお電話いたしましょうか?」
※先方に離席している旨を伝えて、戻り次第電話をかけた方がよいか確認します
④ほかの電話に出ているとき
●電話が長引きそうな場合
「申し訳ございません。あいにく田中はほかの電話に出ております。終わり次第、こちらからお電話いたしましょうか?」
●すぐに終わりそうな場合
「○○はただ今電話中ですが、まもなく終わるようです。申し訳ありませんが、少々お待ちいただけますか?」
⑤休暇中のとき
○ 申し訳ございません。本日、田中は休みをとっております。
× 田中は本日お休みをいただいております。
※「お休みをいただく」だと自社に対して敬語を使っていることになり、ふさわしくない。
⑥名指し人が遅刻や早退で不在のとき
「午前中、立ち寄ってから出社いたします」
「外出しております。本日は社に戻りませんので、明日、こちらからご連絡いたしましょうか?」
※相手に本当のことを伝えなくてもよい場合もあります。臨機応変に対応しましょう
目上の方や地位のある方に電話口に出ていただいた場合は、まず「お電話でお呼び立ていたしました、恐れ入ります」とひと言おわびをしましょう。時間を無駄にしないよう、用件も簡潔に済ませます。
<今回のまとめ>
第5回では電話応対についてご紹介しました。社会人になって最初に外部の人とつながることになる電話。最初は緊張するかもしれませんが、はきはきと明るい声で話すだけでも、相手によい印象を与えることができます。これらの定番フレーズを覚えて、スムーズな電話応対を心がけましょう。第6回ではメールのマナーについてご紹介します。
(松本繁美)
※この記事は2016年09月06日に公開されたものです