今の金銭感覚のままじゃダメ? 将来ひとり暮らしをはじめるときのための「お金」の話
将来を考えるとき、お金の悩みはついてまわるもの。結婚・出産、転職など、ライフイベントによってマネープランの見直しは必須。だけど、何から手をつければいいのかわからない! そんな働く女子のお悩みを、FP風呂内亜矢先生に相談。知っておきたいお金のキホンや無理なく実践できるテクニックをマスターして♪
◆今回のお悩み
相談者:せんさん
「今は実家暮らしですが、近い将来、ひとり暮らしをしたいと思っています。しかし今の金銭感覚のまま、やりくりができるのか、不安です。ひとり暮らしをしながら賢く貯め、かつリスクなく暮らしていける方法があれば教えてください」
編集部 せんさんは現在、実家暮らし。今後ひとり暮らしをするとなったとき、今のお金の使い方で生活ができるのか不安に感じているようです。ひとり暮らしをはじめるにあたって、最初に決めなくてはいけないのは「家賃」ですが、手取り月収19万円の彼女の場合、上限額の目安はありますか?
風呂内亜矢(以下、風呂内) 家賃は手取り収入の30%以内に収めたいので、ボーナスに頼らず手取り月収の19万円で生活していくなら、上限額は5万7,000円です。ただ、地方在住なら問題ない金額ではありますが、都心でひとり暮らしをするならきびしいライン。その場合は、6万円を目安に探しましょう。
編集部 エリアにこだわらなければ見つかりそうですね。部屋を借りるとなると、まずは初期費用がかかると思いますが、一般的にいくらくらいを用意しておけばいいでしょうか。
風呂内 敷金・礼金をそれぞれ1カ月分ずつと、家賃1カ月分を前払いで求められることが多く、最低でも家賃×3カ月分は必要になります。また、敷金・礼金に関しては2カ月分ずつ、場合によっては不動産会社への仲介手数料が1カ月分かかることもあります。最低限としては家賃の3カ月分となりますが、家賃前払い分、敷金・礼金、仲介手数料すべてのことを考慮して、家賃の5、6カ月分を初期費用として見積もっておいたほうが安心でしょう。
編集部 仮に、せんさんが6万円の部屋を借りるとすれば、18万~36万円を不動産会社に支払わなければいけないということですね。実家暮らしですので、ほかにも家具や家電といった生活用品を揃える予算も考えておかなくてはいけませんよね?
風呂内 そうですね。こだわればキリがありませんが、なるべく出費を減らしたいなら、ひとり暮らしに必要な家電一式を10万円以内で購入できるお得なセットなどもあるので、そういったものを利用するのもひとつの手でしょう。または、最近ひとり暮らし同士で同棲や結婚をした人を狙って、処分予定のものをもらうのもアリだと思います。
とはいえ、家電だけでなく、カーテンや寝具、それから調味料、洗剤、ゴミ袋などの雑貨類も揃えておかなくてはなりませんし、実家から荷物を移動させるなら引っ越し代もかかってきます。そう考えると、せんさんは50万円プラスアルファの金額は確保しておきたいです。
編集部 つまり、現在の自分名義の貯蓄額は初期費用で消えてしまい、貯蓄額ゼロの状態でひとり暮らしをスタートすることになるわけですね。となると、ますます手取り月収19万円の範囲内でやりくりしたいところですが、月々の家計の中で、これまでの実家暮らしではかからなかった費目も発生しそうです……。
風呂内 はい、もちろん発生してきます。第一に、家賃。彼女は現在も実家に5万5,000円を入れていますが、ひとり暮らしの家賃を6万円で想定すると、5,000円はオーバーしてしまいます。次に、「光熱費」。こちらは電気・ガス・水道の料金を合わせて1万円ほどかかると思っておいたほうがいいでしょう。
「食費」も、今は朝食や夕食を実家で食べているのであれば、現在の1万円に、さらに1万円ほど追加でかかると考えられます。「外食費」の2万円は据え置きで、トータル4万円に収めたいですね。また、洗剤やゴミ袋といった定期的に購入しなければならない日用品は5,000円以内を目標に予算を組んでおきましょう。
編集部 家賃、光熱費、食費、日用品すべてを足すと、今より3万円は余分に生活費がかかりますね。ですが、そもそも現状も支出合計が手取り月収よりショートしていますので、このままひとり暮らしをしてしまうと、毎月4万5,000円の赤字になってしまいます。せんさんが毎月の給与の中でやりくりできるよう、現在のお金の使い方から見直すべきポイントがあれば教えてください。
◆せんさんプロフィール
電機関連企業で正社員として外回りの営業職に就く、26歳。手取り年収約400万円、手取り月収約19万円。月々の給与から3万円を自動的に財形貯蓄しており、現在の自分名義の貯蓄額は50万円以上~100万円未満。30歳になる4年後までに300万円以上貯めることを目標にしている。現在は実家暮らしで、家には毎月5万5,000円を生活費として入れている。こだわり出費は半年に1度の海外旅行で、直近の旅行では30万円ほどを出費。なお、自身では「お金の使い方が上手」「ついムダ使いしてしまうことはない」と思っているも、月々の支出合計(貯蓄含む)が20万5,000円と手取り月収を上回ってしまっているのが現状。
(ヨダヒロコ/六識)